一橋大学経済研究叢書 50

開発のミクロ経済学

理論と応用

マクロ的視点を重視した開発経済学や,市場メカニズム依存の新古典派モデルを乗り越える理論と実証.

開発のミクロ経済学
著者 黒崎 卓
ジャンル 書籍 > 単行本 > 経済
書籍 > シリーズ・講座・全集
シリーズ 一橋大学経済研究叢書
刊行日 2001/02/20
ISBN 9784000097253
Cコード 3333
体裁 A5 ・ 並製 ・ カバー ・ 272頁
在庫 品切れ
発展途上国では,伝統的な制度・組織や価値観と,冷徹な市場原理とが共存する.この共存の意味を明らかにする理論枠組を提示し,南アジア農村の現地調査やミクロデータに基づき厳密な実証分析を行う.マクロ的視点を重視する従来の開発経済学や,市場メカニズムを全面的に信頼する新古典派開発経済学を乗り越える画期的試み.


■著者からのメッセージ
 これまでの開発政策や貧困削減政策の多くは、必ずしも期待された成果をあげてきませんでした。 この理由のひとつとして、制約・インセンティブといった人々の経済行動に関わる諸条件を十分に理解た上で、それらに合致した政策が実施されてこなかったことがあるのではないかというのが、本書の基本的な問題意識です。 この諸条件を明らかにするための理論として、近年進展著しい情報・リスク・契約関係や制度などを扱うミクロ経済学の一分野を取り上げ、 この理論を実 証的に応用するためのツールとして、主に家計データを扱うミクロ計量経済学を用いました。 今回の受賞は、実証と経済理論を適切に組み合わせ、理論、実証と 政策的視点を融合させるという本書の試みが評価されたこととして、非常に光栄に感じます。
 本書の受賞が、開発に関する経済理論、途上国を題材とした応用経済学の実証研究、そして開発の現場における望ましい制度・政策設計の3者が、密接に結びついたものとなる端緒となればうれしい限りです。 微力ながら今後もこの方向で、自分の研究を進めていきたいと思います。
黒崎 卓 (くろさき・たかし)
1964年生まれ。87年東京大学教養学部を卒業。アジア経済研究所入所。 90年スタンフォード大学食糧研究所大学院入学、95年同博士課程修了(Ph.D.取得)。1997年より一橋大学経済研究所助教授。専攻は開発経済学・農業経済学。
著訳書に
Risk and household behavior in Pakistan's agriculture, Institute of Developing Economies, 1998
『テキストブック開発経済学』(共著、有斐閣、1997年)
『開発と貧困』(共著、アジア経済研究所、1998年)
『貧困と飢饉』(アマルティア・セン著/共訳、岩波書店、2000年)
などがある。

書評情報

経済セミナー 2004年4月号
日本経済新聞(朝刊) 2001年11月3日
経済セミナー 2001年7月号

受賞情報

第5回国際開発研究 大来賞
第44回日経・経済図書文化賞
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