逆命利君

異端の商社マン鈴木朗夫(あきお)は抜群の能力と自己の美学をもち企業社会に果敢に挑戦した.傑作人物評伝.

逆命利君
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著者 佐高 信
通し番号 社会102
ジャンル 書籍 > 岩波現代文庫 > 社会
日本十進分類 > 歴史/地理
刊行日 2004/12/16
ISBN 9784006031022
Cコード 0123
体裁 A6 ・ 並製 ・ カバー ・ 230頁
在庫 品切れ
住友商事の常務だった鈴木朗夫(あきお)は抜群の企画力,折衝力,語学力と自己の美学をもち,屈従と非合理が支配する陰湿な日本的企業社会に対する果敢なチャレンジャーであった.ジャン・コクトーに心酔し,自分をムッシュウと呼ばせたこの気障な教養人の誇り高き生と死のドラマを描く佐高人物評伝の代表作.

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漢の劉向が編集した『説苑』の中にこうある.

「命に逆らいて君を利する,之を忠と謂う」

 住友商事初代総理事,広瀬宰平が好んで使った言葉という.
 住友商事常務・業務本部長鈴木朗夫(あきお)の葬儀が,1987年10月6日杉並区和田堀廟所で挙行された.住商の社葬申し出を断り,鈴木家葬として営まれた.享年56歳,胃がんで逝った鈴木は,ジャン・コクトーに心酔した教養人であり,ワーカホリックの日本人を軽蔑しながら,仕事は抜群にできた.弔辞を読んだのは,社長伊藤正である.
 伊藤は,「上からの命令に逆らっても,あえて正しいと思うことを言う.そして君に利することこそ忠なんだということでしょう.大体,下のものが上のものに,あなた間違っていますよと,面白半分にいえるものじゃないんですよ」と,鈴木を評している.「伊藤さんは教養が足りない」といわれながら,鈴木を引き上げていった伊藤,この本は二人の確執を軸に日本の企業社会を描く.
 「国際化」は本来「内を開く」ことであり,社畜の生活から脱却することである.佐高さんは,このムッシュウと自分を呼ばせたキザな男に辟易しながら,屈従と非合理が支配する日本企業への果敢なチャレンジャーとしての一面を評価して,面白い物語をつくりあげた.佐高人物評伝の代表作.
佐高 信 (さたか まこと)
1945年山形県酒田市生まれ.慶応義塾大学法学部卒業.高校教師,経済誌編集長を経て,1982年に評論家として独立.著書『湛山除名――小日本主義の運命』『文学で社会を読む』(岩波現代文庫),『日本国憲法の逆襲』『葬送譜』『司馬遼太郎と藤沢周平』『石原莞爾』『城山三郎の昭和』『日本論』『経済戦犯』他多数.

書評情報

WEDGE 2006年1月号
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