ゆびさきの宇宙

福島智・盲ろうを生きて

盲ろう者として幾多のバリアを突破してきた東大教授・福島智の生き方に魅せられたジャーナリストが密着.

ゆびさきの宇宙
著者 生井 久美子
通し番号 社会281
ジャンル 書籍 > 岩波現代文庫 > 社会
日本十進分類 > 歴史/地理
刊行日 2015/02/17
ISBN 9784006032814
Cコード 0123
体裁 A6 ・ 並製 ・ カバー ・ 324頁
定価 1,210円
在庫 在庫あり
ヘレン・ケラーと同じような障害をもつ東大教授・福島智.無音漆黒の世界にただ一人,果てしない宇宙に放り出されたような孤独と不安.それを救ったのが母の考案した「指点字」とその「通訳」の実践だった.盲ろう者として幾多のバリアを突破してきた福島の生き方に魅せられたジャーナリストが密着,その軌跡と思想を語る.


■著者からのメッセージ
 目が見えず,耳も聞こえない.ヘレン・ケラーと同じような障害をもつ東大教授・福島智.羽をもがれるようにして,光と音を失って育つ.3歳で目に異常がみつかり,4歳で右眼を摘出.9歳で左の視力も失う.14歳で右耳,そして18歳ですべての音も奪われ「盲ろう者」となる.無音漆黒の世界にたった一人.地球からひきはがされ,果てしない宇宙に放り出されたような孤独と不安.それを救ったのが母の考案した「指点字」と「指点字通訳」の実践だった.
 盲ろう者として初めて大学に進学,いくつものバリアを突破してきた.そして恋も結婚も…….でも,生きること自体が戦いだ.「いつもリングに上がって戦っているようで.いいかげん,降りたくなるよなあ」
 落語とSFを愛し,ユーモアと切なさをもつふしぎな人.彼に引き込まれ,追いかけながら,考えた.生きるって何だろう…….
プロローグ
1 盲ろうとは――「黙殺」されてきたその存在
2 誕生と喪失――三歳で右失明,九歳で左も
3 わんぱくと音楽――盲学校・一四歳で片耳に不安
4 男版ヘレン・ケラーとちゃうか――八一年二月の俺・全盲ろうに
5 指点字考案――母から見た智
6 「通訳」誕生――トムとケティ―
7 結婚――夫婦げんかに指点字通訳
8 「適応障害」――福島智を生きるということ
9 仕事と研究1――バリアフリーって何? コミュニケーションって何?
10 仕事と研究2――セーフティ・ネットって何? 自立って何?
11 仲間たち――人生は冒険
12 自画像――ありのままの福島智
13 子どもたちへ――福島流「生きる哲学」

あとがき
岩波現代文庫版あとがき
指点字一覧表
参考文献
関連年表
生井久美子(いくい・くみこ)
朝日新聞記者.京都市生まれ.上智大学文学部心理学科卒業.1981年朝日新聞入社.仙台支局,政治部をへて,医療や介護,福祉の現場の取材を続ける.近年は「プロメテウスの罠」取材班で「残ったホーム」を連載.第30回ファイザー医学記事大賞受賞.『人間らしい死をもとめて――ホスピス・「安楽死」・在宅死』(岩波書店)『私の乳房を取らないで――患者が変える乳ガン治療』(三省堂)『介護の現場で何が起きているのか』『付き添って――ルポ 老人介護の24時間』(朝日新聞社)など.

書評情報

朝日新聞(朝刊) 2015年5月31日
しんぶん赤旗 2015年5月24日
毎日新聞(朝刊) 2015年4月19日
読売新聞(朝刊) 2015年4月12日
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