小栗上野介忠順と幕末維新

『小栗日記』を読む

その生涯の最期に綴った474日間の日記を精緻に読み解くことで,新たな小栗像を描き出す.

小栗上野介忠順と幕末維新
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著者 高橋 敏
ジャンル 書籍 > 単行本 > 歴史
刊行日 2013/03/26
ISBN 9784000258883
Cコード 0021
体裁 四六 ・ 上製 ・ カバー ・ 290頁
定価 本体2,900円+税
在庫 在庫僅少
外国奉行や勘定奉行などの要職を歴任し,幕政の中枢を担った小栗上野介忠順.開国の信念のもとに断行された改革はいかにして頓挫したのか.幕閣を罷免された後,官軍によって処刑されるに至ったのはなぜか.その生涯の最期に綴られた474日間の日記を精緻に読み解くことで,激動の時代における新たな小栗像を描き出す.

■著者からのメッセージ

 小栗を取り上げた著作は決して少なくはない.幕末維新史上,著名な人物のひとりといっても過言ではない.しかし,小栗の評価が分裂し,伝記の叙述を難しくしているのは,第一に本人が直接己を語った史料が皆無にひとしかったからである.小栗が朝敵とされ,突如斬首,家財家産は没収,知行所も取り上げられ,埋蔵金の噂もあって徹底した掠奪に遭ったため,小栗家,小栗自身,身辺の史料が根こそぎ失われた.更に幕末政局史のなかで老中・若年寄合議制に割って入り,小栗と親しくともに幕政に干与し自己主張を強めた江戸城芙蓉の間詰の直臣旗本の多くも没落し,関係史料が散逸した.こうして『続徳川実紀』等公式記録のほかは,後年の回顧談が主たる出典とならざるを得なかったのである.
 一筋の光明は小栗斬首直後の家財の押収,掠奪の最中に関係者が秘かに持ち帰り,大切に保存していた小栗の座右にあったと思われる直筆の日記と家計簿が八四年経った昭和二七年(一九五二)発見されていたことである.群馬県渋川市の後藤惇氏が所蔵する慶応三・四年の日記二冊と嘉永三年から文久元年までの家計簿三冊である.発見から既に半世紀が経過し,日記・家計簿は『群馬県史料集』第七巻として公刊され,周知のこととなったが,未だ十分活用されているとは思われない.後述するが,日記,家計簿の記載や内容に分析上困難な局面があるが,関連史料を含め,精緻な分析をすることによって新たな小栗忠順像を浮かび上がらせる可能性があると確信している.本書の願いは小栗の波乱に満ちた四一年の生涯の最後となった慶応三・四年の日記から小栗上野介忠順を捉え直すところにある.
――「はじめに」より
はじめに
初編 『小栗日記』を読むために
第一章 直参旗本小栗又一家
第二章 幕府革新官僚小栗忠順
第三章 小栗上野介の幕政改革
正編 『小栗日記』を読む
プロローグ 『小栗日記』を読む前に
第一章 慶応三年の三五四日
第二章 慶応四年の一二〇日
続編 没後の小栗上野介
第一章 小栗上野介処刑後の苦難
第二章 小栗家の再興
第三章 甦る小栗上野介
おわりに

あとがき
『小栗日記』登載人物表
小栗上野介忠順関係年表
高橋 敏(たかはし さとし)
1940年生まれ.1965年東京教育大学大学院文学研究科修士課程修了.文学博士.現在,国立歴史民俗博物館名誉教授.
著書:『近世村落生活文化史序説』(未来社,1990年),『江戸の訴訟』(岩波新書,1996年),『家族と子供の江戸時代』(朝日新聞社,1997年),『国定忠治』(岩波新書,2000年)
『清水次郎長と幕末維新』(岩波書店,2003年),『博徒の幕末維新』(ちくま新書,2004年),『大原幽学と幕末村落社会』(岩波書店,2005年),『幕末狂乱』(朝日選書,2005年)
『清水次郎長』(岩波新書,2010年)ほか.

書評情報

東京新聞(夕刊) 2013年5月7日
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