新装版 岩波美術館 歴史館

第4室 神の国とひとの国

中世ヨーロッパ

ラテン世界を軸にキリスト教を絶対権威として,北方諸民族が開花発展させた古代的要素の濃いみごとな造形.

第4室 神の国とひとの国
著者 前川 誠郎 解説
ジャンル 書籍 > 単行本 > 芸術
シリーズ 新装版 岩波美術館 歴史館
刊行日 2002/07/24
ISBN 9784000089449
Cコード 0371
体裁 その他・規格外 ・ 上製 ・ カバー ・ 88頁
在庫 品切れ
古代ギリシア・ローマとルネサンスの狭間にある中世西欧美術は,ラテン世界を中心にキリスト教を絶対的権威として,ケルト・ゲルマンなど北方諸民族がになう古代的要素の濃いものであった.ロマネスクやゴシックの聖堂を飾る写本・壁画・ステンドグラス・彫刻などには,民族を超えて開花発展したみごとな共通の文化がある.

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 中世という観念が、ギリシア・ローマの古代とその再現であるルネサンス(15~16世紀)との間に挟まった中間の時代という考え方から生まれてきたものであることは……すでに述べた通りです。ローマ帝国の滅亡をもって古代が終わったとするなら中世の初めはおよそ西暦400年、それから14世紀の末までちょうど1000年間が中世ということになります。1000年という時間はたいへんな長さです。……凡人には100年の歳月をすら容易には実感できません。その10倍の時間を一口に中世と呼んでも、それがとうてい単一的なものではあり得なかったことは明らかです。
 しかし概念の成立よりすでに四、五百年経った現在でも中世という言葉が相も変わらず使われているとするとならば、そこにはこの1000年間を一つの統一体と見なしうる何かの特徴があるはずで、それがキリスト教の絶対的権威であったことは申すまでもありません。……
(前川 誠郎「神の国とひとの国」より)

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炉の中の三人のユダヤ人
3世紀中ごろ,壁画,50×87cm
ローマ,プリシルラのカタコンベ

福音書の十字架図
『リンディスファーン福音書』,7世紀末
犢皮紙,34×24cm
ロンドン,大英図書館

預言者ホセア
11世紀,ステンドグラス,230×55cm
ドイツ,アウグスブルク大聖堂

王の門(部分)
1145~1155年制作
フランス,シャルトル大聖堂西正面扉口

ピエタ
15世紀第1・四半期,木版画,手彩色,20.1×13.7cm
ウィーン,アルベルティーナ

書評情報

読売新聞(朝刊) 2010年1月24日
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