モームの謎

モームが愛した女性,そして男性とは誰か.晩年に襲ったスキャンダルとは.謎多き人生に迫る12章.岩波現代文庫オリジナル版

モームの謎
著者 行方 昭夫
通し番号 文芸218
ジャンル 書籍 > 岩波現代文庫 > 文芸
日本十進分類 > 文学
刊行日 2013/04/16
ISBN 9784006022181
Cコード 0198
体裁 A6 ・ 並製 ・ カバー ・ 294頁
定価 1,078円
在庫 在庫あり
「人生に意味などない」――こう達観した文学者モーム自身の人生には,幾多の「謎」がある.モームが愛した女性,そして男性とは誰か.結婚から離婚に至る実態とは.スパイだったのは本当か.晩年に襲ったスキャンダルとは.モーム作品を愛する著者が,作品を改めて読み解き,新資料も用いつつ書き下ろした全12章.岩波現代文庫オリジナル版

■モームは何を隠したのか?

モームは1874年生まれ。約140年も前に生まれた文学者ですが、1965年91歳まで生きたせいか、生前の姿を聞き知っている日本の読者は多いし、現在でも新訳で作品が紹介されつづけ、それほど昔の人という気がしません。
 「人生には、なぜとか、何のために、というようなことは何もないのだ」――鋭い観察眼をもって人間模様をみつめ、人生に意味はないことを繰り返し語ったモーム。作品の随所に、ちょっとシニカルで、気の利いた言葉が顔を出します。
 これらを読むと、モームはずいぶん人生を達観していたのだなあ、との感想を抱きますが、本書の著者、行方昭夫氏によると「そうではない」のだとか。
 「生涯でなしたすべての行為、心に浮かんだすべての想念を書き記したら、世間は私を邪悪な怪物と思うだろう」と書いていますが、モームは、幾多の秘密を持ち、それをひた隠しにしました。結婚と離婚の真相についても、男性のパートナーとの関係についても、財産をめぐる晩年のスキャンダルについても…。
 本書では、モーム作品を数多く翻訳してきた行方氏が、海外の伝記作家の仕事と自身の探究結果をもとに、モームの生涯にまつわる謎に迫ります。岩波現代文庫のために書き下ろした、読んでおトクな1冊です。
 姉妹編の『モーム語録』(行方編、岩波現代文庫)と一緒にぜひどうぞ。
行方昭夫(なめかた あきお)
1931年、東京に生まれる。1955年東京大学教養学部イギリス科卒業。現在、東京大学名誉教授、東洋学園大学名誉教授。著書に『サマセット・モームを読む』 『モーム語録』 『英文快読術』 『英文の読み方』 『英語の発想がよくわかる表現50』、訳書に『人間の絆』 『月と六ペンス』 『お菓子とビール』 『サミング・アップ』 『モーム短篇選』ほか。

書評情報

中央公論 2013年7月号
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