ゼロからの大学物理 4

ゼロからの電磁気学 II

交流回路などの応用例とともに時間変動する電場・磁場について学び,電磁気現象の基本法則をまとめる.

ゼロからの電磁気学 II
著者 出口 哲生 , 和達 三樹 , 十河 清
ジャンル 書籍 > 自然科学書 > 物理・化学
書籍 > シリーズ・講座・全集
シリーズ ゼロからの大学物理
刊行日 2006/12/26
ISBN 9784000066990
Cコード 3342
体裁 A5 ・ 並製 ・ カバー ・ 238頁
在庫 品切れ
時間とともに変化する電場・磁場の取り扱いを学ぶ.磁場の変化が電場を生みだす「ファラデーの電磁誘導の法則」を,交流回路,発電機といった応用上重要な例とともに解説し,電磁気現象の基本法則をマクスウェル方程式としてまとめる.物質中での電磁場の扱いや電磁波の反射・屈折,電磁気学の単位についても解説する.(全5巻完結)


■編集部からのメッセージ
 『ゼロからの電磁気学 I 』では時間が経っても変化しない電場と磁場について扱いました.この巻では電磁場の時間変化を扱います.
  普段使われているコンセントの電気は東日本では1秒間に50回,西日本では1秒間に60回,電圧の方向が入れ替わる交流と呼ばれるものです.つまり時間変化しているわけです.このことからもわかるように電磁場の時間変化は応用上たいへん重要です.この巻でも,交流回路や発電機,モーターといった基礎的な応用例を学びます.
  電磁場の時間変化と関連してたいへん重要なことは,電場が変化すると磁場が発生し,逆に磁場が変化すると電場が発生するということです.電場の変化で発生した磁場がさらに電場を生み出し,その電場がさらに磁場を生み出し……,と繰り返されて空間を伝わっていくのが,電波や光(総称して電磁波といいます)です.テレビやラジオ,携帯電話など,電波を使った技術は身の回りに数多くあります.
  電場(磁場)の変化が磁場(電場)を生み出すことは,電気と磁気のもつ基本的な性質で,電磁気学の4つの基本法則に含まれています.この法則と『電磁気学Ⅰ』で学んだ法則をあわせて,すべての電磁気現象の根本にある法則がついに出そろいます.一見むずかしい数学の記号であらわされていますが,それらの意味を例題に取り組みながら少しずつ理解していけば,非常にシンプルで美しい法則であることがわかります.『ゼロからの電磁気学 I 』とあわせてぜひ挑戦してみてください.
第8章 電磁誘導の法則
 8.1 磁束密度と磁束
 8.2 電磁誘導
 8.3 電磁誘導の法則を微分形で表わす
 8.4 自己誘導と相互誘導
 8.5 磁場のエネルギー
 第8章 問題

第9章 時間的に変動する電流回路
 9.1 交流回路
 9.2 複素数の導入
 9.3 複素インピーダンスの応用
 9.4 振動回路の共鳴
 9.5 過渡現象
 第9章 問題

第10章 マクスウェル方程式
 10.1 変位電流
 10.2 電荷の保存則と変位電流
 10.3 電磁気学の基礎方程式
 10.4 真空中の電磁場の波動方程式
 10.5 波動と波動方程式
 10.6 電磁波の検証
 第10章 問題

第11章 真空中の電磁波(電磁波の基本的性質)
 11.1 マクスウェル方程式の平面波解
 11.2 直線偏光と円偏光
 11.3 様々な電磁波
 11.4 ポインティングベクトルと電磁場のエネルギー密度
 11.5 電磁波の運動量とマクスウェルの応力
 11.6 電磁波の放射
 第11章 問題

第12章 誘電体中の電磁場
 12.1 分極ベクトルと電束密度
 12.2 物質内部での誘電率
 12.3 電束密度とガウスの法則
 12.4 電場や電束密度の満たす境界条件
 12.5 電気双極子と誘電分極
 第12章 問題

第13章 物質中の磁場
 13.1 磁気双極子と微小電流回路
 13.2 磁性体の磁化
 13.3 強磁性体
 13.4 磁荷と磁場
 13.5 磁気双極子のベクトルポテンシャル
 第13章 問題

第14章 物質中の電磁波
 14.1 マクスウェル方程式
 14.2 誘電体中の電磁波
 14.3 電磁波の反射と透過
 14.4 電磁波の屈折
 14.5 誘電体中の電磁波の分散関係
 14.6 導体中の電磁場
 第14章 問題

付録A 電磁気学の単位
 A.1 電磁気の3つの力の定数
 A.2 MKSA単位系,cgs単位系

章末問題解答
索 引
出口哲生(でぐち てつお)
1964年生まれ.1990年東京大学大学院理学系研究科博士課程退学.東京大学理学部助手などを経て,現在,お茶の水女子大学理学部教授.博士(理学).専門は数理物理学,とくに物性基礎論.

和達三樹(わだち みき)
1945年生まれ.1970年ニューヨーク州立大学大学院修了(Ph.D).ニューヨーク州立大学研究員,筑波大学理工学系助教授などを経て,現在,東京大学大学院理学系研究科教授.専門は理論物理学,とくに物性基礎論,統計力学.岩波書店発売の著書『物理のための数学』は好評のロングセラー.

十河 清(そごう きよし)
1949年生まれ.1981年東京大学大学院理学系研究科物理学専攻博士課程修了.計算流体力学研究所などを経て,現在,北里大学理学部助教授.理学博士.専門は数理物理学,統計力学.岩波書店発売の著書『キーポイント 確率・統計』(共著)が好評発売中.
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