叢書 震災と社会

メルトダウン

放射能放出はこうして起こった

福島第一原発の格納器内の全貌はいまだに不明だ.本書は公開情報をもとに簡単な手計算で真相に迫る.

メルトダウン
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著者 田辺 文也
ジャンル 書籍 > 単行本 > 社会
シリーズ 叢書 震災と社会
刊行日 2012/12/26
ISBN 9784000285278
Cコード 0336
体裁 B6 ・ 上製 ・ カバー ・ 180頁
定価 本体1,800円+税
在庫 在庫あり
福島第一原発は,いまだに内部で何が起きたのか,また起きているのか真相がわかっていない.公式に発表される情報はあくまで限定的だ.本書は,完全な情報公開こそ先決としながらも,一方,限られた公開データから簡単な手計算で実態を推論できる道筋を示す.市民自らが推論し,具体的な情報開示を迫ることの大切さを説く.

■編集部からのメッセージ

東京電力の福島第一原発事故はいまだ終息していない.水素爆発を起こした原子炉1号機,3号機のみならず,また深刻な放射能被害をもたらしたと考えられる2号機も,いったい内部で何が起きたのかの真相は闇の 中である.
 本書は,事故直後から,公表されたわずかな情報,たとえば放射線の空間線量率などの測定値を頼りに,それまでスリーマイル島事故やJCO臨海事故の解析に携わってきた経験を踏まえて,原子炉内部の変化を追った本である.
 むろん,原子炉内部は,高濃度の放射能汚染にみまわれ,実態を知ることはかなり先になるだろう.したがって,本書の記述はあくまでも推論ではある.しかし,公表されたデータ,ならびに政府,国会,東京電力,民間,そのほかの事故調査報告書に照らし,著者が簡単な手計算でおこなった推理は核心に迫るものだ.
 また,本書は,原子炉の過酷事故に関して当然ながら用意されている「事故対応のための手順書」に言及し,その手順書と実際の事故対応との距離を探る.まさに,この解析なくして今後の対策はないに等しいにもかかわらず,どの報告書もまったく触れていない.その手順書と実働の乖離が,放射能汚染をさらに拡大させた可能性が高いと,著者は指摘する.
 健全な民主主義を育む意味で,不十分な情報公開を非難するだけでは前に進まない.限られた公表データから,真相を追及する手段や方法を市民自らが身につけることで,何が情報公開されるべきか,その次に何を検討すべきが見えてくる.その大切さを理解してほしいと著者は訴える.
田辺文也(たなべ ふみや)
1945年北海道生まれ.京都大学大学院工学研究科原子核工学専攻博士課程単位取得退学.工学博士.京都大学基礎物理学研究所非常勤講師を経て,1975年に日本原子力研究所入所.同研究所人的因子研究室長,研究主幹,日本原子力研究開発機構上級研究主席などを勤める.現在は退職して,株式会社社会技術システム安全研究所を主宰する.スリーマイル島事故進展プロセスの解析,JCO臨海事故の原因分析などに従事.著訳書として,『まやかしの安全の国』(角川SSC新書),『ヒューマンエラー』(共著,新曜社),『インタフェースの認知工学』(共訳,啓学出版)など.
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