新装版 現代物理学の基礎 4
量子力学 II
散乱理論,数学的基盤,情報の物理について解説する.最後に観測理論,実在論と時間論を考察する.
量子力学の基本構成を論じたⅠ巻につづき,散乱理論,量子力学の数学的構造,情報物理との関係について解説する.ただし,量子力学はいまなお物理理論として完全に閉じてはいない.まだ未解決な部分も多い.まとめとして,量子力学的世界像はどうあるべきか,観測理論,実在論と時間論という二つの観点から考察する.
■編集部からのメッセージ
量子力学にとって,観測と実在をどう両立させるのかという問題は,当初から深刻な問題であった.その不完全さを突いたアインシュタインらの論文,いわゆるEPR論文は,のど元に刺さった刺のようなものだったと言えるだろう.しかしながら,その後の量子力学の目覚ましい発展,先端技術への量子力学の応用の大成功などを経て,いつのまにかEPR論文は忘れ去られていった.
ところが,今日このEPR論文は量子力学を学ぶもの,とくに量子情報理論という新しい学問分野に乗り出そうというものにとっては必須の論文となっている(筒井泉『量子力学の反常識と素粒子の自由意志』).そこでは,量子力学のもつ避けがたい深刻な問題の重要な意味が問われているのだ.
本書の目次からもわかるように,本書のねらいの1つもまさに,その観測問題にある.監修者の湯川秀樹自らが,この観測と実在という問題をどう理解すべきか,またそこから見えてくる「量子力学的世界像」とは何かを論じたのが本書だ.むろん,その議論の展開は時代の制約があるにせよ,ぜひとも多くの方に読んで考えてもらいたい内容である.
■執筆担当
第12~13章 並木美喜雄
第14~15章 位田正邦
第16~18章 江沢洋
第19章 豊田利幸・並木美喜雄
第20~21章 湯川秀樹
■編集部からのメッセージ
量子力学にとって,観測と実在をどう両立させるのかという問題は,当初から深刻な問題であった.その不完全さを突いたアインシュタインらの論文,いわゆるEPR論文は,のど元に刺さった刺のようなものだったと言えるだろう.しかしながら,その後の量子力学の目覚ましい発展,先端技術への量子力学の応用の大成功などを経て,いつのまにかEPR論文は忘れ去られていった.
ところが,今日このEPR論文は量子力学を学ぶもの,とくに量子情報理論という新しい学問分野に乗り出そうというものにとっては必須の論文となっている(筒井泉『量子力学の反常識と素粒子の自由意志』).そこでは,量子力学のもつ避けがたい深刻な問題の重要な意味が問われているのだ.
本書の目次からもわかるように,本書のねらいの1つもまさに,その観測問題にある.監修者の湯川秀樹自らが,この観測と実在という問題をどう理解すべきか,またそこから見えてくる「量子力学的世界像」とは何かを論じたのが本書だ.むろん,その議論の展開は時代の制約があるにせよ,ぜひとも多くの方に読んで考えてもらいたい内容である.
■執筆担当
第12~13章 並木美喜雄
第14~15章 位田正邦
第16~18章 江沢洋
第19章 豊田利幸・並木美喜雄
第20~21章 湯川秀樹