原初生命体としての人間

野口体操の理論

からだの動きの実感を手がかりに人間とは何かを探求.従来の身体観を覆す,独創的な運動・感覚・言葉論.

原初生命体としての人間
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著者 野口 三千三 , 養老 孟司 解説
通し番号 社会80
ジャンル 書籍 > 岩波現代文庫 > 社会
日本十進分類 > 芸術/生活
刊行日 2003/06/13
ISBN 9784006030803
Cコード 0175
体裁 A6 ・ 並製 ・ カバー ・ 310頁
定価 本体1,040円+税
在庫 在庫あり
からだの力を抜き,重さに任せきったときに生まれる,ゆらゆらと揺れる気持ちのよい動き.それが「原初生命体の液体的な状態」を実感する動きである.従来の体操観を覆す野口体操の理論は,著者自身のからだの動きの実感を手がかりに生み出された.本書は,その思索を端的に語るものであり,また身体的思考にもとづく独創的な人間論,運動・感覚・言葉論でもある.

■編集部からのメッセージ

「身体性の回復」がいま,ブームになっています.知識偏重ではなく,声に出し,体を動かし体得するもの…….そんな話題にしばしば登場するのが野口体操の創始者,野口三千三氏(1914-98).著者自身のからだの実感から生み出された,独創的な「体操」に注目が集まっています.
 「生きている人間のからだ,それは皮膚という生きた袋の中に,液体的なものがいっぱい入っていて,その中に骨も内臓も浮かんでいるのだ」――こういったからだの実感にもとづく,ゆらゆら,にょろにょろした動き…….一風変わった「体操」ですが,言葉や文字,頭の中だけでわかってしまったかのように思い込んでいる事柄を,自分のからだによる生体実験によって,皮膚を含めて,その内側の全感覚で見つめ・味わい・確かめ・計算し・考え・納得し・判断し・行動したとき,自分自身の中にもっている可能性が,かくも豊かに発見され,また発展させうることを,著者はさまざまな動きから導き出します.
 著者にとって「体操」とは従来の技術・方法としてのものではなく,「自分自身のからだの動きを手がかりにして,人間とは何かを探検する営み」「からだの実感にうったえることにより,ことばの意味を飛躍的に変革する営み」等々,著者自身も枠をはめたくはない,人間変革への可能性をも孕む,壮大かつ深遠なもの.本書を読めば,固いからだも,固い頭も,きっとしなやかさを取り戻すことでしょう.
 野口体操の理論,発想を語った本書は,1972年に初版が刊行されて以来,演劇・音楽・教育・哲学など多方面に影響を与えてきましたが,今回の現代文庫版は,著者自身が大幅に加筆した同時代ライブラリー版(1996年,小社刊)を元にしています.
 解説は解剖学者の養老孟司氏.「私の本業は当時は解剖で,にもかかわらず,生きた身体がどう「生きているか」,はなはだ疑問を感じていた」そんな養老氏が,野口体操に出会って何を感じたのか,ユニークな解説が付されました.
野口三千三(のぐち みちぞう)
1914-98年.群馬県生まれ.群馬師範学校・東京体育専門学校助教授を経て,東京芸術大学教授,のち名誉教授.野口体操教室を長年にわたり主宰.著書に『野口体操・からだに貞(き)く』『野口体操・おもさに貞(き)く』『子どものからだは蝕まれている』(共著)など.
関連図書 羽鳥操『野口体操入門――からだからのメッセージ――』(岩波アクティブ新書)
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