ことばのために

僕が批評家になったわけ

批評とは何か.批評のことばはどこに生きているのか.その意味と可能性を,思考の原風景からとりだす.

僕が批評家になったわけ
著者 加藤 典洋
ジャンル 書籍 > 単行本 > 文学・文学論
シリーズ ことばのために
刊行日 2005/05/20
ISBN 9784000271059
Cコード 0395
体裁 四六 ・ 並製 ・ カバー ・ 258頁
在庫 品切れ
批評に背を向けても,私たちは生きられる.だが,もし批評がこの世になかったら,私たちの思考はいまよりもっと貧しいものになっていたのではないだろうか.批評とは何か.批評のことばはどこに生き,この世界とどのように切り結んでいるのか.批評という営みが私たちの生にもつ意味と可能性を,思考の原風景から明らかにする.


■著者からのメッセージ
 批評の本を書くことになった.
 書いてみたら,どこにもないようなものができた.考えてみたら,これまで批評についての本というものはなかった,のかもしれない.
 筆者は,こう書きながら不思議な気持だ.こういうものなら,批評というのも悪くないかもしれない,といまは思っている.
 書き出すまでにだいぶ動かないでじっとしている時間があった.でも書き出してからはそれほど時間をかけなかった.
・・・・・・
 このシリーズの一冊として書いたことが,この本の性格を決定している.ここにくるまで何度か話しあった他の編集委員にも,感謝する.
――「あとがき」より
I 批評とは何か
 1 この本のタイトル
 2 僕が批評家になったわけ
 3 文芸批評と批評の酵母
 4 原型としての『徒然草』

II 批評の酵母はどこにもある
 1 対談
 2 注
 3 手紙,日記,きれはし
 4 人生相談
 5 字幕・シナリオ
 6 名刺
 7 科学論文
 8 マンガ

III 批評の理由
 1 もし批評・評論がこの世になかったら
 2 公衆,世間,一般読者
 3 戦争と批評
 4 無名性

IV ことばの批評
 1 批評のことばはなぜ重く難しいのか
 2 なぜやさしいことも難しいのか
 3 なぜことばは二つに分かれるのか
 4 電子の言葉の贈り物

V 批評の未来
 1 平明さの基礎
 2 批評と世間
 3 「面白い」と批評の基準
 4 一階の批評へ

あとがき
加藤典洋(かとう のりひろ)
1948年,山形県生まれ.東京大学文学部卒.国立国会図書館勤務を経て,現在,早稲田大学国際教養学部教授.文芸評論家.『言語表現法講義』(岩波書店,1996年)で第10回新潮学芸賞,『敗戦後論』(講談社,1997年)で第9回伊藤整文学賞,『小説の未来』(朝日新聞社,2004年)『テクストから遠く離れて』(講談社,2004年)で第7回桑原武夫学芸賞を受賞.主な著作に『日本という身体―「大・新・高」の精神史』(講談社,1994年),『アメリカの影―戦後再見』(講談社学術文庫,1995年),『加藤典洋の発言』全3冊(海鳥社,1996・98年),『可能性としての戦後以後』(岩波書店,1999年),『戦後的思考』(講談社,1999年),『日本人の自画像』(岩波書店,2000年),『日本風景論』(講談社文芸文庫,2000年),『ポッカリあいた心の穴を少しずつ埋めてゆくんだ』(クレイン,2002年),『語りの背景』(晶文社,2004年)など.

書評情報

読売新聞(朝刊) 2005年12月25日
毎日新聞(朝刊) 2005年12月18日
東京新聞(朝刊) 2005年8月21日
ダ・ヴィンチ 2005年8月号
ダ・ヴィンチ 2005年7月号
朝日新聞(朝刊) 2005年6月19日
産経新聞(朝刊) 2005年6月12日
毎日新聞(朝刊) 2005年6月12日
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