ジャーナリズムの条件

職業としてのジャーナリスト

報道を担う人びとは,いま何をめざし,どう格闘しているのか.体験の中からメディア再生への主張を展開.

職業としてのジャーナリスト
著者 筑紫 哲也 編集
ジャンル 書籍 > 単行本 > ノンフィクション・ドキュメンタリー
シリーズ ジャーナリズムの条件
刊行日 2005/02/04
ISBN 9784000263979
Cコード 0336
体裁 四六 ・ 並製 ・ 272頁
在庫 品切れ
いま,新聞社・テレビ局などで報道の仕事に携わる人びとは,何をめざし,どのように格闘しているのか.ジャーナリストになしうることとは,いったい何なのか.第一線で活躍する記者・ディレクターらが自らの試行錯誤とそこで得た教訓を率直に明かしつつ,メディアの再生に向けて積極的な主張を展開する.画期的なシリーズの第一弾!

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報道の現場から問う メディア再生への道


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【編集委員】 筑紫哲也 (ジャーナリスト)
  佐野眞一 (ノンフィクション作家)
  野中章弘 (アジアプレス・インターナショナル代表)
  徳山喜雄 (朝日新聞記者)


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いま,日本の新聞・テレビなどのメディアは,事実と真実をどこまで伝えているか? 不信と批判の渦のなかから,どのようにして活路は拓かれるのか? 80余人の筆者がそれぞれ現場での模索と格闘をふまえつつ,ジャーナリズムの針路を提示する画期的なシリーズ.

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◆ 執筆者は,第一線の現場経験豊かなジャーナリスト
◆ ジャーナリズムのあり方や時事問題に関心を持つ広範な人びとに,報道現場の知られざる現状と今後の可能性を伝える待望のシリーズ
◆ メディアの世界での仕事をめざす学生・若者や,いまメディアにかかわっている人たちにとっては,特に必読
◆ 1篇あたりの論考は簡潔で,多彩・豊富な事実や視点を盛り込んだ,1冊250頁のハンディな造本

■[第1冊 責任編集]
 
筑紫哲也

ジャーナリストとは何者か,職業としてそれを選択する際の要件は何か――.これまで多くのことが語られ,書かれてきた.私自身もこのテーマを語ることの多いひとりだが,今回をもって最後,「決定版」にしたいと思っている.

1 職業としてのジャーナリスト

【総論】ジャーナリストとは何者か 筑紫哲也
I  ジャーナリストの仕事
 
防衛庁リスト報道の軌跡 (毎日新聞)大治朋子
沖縄返還密約事件を追って (名古屋テレビ)土江真樹子
真実は公的空間で鍛えられる (NHK)桜井均
「少年事件被害者の視点」への転回 藤井誠二
地方発のドキュメンタリー (熊本放送)村上雅通
終わらない戦後 (アジアプレス)柳本通彦
報道カメラマンの仕事 石川文洋
写真の力を信じて 後藤勝
II ニュース・バリューとは何か
 
「何のために伝えるのか」を基準に (共同通信)石山永一郎
ジャーナリストは何を伝えるのか (朝日新聞)伊藤千尋
視聴率と「伝えたいニュース」 長野智子
豊島の産廃報道 (山陽放送)曽根英二
国際報道とメディアの「ビジネス化」 (学習院女子大)石澤靖治
夕刊タブロイド紙 (日刊ゲンダイ)ニ木啓孝
III ジャーナリストに求められるもの
 
いま,ジャーナリストの条件とは 原寿雄
ジャーナリストは「養殖場」を飛び出そう (日本インターネット新聞)竹内謙
事件記者に求められる視点と姿勢 大谷昭宏
2つの戦争を取材して (共同通信)原田浩司
萎縮するジャーナリズム (『創』)篠田博之
答えも終わりもないプロセスのなかに (アジアプレス)吉田敏浩
北朝鮮取材とジャーナリスト (アジアプレス)石丸次郎

■[第2冊 責任編集]
 
徳山喜雄

世の中が大きな節目を迎え,今ほどジャーナリストの活躍が必要な時代はない.なのに,ジャーナリズムがうまく機能していかない.なぜなのか.どうすればいいのだろうか.本書を現状打破のためのきっかけとしたい.


