梵漢和対照・現代語訳 法華経 (上)

(全2巻)

綿密な校訂作業と正確な読解を通して,サンスクリット原典を平易でこなれた読みやすい現代語に移しかえた画期的達成.

梵漢和対照・現代語訳 法華経 (上)
このエントリーをはてなブックマークに追加
著者 植木 雅俊
ジャンル 書籍 > 単行本 > 宗教
刊行日 2008/03/11
ISBN 9784000247627
Cコード 0015
体裁 A5 ・ 上製 ・ 628頁
定価 本体5,500円+税
在庫 在庫あり
経典のサンスクリット原典を,綿密な校訂作業と曖昧さを残さない正確な読解を通して,読みやすいこなれた現代語に移しかえた画期的達成.深い仏教理解に基づく詳細な注解を付した本書は,仏教の教えを学ぶ最良の書と言えよう.


■編集部からのメッセージ

 際立った平等思想を説いていた釈尊(前463~383年)が入滅すると,教団は隠匿的な僧院仏教となって民衆から遊離し,在家や女性を差別するなど次第に保守的で権威主義的傾向を強めていった.紀元前後に興った大乗仏教は,それらの伝統的・保守的仏教を“小乗”(二乗)と貶称し,自らを“大乗”(菩薩乗)と称して,だれでもが成仏できるとする運動を展開した.この小乗と大乗の対立と限界を止揚することで登場したのが『法華経』の「一仏乗の思想」であり,「法華七譬」といわれる見事な譬喩などを通して人間への尽きせぬ信頼と,平等を謳歌した.
 19世紀に発見された『法華経』サンスクリット原典写本のヨーロッパでの初の出版(ケルン・南条本)から100年.本書は,複数のサンスクリット・テキストに綿密な校訂を施し原典テキストを確定させるとともに,深い仏教理解に基づいて詳細な注解を付した画期的達成である.8年がかりの一点一画をも疎かにしない原典に忠実な訳業により,曖昧さを残さない,読みやすいこなれた現代語訳がここに完成した.テキスト相互の対象を可能とすべく,サンスクリット原典,鳩摩羅什による漢訳テキストも併記した.
■上巻

はしがき
凡例

第1章:序(序品第一)
第2章:巧みなる方便(方便品第二)
第3章:譬喩(譬喩品第三)
第4章:信順の意向(信解品第四)
第5章:薬草(薬草喩品第五)
第6章:予言(授記品第六)
第7章:過去との結びつき(化城喩品第七)
第8章:五百人の男性出家者たちへの予言(五百弟子受記品第八)
第9章:アーナンダとラーフラ,そのほか二千人の男性出家者への予言(授学無学人記品第九)


■下巻
第10章:説法者(法師品第十)
第11章:ストゥーパの出現(見宝塔品第十一,十二)
第12章:果敢なる努力(勧持品第十三)
第13章:安楽の住所(安楽行品第十四)
第14章:大地の裂け目からの菩薩の出現(従地涌出品第十五)
第15章:如来の寿命の長さ(如来寿量品第十六)
第16章:福徳の分別(分別功徳品第十七)
第17章:喜んで受け入れることの福徳についての表明(随喜功徳品第十八)
第18章:説法者に対する讃嘆(法師功徳品第十九)
第19章:常に軽んじない菩薩(常不軽菩薩品第二十)
第20章:如来の神力の顕現(如来神力品第二十一)
第21章:ダーラニー(陀羅尼品第二十六)
第22章:“薬の王”の過去との結びつき(薬王菩薩本事品第二十三)
第23章:明瞭で流暢に話す声を持つもの(妙音菩薩品第二十四)
第24章:あらゆる方向に顔を向けたもの(観世音菩薩普門品第二十五)
第25章:“美しく荘厳された王”の過去との結びつき(妙荘厳王本事品第二十七)
第26章:“普く祝福されている人”による鼓舞(普賢菩薩勧発品第二十八)
第27章:付嘱(嘱累品第二十二)

解説 『法華経』原典と翻訳の歴史と思想
あとがき
和漢語索引
梵語索引
植木雅俊(うえき まさとし)
仏教研究家(東方学院),1951年生まれ.九州大学大学院理学研究科修士課程修了.東洋大学大学院文学研究科博士後期課程中退.86年に東洋哲学文化賞受賞.91年から東方学院で中村元氏の下でインド思想・仏教思想論,サンスクリット語を学ぶ.学位請求論文「仏教におけるジェンダー平等の研究――『法華経』に至るインド仏教からの考察」でお茶の水女子大学から人文科学博士の学位を授与される(男性では初めて).日本ペンクラブ会員,日本印度学仏教学会会員,比較思想学会会員.

著書に,『仏陀の国・インド探訪』(メディア・ルネッサンス,1994年),『男性原理と女性原理――仏教は女性差別の宗教か?』(中外日報社,1996年),『仏教に学ぶ対話の精神』(中外日報社,1997年),『マザー・テレサと菩薩の精神』(中外日報社,1997年),『仏教のなかの男女観』(岩波書店,2004年),『釈尊と日蓮の女性観』(論創社,2005年),Gender Equality in Buddhism(Peter Lang Publ. Inc.,2001年),Images of Women in Chinese Thought and Culture(Dr. Robin Wangとの共著,Hackett Publ. Inc.,2003年)など.

論文に「日蓮の時間意識」(『印度学仏教学研究』,1995年),「Sad〓paribh〓taに込められた4つの意味」(『印度学仏教学研究』,1998年),「Saddharma-pu〓〓ar〓kaの意味」(『印度学仏教学研究』,2000年),「法華経のSaddharma-pu〓〓ar〓kaの意味――“最勝”を譬喩する白蓮華の考察」(お茶の水女子大学文教育学部哲学科・平成13,14年度科研費研究成果報告書,2003年)など多数.
ページトップへ戻る