生きる術としての哲学

小田実 最後の講義

小田実が慶応大学で行なった連続講義「現代思想」を編む.氏の”生きるための哲学”が語り下ろされる.

生きる術としての哲学
著者 小田 実 , 飯田 裕康 , 高草木 光一
ジャンル 書籍 > 単行本 > 哲学
刊行日 2007/10/05
ISBN 9784000221627
Cコード 0010
体裁 四六 ・ 並製 ・ カバー ・ 296頁
在庫 品切れ
市民の立場から行動し発言し続けて逝った作家,小田実.本書は,氏が2001年から02年に慶応大学で行なった8回の「現代思想」講義を編む.9.11以後の世界をどう捉え,引き続く戦争の中でいかに生きるか.自身の語り下ろしによる小田実の”生きるための哲学”を,詳細な編者註や著作目録とともにわかりやすく提示.

■編集部からのメッセージ

 終生,市民の立場から発言し行動した作家,小田実.本書は,氏が大学生を相手に行なった貴重な連続講義の記録です.9・11以後の危機的な世界情勢や進行中の戦争を,世界史的にどう捉えるべきか.隣国との関係をどう構築するか.原子力をはじめとした最先端技術や地方自治,社会の根本である経済はいかにあるべきか――.
 小田氏は本書のなかで,こうした問題に対する構えとして「行動のなかの思考」の重要性を主張します.一人ひとりがそれぞれの「現場」において自ら状況を判断し,主体的に考え,行動するためのいわば血の通った哲学を,編者による詳しい註と解説,さらに小田実著作目録等を付してわかりやすく提示します.作家,そして市民運動家として時代を牽引しつづけた小田実のエッセンスがこの一冊に凝縮されています.ぜひご一読ください.
まえがき   (飯田裕康)

I
世界をどう捉えるか
 
はじめに
一 二つの「哲学」/ 二 いま何が問題か/ 三 現場の思想/ 四 イラクと北朝鮮

II
人間のための科学技術
 
一 戦争と核兵器/ 二 原爆の「被害者」たち/ 三 ウラニウムのオデュッセイア/四 現代科学のあり方
おわりに――「人間」の科学へ

III
戦争主義と平和主義
 
はじめに
一 戦争主義と平和主義/ 二 好戦主義の台頭/ 三 古代アテナイの「ミリタリー・サービス」/ 四 市民の軍隊と王様の軍隊
おわりに――平和主義の展開

IV
地方自治と市民の政策
 
はじめに
一 トポスと地方政治/ 二 「される」側の論理/ 三 人災としての阪神・淡路大震災
おわりに――「市民」の政治へ

V
世界史のなかの日韓関係
 
はじめに
一 『黒いアテナ』の衝撃/ 二 ヨーロッパの世界進出/ 三 世界史のなかの朝鮮侵略/ 四 朝鮮侵略をどう認識するか

VI
市民の経済と文化
 
はじめに
一 三極構造からグローバリゼーションへ / 二 ハワイ解放闘争と「カウリケ」/ 三 「法人資本主義」と戦後日本の経済発展
おわりに――日常の試みから

 
【補】


ベトナム戦争と戦後世界
 
はじめに――二つの「戦後」
一 不可能な勝利と価値観の転換/ 二 植民地支配と理由のない戦争/ 三 ベトナム戦争と平和思想/ 四 平和主義の新展開


アジアを見る目
 
一 乗用車と共産党――インド/ 二 レーニン塚――カザフスタン/ 三 ITと貧困――インド/ 四 棄民と核実験――カザフスタン
おわりに――日本とアジア


あとがき   (高草木光一)
一 リラダンと小田実/ 二 デモクラシーと「市民」/ 三 古代アテナイとの訣別/ 四 作家であること/ 五 本書の構成と内容


小田実著作目録
人名索引
小田 実
1932年大阪生まれ.作家.東京大学大学院在学中にハーバード大学留学.世界各地を旅して綴ったエッセイ『何でも見てやろう』がベストセラーに.「ベトナムに平和を!市民連合(ベ平連)」など様々な市民運動を組織し,その中心として活躍.著書に『世直しの倫理と論理』(上・下,岩波新書),『Hiroshima』(講談社文芸文庫),『「アボジ」を踏む』(講談社),『市民の文』,『西雷東騒』,『玉砕/Gyokusai』(以上,岩波書店),『終らない旅』(新潮社),『中流の復興』(日本放送出版協会・生活人新書)他多数.2007年7月30日死去.
飯田裕康
1937年生まれ.慶應義塾大学経済学部教授を経て,同大学名誉教授.経済学史,金融論.共編著に『ここで跳べ―対論「現代思想」』(慶應義塾大学出版会),『小田実の世直し大学』(筑摩書房)等.
高草木光一
1956年生まれ.慶應義塾大学経済学部教授.社会思想史.共編著に『ここで跳べ―対論「現代思想」』,『小田実の世直し大学』,『東アジア 日本が問われていること』(岩波書店)等.

書評情報

三田学会雑誌 101巻3号(2008年10月)
東京新聞(朝刊) 2008年1月16日
週刊朝日 2007年12月28日号
東京新聞(朝刊) 2007年12月11日
週刊読書人 2007年12月7日号
朝日新聞(朝刊) 2007年12月6日
毎日新聞(朝刊) 2007年11月18日
信濃毎日新聞(朝刊) 2007年11月18日
愛媛新聞 2007年11月11日
神奈川新聞 2007年11月11日
山陽新聞(朝刊) 2007年11月4日
ジャーナリスト 2007年10月25日号
ページトップへ戻る