ゼロからの大学物理 3

ゼロからの電磁気学 I

多変数の微積分やベクトル解析といった数学を学びながら,電磁気現象を理解するための基本法則を理解する.

ゼロからの電磁気学 I
著者 出口 哲生 , 和達 三樹 , 十河 清
ジャンル 書籍 > 自然科学書 > 物理・化学
書籍 > シリーズ・講座・全集
シリーズ ゼロからの大学物理
刊行日 2006/09/28
ISBN 9784000066983
Cコード 3342
体裁 A5 ・ 並製 ・ カバー ・ 248頁
在庫 品切れ
毎日利用するさまざまな電気製品はどのように動いているのだろうか.この巻では身近な電気現象からはじめて,電場や磁場といった「場」の概念とそれを記述するための数学──ベクトル解析を学びます.電流や回路なども解説します.豊富な例題を解くことで,日常広く応用されている電磁気現象の基本法則がしだいにみえてきます.


■編集部からのメッセージ
 現代の日本で,1つも電気製品を使わずに生活することはほとんどないでしょう.家では電球や蛍光灯で部屋を明るくし,食事の準備に電子レンジやトースターなどを使います.通学や通勤の電車も電気を動力にして動いています.このHPをみているあなたがいま使っているパソコンや携帯電話などの情報機器も電気で作動します.現代社会は「電気」なくしては成り立ちません.
 さまざまな電気機器が期待通りの仕事をしてくれるのは,電気や磁気の現象がある決まった法則にしたがって生じるからです.この法則の意味を理解しさまざまな応用へとつなげるのが電磁気学なのです.現代社会を支える極めて重要な学問といえるでしょう.
 電磁気学の基本法則はマクスウェル方程式という4つの方程式にまとめられています.この式の意味するところを理解巣することが『ゼロからの電磁気学 I 』『ゼロからの電磁気学II』の最終目標です.見慣れない数学記号の入ったむずかしそうな式ですが,必要な数学を順を追って解説していきますので心配無用です.
 『ゼロからの電磁気学 I 』は身近な電気現象と微分,積分,ベクトルなどの力学でも学んだ数学の復習からはじめて,マクスウェル方程式の理解に必要な知識を少しずつ解説します.例題や演習問題に取組ながら読み進めてください.目には見えない電気や磁気がみえてきます.
第1章 電荷にはたらく力
1.1 身近な電気現象
1.2 電気の源としての電荷
1.3 クーロンの法則
1.4 電気力はベクトル量
1.5 電気双極子
1.6 連続的な電荷分布
1.7 面積積分と体積積分
1.8 ミクロにみた電荷
第1章 問題

第2章 静電場と電気力線
2.1 電荷が生み出す場
2.2 重ね合わせの原理
2.3 ガウスの法則と電気力線
2.4 ガウスの法則の応用
2.5 一様な静電場の静電ポテンシャル
2.6 ベクトル積と行列式
2.7 一様電場中の電気双極子
第2章 問題

第3章 線積分と多変数の微分
3.1 偏微分――多変数関数の微分
3.2 全微分
3.3 ナブラ演算子と全微分
3.4 曲線の長さと接線
3.5 線積分と仕事
第3章 問題

第4章 静電ポテンシャルと静電場
4.1 静電ポテンシャル
4.2 線積分と静電ポテンシャル
4.3 一般の電荷分布と静電ポテンシャル
4.4 帯電した導体の電位
4.5 電荷分布のエネルギー
4.6 電場に蓄えられるエネルギー
第4章 問題

第5章 ベクトル解析と静電場の方程式
5.1 電場の発散とガウスの法則
5.2 ガウスの定理
5.3 ポアソン方程式と静電場
5.4 導体表面の静電場:鏡像法
5.5 ベクトル場の回転と循環
5.6 ストークスの定理
5.7 ベクトル場の回転とポテンシャル
第5章 問題

第6章 直流電流と電気回路
6.1 マクロに見た電流
6.2 直流電流の回路
6.3 ミクロにみた電流
6.4 物質の電気抵抗
6.5 電荷の保存と連続の式
6.6 オームの法則のミクロな導出
第6章 問題

第7章 変動しない磁場――静磁場
7.1 運動する電荷と磁場――ローレンツ力
7.2 電流が磁場をつくる――アンぺールの法則とビオ・サバールの法則
7.3 直線電流どうしの相互作用
7.4 N極だけの磁石はない
7.5 微分形のアンぺールの法則
7.6 ベクトルポテンシャル
7.7 電流から磁場の計算――ベクトルポテンシャルの応用
7.8 ベクトル解析の基本定理
第7章 問題

章末問題解答
索引
出口哲生(でぐち てつお)
1964年生まれ.1990年東京大学大学院理学系研究科博士課程退学.東京大学理学部助手などを経て,現在,お茶の水女子大学理学部教授.博士(理学).専門は数理物理学,とくに物性基礎論.

和達三樹(わだち みき)
1945年生まれ.1970年ニューヨーク州立大学大学院修了(Ph.D).ニューヨーク州立大学研究員,筑波大学理工学系助教授などを経て,現在,東京大学大学院理学系研究科教授.専門は理論物理学,とくに物性基礎論,統計力学.岩波書店発売の著書『物理のための数学』は好評のロングセラー.

十河 清(そごう きよし)
1949年生まれ.1981年東京大学大学院理学系研究科物理学専攻博士課程修了.計算流体力学研究所などを経て,現在,北里大学理学部助教授.理学博士.専門は数理物理学,統計力学.岩波書店発売の著書『キーポイント 熱力学・統計力学』(共著)が好評発売中.
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