リスク学入門 5

科学技術からみたリスク

科学技術の発達が生んだ新たなリスクと,科学的方法が可能にするリスク学を,具体例に即して解説する.

科学技術からみたリスク
著者 橘木 俊詔 , 長谷部 恭男 , 今田 高俊 , 益永 茂樹
ジャンル 書籍 > シリーズ・講座・全集
シリーズ リスク学入門
刊行日 2007/09/04
ISBN 9784000281355
Cコード 3336
体裁 A5 ・ 上製 ・ カバー ・ 180頁
在庫 品切れ
科学技術の発達は,化学物質や放射線,産業災害などによる新たな人為的リスクを生んだ.しかし同時に,定量化・モデル化といった科学的な評価・分析方法は,地球温暖化問題や生態環境,地震対策などのさまざまな分野で,より信頼できるリスク学を可能にしつつある.科学とリスクの基礎知識を具体例に即して解説する.


■編集部からのメッセージ
 リスク社会という言葉はある意味で科学技術が進歩したがゆえに生まれた言葉とも言われています.しかし現代社会において「リスクゼロ」ということはありえません.何らかの形で,トレード・オフを考えざるを得ないというのが現実です.たとえば,水道水ですが,河川から引いてきた水は直ぐには飲料用にはならず,どうしても大腸菌などの菌を消毒するために塩素系の薬剤を投下します.それは発ガンの危険性を増大します.水を飲まないわけにはいきませんから,薬剤の適当な代替物が見つからないかぎり,危険を伴う薬剤に頼らざるを得ないわけです.ではどこまで殺菌剤を投下してよいのか,そこにリスク管理の考えが生まれます.
 科学技術は社会を混乱・不安にさせるために生まれたわけではなく,あくまで利便性や社会全体の利益のために生まれたわけですが,上記のようにどうしてもトレード・オフ的な要素がつきまといます.
 本書では,地球温暖化,生態系破壊,食の安全性,放射線被曝,地震,産業災害,環境汚染などをトピックに,リスク管理をどのように考えたらよいかを解説したものです.もちろん,すべてが管理できるわけではありません.数値化できることはほんのわずかですし,基礎となる臨床的なデータが得られていることは少数です.マウスでわかれば人間でわかるかというとそんなことはありません.
 科学技術が示すリスク管理が,社会的リスクにそのまま応用できるわけではなく,きわめて複雑なことでも,こうすれば一定の数値化が可能であり,それができればこうしたリスク管理が可能ということを示しているわけです.
 こうしたことをぜひとも多くの方に,知っていただきたく本書を紹介しました.関連本として,『演習 環境リスクを計算する』もぜひご覧ください.
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