2 報道不信の構造

【総論】公共性をめぐる倫理 徳山喜雄
I  政治・経済報道の基軸
 
テレビがつくる劇場型政治 蟹瀬誠一
経済報道を分かりやすく (朝日新聞)山田厚史
政治家への取材と報道 国正武重
政治報道の醍醐味と危険 (東京新聞)菅沼堅吾
情報公開を阻む「機密保持」 (インサイドライン)歳川隆雄
政治報道の死角 山田直樹
経済事件報道の壁 須田慎一郎
経済ニュースの伝え方 (キャスター)小谷真生子
II 事件報道のありかた
 
松本サリン事件の教訓 (テレビ信州)倉田治夫
オウム報道を問い直す 川邊克朗
犯罪被害者に配慮した報道とは (朝日新聞)河原理子
少年事件の追跡報道 玉木明
北朝鮮報道とテレビメディア (TBS)萩原豊
週刊誌,その光と影 亀井淳
III 戦争報道の落とし穴
 
フリージャーナリストの戦場取材 (アジアプレス)綿井健陽
自衛隊イラク派遣の現場から (共同通信)石坂仁
戦争の残虐写真は公表すべきか (毎日新聞)越川健一郎
ジャーナリストと“現場” (JVJA)土井敏邦

■[第3冊 責任編集]
 
佐野眞一

今日ほどジャーナリズムの危機が叫ばれる時代はない.権力を批判すべきジャーナリストが権力と化した現状は,市民との関係を乖離させ,不信感さえ生んでいる.このシリーズはその状況突破のための羅針盤である.


3 メディアの権力性

【総論】報道と権力の対抗・癒着 佐野眞一
I  巨大メディアはいま
 
権力化・企業化する巨大メディア 大塚将司
政治権力とメディア (椙山女学園大)川﨑泰資
新聞の「限界」と可能性 (『週刊金曜日』)北村肇
日刊紙を創刊できない構造 (京都経済新聞)築地達郎
地方紙における社内民主主義の危機 大滝純治
II 公権力とメディア
 
司法とメディア 宮本雅史
オウム報道をめぐるメディアの権力性 (作家)森達也
個人情報保護のためのメディア規制 吉岡忍
「論ずる」ことの再生を求めて (『論座』)上丸洋一
権力そのものと化す大手新聞 斎藤貴男
報道の公共性と企業の公益性 (『FLASH』)名和靖将
芸能プロダクションとテレビ・ポリティクス 丸山昇
NHK・ETV特集改竄の裏側 (東京新聞)中村信也
III フリー・ジャーナリストとしての格闘
 
フリー取材の過酷な現実 瀧井宏臣
ヤクザ・暴力団への取材 溝口敦
警察と新聞の関係 曽我部司
宗教ジャーナリズム確立のために 藤田庄市
「自己責任論」の本質 安田純平
徒手空拳で権力と闘う 山岡俊介

■[第4冊 責任編集]
 
野中章弘

時代はメディアの変革を求めている.マスメディアで失われつつあるジャーナリズムの精神を守る人々,メディアの周縁部から自立した新しい表現の場を築く人々.現実と格闘する彼らこそ,変革の担い手なのだ.

4 ジャーナリズムの可能性

【総論】メディア変革の時代 野中章弘
I  マスメディアの再生をめざして
 
市民のための新聞へ (朝日新聞)本田雅和
「伝える意志」を持ち続けること (東京新聞)佐藤直子
ジャーナリズムに<国籍>はあるか? (TBS)金平茂紀
「対話」のためのテレビ・ドキュメンタリー (NHK)鎌倉英也
民主化を闘った韓国メディア (ハンギョレ新聞)李寅雨
報道オンブズマンと市民 (青山学院大)山田健太
労組を通じたネットワークを (毎日新聞)明珍美紀
II 市民型未来系ジャーナリズムの構築
 
「市民メディア」とは何者か 下村健一
インターネット新聞の挑戦と課題 (日刊ベリタ)永井浩
韓国のインターネット新聞 (プレシアン)朴仁奎
時代を撃つビデオ・アクティビスト (ビデオプレス)松原明
映像のゲリラたち (映画監督)土屋豊
ビデオジャーナリズムからインターネット放送へ 神保哲生
インターネット放送の挑戦 (OurPlanet-TV)白石草
ネットを使った市民ジャーナリズム 菅原秀
テレビからの離陸 坂上香
III ジャーナリスト教育とメディア・リテラシー
 
足で取材する現場記者の養成へ (帝塚山学院大)新妻義輔
大学におけるジャーナリズム教育 (上智大)藤田博司
大学でもジャーナリスト養成を (龍谷大)小黒純

  ※所属・肩書を付していない方はフリー・ジャーナリストです.

書評情報

放送レポート 194号(2005年5月)
ジャーナリスト 2005年3月25日号
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