野口体操入門

からだからのメッセージ

故野口三千三氏の独特の身体観をもとに生まれた野口体操.その理論と実践法を多数の写真を用いて解説.

野口体操入門
著者 羽鳥 操
通し番号 社会287
ジャンル 書籍 > 岩波現代文庫 > 社会
日本十進分類 > 芸術/生活
刊行日 2015/06/16
ISBN 9784006032876
Cコード 0175
体裁 A6 ・ 並製 ・ カバー ・ 198頁
在庫 品切れ
「生きている人間のからだは,皮膚という袋の中に液体的なものが入っていて,そのなかに骨も筋肉も内臓も脳も浮かんでいる」という故野口三千三氏の身体哲学をもとに生みだされた野口体操の画期的入門書.野口体操のメーキングストーリー,身体観と体操の動きの意味,それぞれの体操の実践方法などを多数の写真でわかりやすく解説.


■内容紹介
 「生きている人間のからだは,皮膚という袋の中に液体的なものが入っていて,そのなかに骨も筋肉も内臓も脳も浮かんでいる」という故野口三千三(1914―98)の独特の身体哲学をもとに生みだされた野口体操.従来の体操観を大きく覆し,演劇・音楽・美術・教育など多方面に影響を与え続けるその体操理論と実践の画期的入門書.多数の写真を用いてその身体観とそれぞれの体操の動きの意味,実践方法などを紹介した旧版に,現代文庫版では,野口体操が発明されるまでのメーキング・ストーリーを加えた.三島由紀夫との関わりなど,興味深い話が満載された「野口体操入門」の決定版.
◎野口体操公式ホームページ
http://www.noguchi-taisou.jp/books/bookp1.html
◎著者のブログ「羽鳥操の日々あれこれ」
http://blog.goo.ne.jp/ngc3003

■著者からのメッセージ
 今年は戦後七〇年という節目である.それに呼応するかのように,ここ数年間に戦争末期から連合国軍による占領期の資料が,手に入りやすい状況になった.もちろん野口の足跡を辿る道しるべとなるような資料もその中に含まれていた.そこで旧版の第一章「現代生活とからだ からだの内側からのメッセージを読み取る」を,戦争末期から戦後の混乱期を経て,野口体操が形づくられる時期に焦点を当てた「野口体操前史――創始者野口三千三の足跡を追って」に大幅に書き換えてみた.
 戦前・戦中と体育の王道を歩いてきた野口が,敗戦後はアウトサイダーとして生きた苦悩の深みに降りていくことは到底できなかった.とはいえ世界に類を見ない「ゆらぎ技法」をもち,独自の身体哲学を内包する野口体操となっていく道筋の片鱗は描き出せたのではないかと思っている.現代文庫所収の『原初生命体としての人間』と併せ読んでいただき,野口体操が敗戦後の日本に生まれた意義を見いだしていただく一助となることを願っている.
(「三途の川を歩いて渡る――あとがきにかえて」より)
まえがき

1.身体感覚を甦らせよう
1-1 野口体操前史――創始者野口三千三の足跡を追って
1-2 野口体操と三島由紀夫――時代とともに変わる身体観

2.からだをほぐす――野口体操とは
2-1 野口体操の身体観
2-2 「重さ」と「はずみ」と「筋力」と
2-3 液体的な動き――たとえばゲルの状態へ
2-4 自然は矛盾することを内包する
2-5 力を抜きながらストレッチをすることの意味
2-6 鞭とハンマー
2-7 曲線と直線
2-8 呼吸の問題
2-9 「ほぐすことの意味」――「梃子」と「振り子」を中心に
2-10 立つことを逆さにしてみたら――逆立ち

3.からだをうごかしてみよう
3-1 上体のぶら下げ――動きの手ほどき,からだほどき
3-2 腕まわし
3-3 腰まわし・胸まわし
3-4 波の動き
3-5 尻たたき・胸つけ
3-6 おへそのまたたき
3-7 やすらぎの動き・真の動き・ひれ伏す動き
3-8 ヨガの逆立ち
3-9 すべる動き
3-10 腕たてバウンド
3-11 四股
3-12 しゃがんで立つ
3-13 「尻あるき」差異の感覚――からだのなかを分ける
3-14 からだをうごかしてみよう

三途の川を歩いて渡る――あとがきにかえて
羽鳥 操(はとり・みさお)
国立音楽大学器楽科ピアノ科卒業.1975年から野口体操創始者・野口三千三氏に師事.以来,氏の直弟子として研鑽を積みながら20年間助手を務める.現在,「野口体操の会」主宰,「野口三千三授業記録の会」代表,立教大学非常勤講師.講演・ワークショップ・執筆活動に従事.著書に『野口体操 感覚こそ力』『野口体操 マッサージから始める』『身体感覚をひらく』(共著)など.

書評情報

BOOK CLUB KAI Newsletter Vol.99(2015年秋)
日本経済新聞(夕刊) 2015年8月6日
朝日新聞(朝刊) 2015年7月26日
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