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男性の非暴力宣言

ホワイトリボン・キャンペーン

女性を従属的な位置に置き続ける社会を,男性は望まない,そう宣言することから始めよう.

男性の非暴力宣言
著者 多賀 太 , 伊藤 公雄 , 安藤 哲也
通し番号 940
ジャンル 書籍 > 岩波ブックレット > 社会
日本十進分類 > 社会科学
刊行日 2015/11/05
ISBN 9784002709406
Cコード 0336
体裁 A5 ・ 並製 ・ 80頁
在庫 品切れ
「男性から女性への暴力をなくす」世界最大規模の啓発活動は,痛ましい殺人事件への国家的追悼から始まった.男性が男性に呼びかけるスタイルで,今や各国の学校や職場の啓発プログラム,行政や企業のイメージ戦略に展開している.男性の「力による支配」に価値をおく社会を,男性が変えるため,いま日本の男性たちへ.


■編集部からのメッセージ
 男性は暴力をふるうもの,だろうか.女性を力で支配し,従属的な位置にとどめようとするのは,男性の本質なのか.「自分はそうではない」と言い切れる男性も,そうした社会的通念には,目をつぶっていないだろうか――歴史的・社会的に枠をはめられた男性性を研究する社会学者や,男性の育児・父親のありかたを考えるNPO 主催者が,海外の運動や被害女性支援グループと連携して,日本の男性たちに向けた積極的な呼びかけと行動に踏み出した.本書は,その立ち上げの宣言とともに,私たちに何ができるか――地域で職場で,学校で――を,具体的に提案する一冊です.
 日本でDV法(配偶者からの暴力及び被害者の保護に関する法律)が出来たのが2001年.その後3回の改正を経たものの,元夫や恋人によるストーカー殺人などのニュースが後を絶ちません.さまざまな事件の背景からは,身近な人の暴力が,貧困や子どもの虐待,さらに次世代への暴力と貧困の連鎖につながっていることも,すでに広く知られています.なのになぜ繰り返されるのか.
 「自分は暴力を振るわない」というマジョリティの男性こそが,男性による暴力にたいして,その連鎖を断つ決意で主体となって取り組む必要があるのです.
 「ホワイトリボンキャンペーン」は,世界各地域で,男性たちの男性たちによる,「男目線の」,ユニークでポジティブな取り組みを展開する「男性非暴力宣言」の啓発活動です.日本でも,彼らの経験にヒントを得て,この活動が動き始めます.
 手に取ったすべての男性に,自らの問題として考えてほしいと思います.
(編集部・十時由紀子)
男性非暴力宣言

第1章 ホワイトリボンキャンペーンの誕生と展開
1 ホワイトリボンキャンペーンの誕生
2 世界に広がるホワイトリボンキャンペーン

第2章 性暴力/DVの実態
1 性暴力撤廃への国際的な動き
2 日本のDV防止法
3 男性問題としての暴力

第3章 何ができるか,何をすべきか
1 日本で始まったホワイトリボンの取り組み
2 女性との連帯,子どもたちへの対応
3 男性に何ができるか,何をすべきか

おわりに 日本社会への提案――女性に対する暴力をなくす取り組みの主流化へ

[コラム] デートDV防止授業/シェルターの現状と課題/男性被害者問題/ホワイトリボン参加のきっかけ/非暴力系男子,それからフェアメン/SH被害者支援からWRCへ/男性相談という場で

参考資料/ホワイトリボンキャンペーン・KANSAIの主な活動記録など
多賀 太(たが・ふとし)
関西大学文学部教授.ホワイトリボンキャンペーン・KANSAI企画委員会座長.1968年生まれ.『男性のジェンダー形成』(東洋館出版社),『男らしさの社会学』(世界思想社)ほか.(本書第1章・第3章担当)

伊藤公雄(いとう・きみお)
京都大学大学院文学研究科教授,滋賀県・大阪府・京都府男女共同参画審議会長,元内閣府男女共同参画会議専門調査委員,1951年生まれ.『〈男らしさ〉のゆくえ』(新曜社),『ジェンダーの社会学 新訂』(放送大学教育振興会)ほか.(本書第2章・第3章担当)

安藤哲也(あんどう・てつや)
児童虐待の根絶をめざすNPO法人タイガーマスク基金代表,NPO法人ファザーリング・ジャパン代表理事.1962年生まれ.『父親を嫌っていた僕が「笑顔のパパ」になれた理由』(廣済堂出版),『パパの危機管理ハンドブック』(ホーム社)ほか.(本書第3章担当)
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