青いバラ

不可能の実現に人をかき立てるものは,何か? バラと人間,科学,それぞれの存在の相克をたどるノンフィクション.

青いバラ
著者 最相 葉月
通し番号 文芸246
ジャンル 書籍 > 岩波現代文庫 > 文芸
日本十進分類 > 文学
刊行日 2014/09/17
ISBN 9784006022464
Cコード 0195
体裁 A6 ・ 並製 ・ カバー ・ 572頁
定価 1,804円
在庫 在庫あり
青いバラ=この世にないもの.その不可能を実現させようとする人間の飽くなき創造への欲求と,バラという美の存在に魅了され,心酔し,これを庇護するロマンの軌跡.バイオテクノロジーの進展が見せる世界は何色か? “日本のバラの父”との対話を挿入しつつ,バラと人間,科学,それぞれの存在の相克をたどるノンフィクション.


■内容紹介
多くの人が知っている 夢の中には
作り話と嘘しかないもの と.
だが偽りではなく,しかも後になって証かされる
そんな夢を見ることも出来るのだ.
(ギヨーム・ド・ロリス『薔薇物語』見目誠訳,本書エピグラフより)

 「青いバラができたとして,さて,それが本当に美しいと思いますか」
 “日本のバラの父”と称される園芸家,鈴木省三からの問いかけを念頭に,自然界には存在しない「青いバラ」の創造にかける情熱の群像を,分野を横断して取材し執筆されたノンフィクション.
 古今東西の「青いバラ」のイメージの追跡から始まり,「青」という色の定義,日本におけるバラの受容と熱狂の変遷,新品種開発とバイオテクノロジー発展の歴史から遺伝子操作の問題まで,広く深く迫った本書から見えるのは,長い歴史のどの時代においても変わることのない,人間の,バラという美の存在への欲望と崇拝の姿です.
 近年になって,とうとう「青いバラ」の開発成功が伝えられました.この世にないもの,と言われてきた「青いバラ」.ここで,その探求の道は,果たして終わりを迎えるのでしょうか?
 あなたにとっての「青いバラ」とは何か,本書を読んで,ぜひ見つめていただきたいと思います.――それは本当に美しいですか?
~ロサ・ダマスセナ〈ミスター・ローズとの対話1〉

第一章
イメージの系譜/「不可能」の花
~アルバ〈ミスター・ローズとの対話2〉

第二章
バイオ革命/青の野望/ブルー・ジーン
~モッコウバラ〈ミスター・ローズとの対話3〉

第三章
文明開「花」/美しい花がある
~芳純〈ミスター・ローズとの対話4〉

第四章
ブレイブ・ニュー・ローズ
~かがやき〈ミスター・ローズとの最後の対話〉

アフターノーツ あとがきにかえて

参考文献

新潮文庫版あとがき
岩波現代文庫版あとがき

バラ品種・系統名索引
最相葉月(さいしょう はづき)
1963年生まれ.ノンフィクションライター.著書に『絶対音感』(小学館ノンフィクション大賞),『いのち 生命科学に言葉はあるか』,『星新一 一〇〇一話をつくった人』(大佛次郎賞,講談社ノンフィクション賞,日本推理作家協会賞ほか),『ビヨンド・エジソン 12人の博士が見つめる未来』,『セラピスト』など.

書評情報

読売新聞(夕刊) 2014年12月1日
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