英文快読術

日本人の英語力を診断し,弱点を補強する能率的な学習方法を処方.英語再入門のための最良のテキスト.

英文快読術
著者 行方 昭夫  
通し番号 文芸69
ジャンル 書籍 > 岩波現代文庫 > 文芸
日本十進分類 > 語学
刊行日 2003/03/14
ISBN 9784006020699
Cコード 0187
体裁 A6 ・ 並製 ・ カバー ・ 260頁
定価 1,100円
在庫 在庫あり
「読み書きは辞書があればできる」「大意がつかめればいいじゃないか」.英文の読解をこのように考えていませんか.本書は,そうした日本人の英語力を診断した上で,その弱点を補強する能率的な学習方法を処方,英文快読への道を指南します.英語教育と翻訳のベテランである著者が,具体的なノウハウとヒントを盛り込んだ,英語再入門のための最良のテキスト.

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 自動詞と他動詞の違いを知らないと,ひどい誤りが生じる好例として,教室で学生が類似の誤りを犯すと,著者は必ずこの話をするのだそうです.正解するのは2割程度.大部分の人は「わくわくする青年のために」といった訳をするとのこと.
 「周囲の人,とくに異性をわくわくさせることを願っている人は,このトニックを使用しなさい,という広告では?」と先生.でも納得しない学生もいます.
 「女性をエキサイトさせるのに,自分がエキサイトしては駄目だ.客を笑わせる落語家は,自分自身は笑わないものだよ」
 そして,正解として示す先生の訳は,「女の子の心をときめかせる若い男性諸君に」というもの.

 本書で上記のエピソードを紹介する著者は,東京大学など多くの大学で英語教育に携わるとともに,『英語青年』などの雑誌で英文解釈の担当を長くしてこられた行方昭夫(なめかたあきお)氏.モーム『人間の絆』,ジェイムズ『ある婦人の肖像』などの翻訳でも知られています.
 「だれでも,中学に入って生まれてはじめて正式に英語を習いだした時にはずいぶん高揚した気分を味わったはずである.その後さまざまな事情で色あせてしまったこの喜びをよみがえらせたいと切望している人は多いと思う.その手助けをしたいという願いをこめて本書を書いた」,と著者は本書への思いを書いています.
 使う語彙を限定して書き直してあるretold版の紹介,参考書の再利用,正しい読解のための12のヒントなど,具体的なアドバイスを盛り込み,最後には,モーム「サミング・アップ」など,4つの読み物を味わい読むところまで導きます.
 英語再入門をしたい,という動機の他にも,インターネットで英文のサイトを読みたい,『ハリー・ポッター』の原書が読みたい,などさまざまな理由で英語に接する人がいるでしょう.英語を正しく読みたいけれど,どうすればいいのか,本書は,そう考えている人に最適な1冊です.

近著に『英語のセンスを磨く』(2003年1月,小社刊)があります.
行方昭夫(なめかた あきお)
1931年,東京に生まれる.東京大学教養学部イギリス科卒業.同学部教授,東洋学園大学学長を経て,現在東京大学名誉教授.著著に『英語のセンスを磨く』『英語のこころを読む』『ジェイムズ研究』(共著)など.訳書にモーム『人間の絆』,ジェイムズ『アスパンの恋文』『ある婦人の肖像』,クローバー『イシ』など.
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