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鏡映反転

紀元前からの難問を解く

なぜ鏡の中では〈左右〉が反対に見えるのか?――二〇〇〇年以上の難問を,科学的な分析と実験で解決.

鏡映反転
著者 高野 陽太郎
ジャンル 書籍 > 自然科学書 > 人間・心理
日本十進分類 > 自然科学
刊行日 2015/07/15
ISBN 9784000052481
Cコード 0011
体裁 四六 ・ 上製 ・ 252頁
在庫 在庫あり

なぜ鏡の中では〈左右〉が反対に見えるのか?――一見,かんたんな問題のようで,実はプラトンの昔から,数多くの哲学者や物理学者の挑戦を退けてきた.しかも,常に「左右が反対に見える」わけではない.誰もが知っている現象なのに,二〇〇〇年以上も謎でありつづけたこの難問を,科学的な分析と実験によって解決する.

 

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■著者からのメッセージ

 鏡に映ると左右が反対に見えるのは,なぜなのだろう? 上下は反対に見えないのに,なぜ左右だけが反対に見えるのだろう?

 この疑問は,古来,数知れぬひとびとの頭をよぎってきたにちがいない.
 私たちはみな,毎日のように鏡を見ている.「左右が反対に見える」という経験も,毎日のようにしている.これほど身近な現象で,しかも,ただ「左右が反対に見える」というだけのことなのだから,「とうの昔に説明がついているはずだ」と思うのが普通だろう.
 ところが,じつは,これがたいへんな難問なのである.いまから二〇〇〇年以上も前,紀元前四世紀に,哲学者のプラトンがすでにこの問題を論じている.以来,古代ローマの哲学者ルクレティウスをはじめとして,数多くのひとびとが「なぜ左右が反対に見えるのか」を論じてきた.現代の学者たち(哲学者,物理学者,数学者,心理学者……)も,それぞれに説明を試みている.そうした人たちのなかにはノーベル物理学賞の受賞者もいる.
 にもかかわらず,この問題には,いまだに定説がないのである.
 科学読みものには,よく「鏡のなかで左右が反対に見える理由」についての説明がのっている.しかし,その説明は,それを書いている人が正しいと思っている説明ではあっても,決して「万人が認めた定説」ではない.どの説明にも,いろいろな批判があり,その批判は克服されてはいないのである.
 この本の目標は,「鏡映反転」という,紀元前からのこの難問を解決することである.

はじめに
第1章 鏡の中のミステリー
 1 鏡映反転
 2 即席の説明
 3 古代の学説
 4 鏡の光学的な性質
第2章 さまざまな説明
 1 移動方法説
 2 左右対称説
 3 言語習慣説
 4 対面遭遇スキーマ説
 5 物理的回転説
第3章 鏡映反転を説明する
 1 さまざまな鏡像
 2 手がかり
 3 光学反転
 4 表象反転
 5 視点反転
 6 多重プロセス理論
第4章 説明を検証する
 1 実験のあらまし
 2 「視点反転」対「表象反転」
 3 調査
 4 否認者
 5 別解釈の検討
 6 反転鏡
 7 「視点反転」対「表象反転」:結論
 8 「視点反転」対「光学反転」
 9 「表象反転」対「光学反転」
 10 三種類の鏡映反転
第5章 理解を深める
 1 表象反転
 2 視点反転
 3 光学反転
第6章 他説を反証する
 1 「鏡像と重なる」という説明
 2 物理的回転説
 3 左右軸劣後説
第7章 科学的解決と社会的解決
おわりに

 謝辞
 参考文献

(以下,無料ダウンロード資料)
 附章A 他説を反証する[増補]
 附章B 「単純な説明」の運命
 附章C 斜対した対象の鏡映反転
 附章D 時計まわりと反時計まわり
 附章E 対掌体
高野陽太郎(たかの ようたろう)
1950年東京生まれ.1985年Cornell大学心理学部大学院博士課程修了.Virginia大学専任講師,早稲田大学専任講師を経て,現在,東京大学大学院人文社会系研究科教授.専門は認知科学(認知心理学,社会心理学).著書に『「集団主義」という錯覚――日本人論の思い違いとその由来』(新曜社),『認知心理学』(放送大学教育振興会),『心理学研究法――心を見つめる科学のまなざし』(編著;有斐閣),『傾いた図形の謎〈認知科学選書11〉』(東京大学出版会)など.

書評情報

読売新聞(朝刊) 2016年1月17日
毎日新聞(朝刊) 2015年12月6日
朝日新聞(be) 2015年11月14日
公明新聞 2015年10月12日
読売新聞(朝刊) 2015年9月20日
サンデー毎日 2015年9月6日号
日本経済新聞(朝刊) 2015年9月6日

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