心理療法対話

各界を代表する研究者,芸術家と日本人の心や心理療法の現代的意味などを徹底討議する,河合臨床心理学の到達点.

心理療法対話
著者 河合 隼雄
ジャンル 書籍 > 単行本 > 心理・精神医学
刊行日 2008/03/19
ISBN 9784000234474
Cコード 0011
体裁 四六 ・ 上製 ・ カバー ・ 230頁
在庫 品切れ
本書は,昨年おしくも逝去された河合隼雄先生が,臨床心理学の新しい課題に応え,現代の知の全体の中から心理療法を考えようとして行われた対話です.多田富雄,多木浩二,三善晃,見田宗介氏ら,各界を代表する研究者,芸術家と日本人の心や心理療法の現代的意味などを徹底討議し,河合先生の研究の到達点をしめします.

■著者からのメッセージ

「われわれのやり方はその人をできる限り尊重するということです.その人はどこへいくかわからない.帰ってきたら帰ってきたで成功ですし,帰ってこなかったら付き合う」

「ひょっとしたら,病気でも何でもないかもしれない.それを病気だと思うからよけい治療ができない.僕は病気とも治療とも思わんことにして会うことにしているんです」

「私はいつも,原理原則なんてあまりないのだという考え方でやっていますけれども,といってむちゃくちゃではない.そこがすごくおもしろいところです」


(河合隼雄『心理療法対話』より
1 イニシエーションの知恵 中沢新一・河合隼雄
2 自分の物語をつくる 古橋信孝・河合隼雄
3 芸術と心理療法のあいだ 多木浩二・河合隼雄
4 「脳」 から離れて 多田富雄・河合隼雄
5 「みんながいた,だから私がいた」 三善 晃・河合隼雄
6 人間関係の原点を見つめる 宮迫千鶴・河合隼雄
7 因果的思考を超えて 長谷川眞理子・河合隼雄
8 「バベルの塔」 神話 見田宗介・河合隼雄

河合隼雄先生の対談集に寄せて 中井久夫
河合隼雄(かわい はやお)
1928年生まれ.臨床心理学者.元文化庁長官.京都大学数学科を卒業.1962~65年,スイスのユング研究所に留学.日本で最初のユング派分析家になる.帰国後はユング心理学の普及につとめるとともに,臨床心理学の発展に力をつくす.また,欧米と異なる日本人の心性を考えるために,日本の神話や宗教を研究.京都大学教育学部教授,国際日本文化研究センター所長を経て,京都大学名誉教授.主な業績は『河合隼雄著作集』 I 期・II期(岩波書店)にまとめられている.
中沢新一(なかざわ しんいち)
1950年山梨県生まれ.宗教学.東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了.現在,多摩美術大学芸術人類学研究所所長.著書に,『チベットのモーツァルト』『森のバロック』『はじまりのレーニン』『哲学の東北』ほか.

古橋信孝(ふるはし のぶよし)
1943年東京生まれ.武蔵大学人文学部教授.東京大学大学院人文科学研究科博士課程修了.古代文学研究,文芸時評.著書に『古代の恋愛生活』『万葉集』『古代都市の文芸生活』『平安京の都市生活と郊外』『物語文学の誕生』などがある.

多木浩二(たき こうじ)
1928年神戸市生まれ.東京大学文学部美学美術史学科卒業.東京造形大学教授,千葉大学教授を歴任.著書に,『目の隠喩』『天皇の肖像』『ヨーロッパ人の描いた世界』『ヌード写真』『神話なき世界の芸術家』『戦争論』『ベンヤミン「複製技術時代の芸術作品」精読』ほか.

多田富雄(ただ とみお)
1934年茨城県生まれ.東京大学名誉教授.千葉大学医学部卒業,同大大学院博士課程修了.医学博士.専攻は免疫遺伝学.千葉大教授,東大教授,東京理科大学生命科学研究所所長を歴任.著書に『免疫の意味論』『生命の意味論』など多数.

三善 晃(みよし あきら)
1933年東京生まれ.作曲家・元東京文化会館館長.元桐朋学園大学学長.日本芸術院会員.文化功労者.東京大学文学部仏文科卒業.代表作品に「ヴァイオリン協奏曲」「響紋」など.著書に『遠方より無へ』『ヤマガラ日記』など.

宮迫千鶴(みやさこ ちづる)
1947年生まれ.画家・評論家・エッセイスト.広島県立女子大学文学部卒業.画業とともに家族や暮らし,自然やいのちについて論じる.主著に,『サボテン家族論』『草と風の癒し』『海と森の言葉』『食卓とイーゼルのあいだで』など.

長谷川眞理子(はせがわ まりこ)
1952年東京生まれ.行動生態学.総合研究大学院大学教授.東京大学大学院理学系研究科博士課程単位取得退学,理学博士.主な著書に『クジャクの雄はなぜ美しい?』『オスとメス=性の不思議』『進化と人間行動』(共著)『進化とは何だろうか』など.

見田宗介(みた むねすけ)
1937年生まれ.東京大学名誉教授.主著に『時間の比較社会学』『自我の起源』『宮沢賢治』『旅のノートから』『現代社会の理論』など.
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