電子書籍対応

パレスチナ 戦火の中の子どもたち

戦火の中の子どもたち

二〇一四年夏のイスラエル軍侵攻下で何が起こったのか.みたび戦火を経験した子どもたちに密着した貴重な記録.

パレスチナ 戦火の中の子どもたち
著者 古居 みずえ
通し番号 928
ジャンル 書籍 > 岩波ブックレット > 国際情勢
日本十進分類 > 社会科学
刊行日 2015/06/25
ISBN 9784002709284
Cコード 0336
体裁 A5 ・ 並製 ・ 64頁
在庫 品切れ
世界の注視を集めた二〇一四年夏のイスラエル軍のガザ侵攻時,何が起こっていたのか.この六年にみたび戦火を経験した子どもたちは,日々をどう生きているのか.事態は悪化し,「安全なところはどこにもない」(著者)――.悲劇が繰り返される土地・パレスチナに二〇年以上通うジャーナリストが伝える現地の声.写真多数.


■著者からのメッセージ
 2009年のガザ攻撃で私がパレスチナの子どもたちを取材するようになったきっかけは,一人の少女との出会いだった.ある日,瓦礫の横を歩くマリアムに出会った.少女は肩に袋を担ぎ,その眼はうつろだった.「どこに行くの?」「家はどのあたり?」と訊くと,うなずくだけで,返事が返ってこなかった.
 後にこの少女の家を訪ね,家族と会った.2008年12月末,イスラエルが空爆を始めた日,マリアムが学校にいるときに爆撃が始まった.目の前で爆発が起こり,人体の一部が足もとに飛んできた.彼女は叫び声をあげた.それ以来,マリアムは話さなくなり,夜に一人でいることも,窓のそばにいることも恐れるようになったという.
 私は子どもたちの心が傷ついていると思った.それまでも子どもの取材を重ねてきたが,かれらの心の中まで深く考えることはなかった.子どもたちがどんな経験をして,どう生きているのか知りたいと思った.(中略)
 ガザ攻撃当初,避難民は人口の約四分の一にあたる約45万人いたが,停戦後の現在も,11万人が国連学校の避難所,キャラバン式臨時避難所,親戚宅などで避難生活を続けている.(中略)
 2014年のガザ攻撃から1年が経とうとしている.復興どころか未だに瓦礫の撤去すらおこなわれていない.封鎖のために建築資材が集まらず,新しい家も建てることができないという厳しい状況が続いている.
(本書「はじめに」より)
はじめに

Ⅰ三度の侵攻を経験したサムニ家の子どもたち
 1 二〇〇八年一二月~〇九年一月
 2 二〇一二年一一月
 3 二〇一四年七~八月

Ⅱ 二〇一四年 侵攻の証言
 1 攻撃現場
 2 緑豊かな農業地帯・フザア村で起きた悲劇
 3 戦時下の支援

おわりに
古居みずえ(ふるい・みずえ)
1948年島根県生まれ.フォトジャーナリスト.アジアプレス・インターナショナル所属.JVJA(ビジュアル・ジャーナリスト協会)会員.1988年にパレスチナのイスラエル占領地に入る.以降,パレスチナのほか,ウガンダやインドネシア,アフガニスタンなど各地の現状,特に女性や子どもたちの日常を精力的に取材している.
著書に『インティファーダの女たち――パレスチナ被占領地を行く』(1990=96増補版),『ぼくたちは見た――ガザ・サムニ家の子どもたち』(2011)(ともに彩流社),『パレスチナ 瓦礫の中の女たち』(2004),『ガーダ 女たちのパレスチナ』(2006)(ともに岩波書店),映画監督作に『ガーダ パレスチナの詩』(2006),『ぼくたちは見た――ガザ・サムニ家の子どもたち』(2011)など.3.11以降,福島の飯舘村に通い,映画『飯舘村の母ちゃんたち』を制作中.
ページトップへ戻る