双書 哲学塾

ここにも神々はいます

初期の哲学では神は宇宙世界そのものであり,究極的実在だった.最も創造性豊かなギリシア哲学の核心.

ここにも神々はいます
著者 内山 勝利
ジャンル 書籍 > 単行本 > 哲学
シリーズ 双書 哲学塾
刊行日 2008/01/08
ISBN 9784000281614
Cコード 0310
体裁 B6変 ・ 上製 ・ カバー ・ 150頁
在庫 品切れ
ヘラクレイトスが火を前にして「ここにも神々がいます」と言ったように,かつて神は宇宙世界そのものであり,究極的実在でした.そこに登場した強力な論理をもったパルメニデスの実在論は哲学の起爆装置となり,ギリシア哲学を揺り動かします.実在への問いと神へのまなざしが織り上げる最も創造性豊かなギリシア哲学の核心.

■著者からのメッセージ

内山勝利
 奇妙に聞こえるかもしれませんが,哲学は旅行から始まったのです.「ソロンの改革」を断行して古代ギリシアに民主制の道を開いたことで有名なソロンは,その直後にエジプトや小アジア各地を見物して歩きます.彼は普通の意味での哲学者というわけではありませんが,「哲学する」ということばは,そんな彼の旅行のことをいいあらわすために新しく造られたようなものです.一番もとの意味は「物好き」とか「知的好奇心」にほかなりません.そのころの旅行はけっして楽なものではなく,危険もありました.しかし,遠い世界のことを話に聞くだけでなく,自分の目でじかに見なくては得心できない知的冒険心,それがみずからの力で世界と人生についてどこまでも考え抜く「哲学」を成立させる原動力となったのです.古代ギリシアの哲学者たちがいつまでも魅力を失わないのは,彼らがすぐれた学説を立てたということよりも,むしろ自由に,大胆にものごとを究極まで考究してやまない,知的活動の伸びやかさをありありと示しているからでしょう.彼らとともに,真実在という「神」にめぐりあう旅に出てみませんか.
内山勝利(うちやま かつとし)
1942年生まれ.京都大学名誉教授.専攻,ギリシア哲学.
著書:『対話という思想』(岩波書店),『哲学の初源へギリシア哲学論集』(世界思想社)ほか.
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