新装版 現代物理学の基礎 7

物性 II

素励起の物理

莫大な量の原子・分子からなる物質の性質をいかに記述するか.「素励起」の概念を用いて統一的に扱う手法.

物性 II
著者 中嶋 貞雄 , 豊沢 豊 , 阿部 龍蔵
ジャンル 書籍 > 単行本 > 物理学
書籍 > 自然科学書
書籍 > シリーズ・講座・全集
シリーズ 新装版 現代物理学の基礎
刊行日 2012/01/25
ISBN 9784000298070
Cコード 3342
体裁 A5 ・ 上製 ・ カバー ・ 400頁
在庫 品切れ
物質は莫大な量の原子・分子から構成される.その巨視的物性を外部からの摂動に対する応答とみるとき,低励起状態では,ある種の粒子の集団として巨視的物性が統一的に記述される.そこで有効なのが「素励起」の考え方である.この方法により,結晶やフォノン,誘電分散,フェルミ流体,相転移や臨界現象,くりこみ群などを扱う.

■編集部からのメッセージ

水素原子に始まり,さまざまな原子・分子のもつ性質については,その性質がなぜ生じるのか,またどのような性質をもつのかは『物性Ⅰ』の巻で扱った.この『物性Ⅱ』の巻では,外から何らかの力を加えたり,環境の変化を与えたりしたときに,物質の機能や性質がどのように変化するかを解説するのがねらいである.
 最近では,外からの相互作用の大小や種類の差だけでなく,時間的にどのように変化するのか,動的に解析するのが盛んになっている.ただし,そこの変化は単純ではなく,本来非平衡系・非線形の世界であるがゆえに,その解析は至難をきわめる.
 本書は,そうした多様に変化する描像をいかに統一的に記述するかを目標にしている.すなわち,巨視的な物性を外場から与えられた変化に対応する,ある種の粒子集団の応答現象として捉えようというわけである.それが「素励起」である.
 じつは,このあたりの物性研究はここ40年の間にきわめて大きな進展があった.進展があった一方で,また物性の奥深さが再認識された時代でもある.超伝導ひとつとっても,多様な物質で観察でき,本書で扱われるようなモデルを前提とする議論だけでなく,実際に量子力学の第一原理にしたがって,物質の挙動をシミュレーションできるようになってきた.まさに発展している分野である.
 そうした進展を理解するうえで,本書で解説されていることは,おおいに役立つものと思われる.

■執筆担当

1章:中嶋貞雄
2章:豊沢 豊
3章:阿部龍蔵
4章:中嶋貞雄
5章:豊沢 豊
6章:中嶋貞雄,阿部龍蔵
7章:豊沢 豊
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