岩波セミナーブックス S13

アダム・スミス『国富論』を読む

『国富論』を当時の文脈の中において読み解くことで,スミスの考え方とその現代における意味について考える.

アダム・スミス『国富論』を読む
著者 丸山 徹
ジャンル 書籍 > 単行本 > 岩波セミナーブックス
書籍 > シリーズ・講座・全集
シリーズ 岩波セミナーブックス
刊行日 2011/10/25
ISBN 9784000281836
Cコード 0333
体裁 四六 ・ 並製 ・ カバー ・ 270頁
在庫 品切れ
経済学の祖アダム・スミスの主著『国富論』を中心に,彼の著作を18世紀後半のイギリス社会の文脈の中に位置づけて,縦横に読み解いていくことで,何が見えてくるのか.彼が当時の現実にどのように向き合っていたか,彼の考え方がどのようなものであったかを明らかにするとともに,彼の経済学を現代の視点から読み直す.

■著者からのメッセージ

丸山 徹
 かねてから,アダム・スミスについてはなんらかの形でまとめておきたいと思っていたが,昨年の秋,岩波市民セミナーの連続講義にお招きいただき,その折の速記録に基づいて本書を拵えた.
 まず歴史的背景をひととおり展望したのち,前半ではスミスの経済学説の基礎を成す『国富論』第一,二編の主要内容を,極力スミス自身の叙述に寄り添いつつ,しかし理論上の曖昧さを拭って整理し,その骨格をより鮮明に透視しうるよう努めたつもりである.また後半は,スミスが渾身の力をふるって反駁の対象とした重商主義(第四編)と,ただ『国富論』の精読だけでは捉えきれないスミスの自然観,学問観とを,テキストに付かず離れずの自由な流儀で語ろうと試みた.やや大風呂敷をひろげた感がある.悠々とした歴史の流れのなかで『国富論』にいろいろな角度から光をあてて読む楽しさをお話ししたかったのである.
 光をあてる角度を少し変えると,多くの読者にとって見なれたスミスの相貌に,ときどき思いがけない表情が浮かぶのに心を留めていただきたい.
――「あとがき」より
丸山 徹(まるやま とおる)
1949年東京生まれ.72年慶應義塾大学経済学部卒業.現在,同学部教授,東京大学大学院数理科学研究科客員教授を兼ねる.経済学博士.専攻は函数解析学,数理経済学.主な著作に『数理経済学の方法』(創文社)1995年『経済数学』(知泉書館)2002年『積分と函数解析』(シュプリンガーフェアラーク東京)2006年『新講 経済原論』第二版(岩波書店)2006年『ワルラスの肖像』(勁草書房)2008年など.ほかに随筆集『春宵』(慶應通信)1989年,『水たまりの青空』(三月書房)2002年がある.

書評情報

週刊東洋経済 2011年12月3日号

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