脱常識の社会学 第二版

社会の読み方入門

当たり前のこととして片づけられている日常の生活をめぐる「常識」.その深層を儀礼と象徴を通して解明.

脱常識の社会学 第二版
著者 ランドル・コリンズ , 井上 俊 , 磯部 卓三
通し番号 学術284
ジャンル 書籍 > 岩波現代文庫 > 学術
日本十進分類 > 社会科学
刊行日 2013/03/15
ISBN 9784006002848
Cコード 0136
体裁 A6 ・ 並製 ・ カバー ・ 334頁
定価 1,430円
在庫 在庫あり
なぜ我々は疑いもせず取引ができるのだろう.なぜ結婚するのだろう.なぜ宗教を信じるのだろう.なぜ権力が生まれるのだろう.当たり前のこと,合理的なこととして片づけられている日常の生活をめぐる「常識」にひそむ深層構造を,儀礼と象徴の理論を通して脱常識化し解明してゆく社会学入門の定番.新たに1章が書き足された原書第二版.


■内容紹介
 著者のコリンズは1941年生まれのアメリカの社会学者.デュルケーム派.本書はこれから社会学を学ぼうとする人を対象にしたユニークな入門書です.合理性,神(宗教),権力,犯罪,愛,を題材に,われわれが自明と思っていることがらについて疑問を呈し,逆説を展開してみせ,常識を超えた社会学的洞察のおもしろさを伝えます.テクニカルタームに頼らず,平易な日常用語で語られます.
「単純明快な言葉で述べても,謎めいた術語で装うのに劣らず,あざやかな印象を与えることができる.知的な人なら誰にでも理解できるように,わかりやすくいいかえることができるかどうか――それが真の知識の試金石である.」「本書が提供するのは,社会学の最も興味深い,そして最もエレガントないくつかの発想への簡明な案内である.」(「まえがき」より)

 原書初版の全訳が単行本で小社から刊行されていましたが,このたび文庫にあたっては,章がひとつ付加され(6 社会学は人工知能をつくれるか?)全体に若干の改訂が施された原書第二版を翻訳いたしました.また訳文も全体にわたって見直され,一層の磨きがかけられました.
まえがき

1 合理性の非合理的基礎
契約の前契約的基礎
ただ乗り(フリーライダー)問題
契約社会の台頭
権力と連帯

2 神の社会学
宗教の共通基盤
なぜ人びとは道徳的感情をもつのか.
社会的儀礼の一般モデル
神の類型(タイプ)は社会の類型(タイプ)に対応する
個我の発生
日常生活における相互作用儀礼
社会的儀礼の世界

3 権力の逆説
三つの戦略――金銭・強制力・連帯
当然視されているものの重要性
最適化と満足化
不確実性の力

4 犯罪の常態性
犯罪の保守主義的説明
リベラルな説明
犯罪についてのラディカルな説明
犯罪の社会的必要性
犯罪の限界

5 愛と所有
性愛的所有(エロティック・プロパティ)
世代的所有(ジェネレーショナル・プロパティ)
家産的所有(ハウスホールド・プロパティ)
性的市場の台頭と愛の革命
家族の将来

6 社会学は人工知能をつくれるか?
エキスパート・システムとコンピュータの限界
真に人間的な知能への社会学の貢献
いかにして会話をプログラムするか
順番取りと流れの維持
われらのコンピュータに会話を続けさせること
文化資本の獲得
人に話しかける動機づけ――感情エネルギーの追求
SOCIOがひとりで考えるようにすること
先のことを計画する
創造的思考をプログラムする
未来へ

あとがき
訳者あとがき
文献案内
ランドル・コリンズ(Randall Collins)
1941年生まれの社会学者.ペンシルベニア大学教授.理論・学説研究を中心に幅広い領域で活躍する.邦訳された著作に『資格社会――教育と階層の歴史社会学』『社会の発見』『マックス・ウェーバーを解く』『ランドル・コリンズが語る社会学の歴史』があり,近著にViolence: Micro-Sociological Theory, 2008がある.

井上 俊(いのうえ しゅん)
1938年生まれ.社会学.大阪大学名誉教授.

磯部卓三(いそべ たくぞう)
1938年生まれ.社会学.大阪市立大学名誉教授.
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