日本の食文化史
旧石器時代から現代まで
寿司・ソバ・テンプラ,味噌,醤油・だしの起源とは? 世界でも稀な日本の食文化の形成と変遷を辿る.
刺身に代表されるように,日本料理では素材を生かし「できるだけ料理しない」を理想とする.独特の地形・気候・宗教観から,世界でも稀な食文化が形成されたのである.寿司・ソバ・テンプラ,味噌・醤油・だしはいかにして生み出され,普及したのか? 著者長年の研究の成果をもとに,日本食の変遷と魅力を辿る食文化通史.
■著者からのメッセージ
飲食から日本文化を考えてみようと,本書を執筆した.
従来の日本食物史の書籍のおおくは,平安時代・鎌倉時代・室町時代といった日本史の時代区分のなかに飲食に関する出来事をおしこめて記述するスタイルであった.政治体制や政権の所在地が変わったからといって,民衆の食生活がすぐに変化するわけではない.
そこで,本書では歴史学の時代区分にはとらわれずに,日本人の食文化の歴史を考察するために実際的と思われる,著者独自の巨視的な時代区分を採用して論じている.
また,食べものや料理技術だけではなく,食卓・台所・外食など食文化を支える装置をとりあげて,その歴史を考察している.
本書は,日本食や日本の歴史を知らない海外の読者を対象に,英語とフランス語で出版された著書をもとに,日本の読者むけに全面的に書きなおしたものである.したがって,食の専門家ではない一般の読者にも,分かりやすく,興味を持って読んでもらえる一冊となっているだろう.
■編集部からのメッセージ
著者は「食」を学問として開拓し,長年,食文化研究一筋に歩むパイオニアとして知られています.世界各地でフィールドワークを重ね,いままでに訪れた国と地域は83にものぼります.
食べること,飲むことが大好きで,長年の友人・小松左京氏より「大食(たいしょく)軒(けん)酩酊(めいてい)」と命名されたほど.世界中どこでも現地の人びとと食事を共にし,「鉄の胃袋を持つ」とも評されています.
本書は,食文化研究の視点から,日本の食の変遷と文化の形成をたどる,いままでにない通史です.
スシ・刺身・テンプラ,味噌・醤油・だし……日本伝統の食文化はどのように形成されたのか,日本食が世界中で高い人気を得ているのはなぜか.興味深いエピソードも織り込みながら,日本食の秘密を解き明かします.
■著者からのメッセージ
飲食から日本文化を考えてみようと,本書を執筆した.
従来の日本食物史の書籍のおおくは,平安時代・鎌倉時代・室町時代といった日本史の時代区分のなかに飲食に関する出来事をおしこめて記述するスタイルであった.政治体制や政権の所在地が変わったからといって,民衆の食生活がすぐに変化するわけではない.
そこで,本書では歴史学の時代区分にはとらわれずに,日本人の食文化の歴史を考察するために実際的と思われる,著者独自の巨視的な時代区分を採用して論じている.
また,食べものや料理技術だけではなく,食卓・台所・外食など食文化を支える装置をとりあげて,その歴史を考察している.
本書は,日本食や日本の歴史を知らない海外の読者を対象に,英語とフランス語で出版された著書をもとに,日本の読者むけに全面的に書きなおしたものである.したがって,食の専門家ではない一般の読者にも,分かりやすく,興味を持って読んでもらえる一冊となっているだろう.
石毛直道
■編集部からのメッセージ
著者は「食」を学問として開拓し,長年,食文化研究一筋に歩むパイオニアとして知られています.世界各地でフィールドワークを重ね,いままでに訪れた国と地域は83にものぼります.
食べること,飲むことが大好きで,長年の友人・小松左京氏より「大食(たいしょく)軒(けん)酩酊(めいてい)」と命名されたほど.世界中どこでも現地の人びとと食事を共にし,「鉄の胃袋を持つ」とも評されています.
本書は,食文化研究の視点から,日本の食の変遷と文化の形成をたどる,いままでにない通史です.
スシ・刺身・テンプラ,味噌・醤油・だし……日本伝統の食文化はどのように形成されたのか,日本食が世界中で高い人気を得ているのはなぜか.興味深いエピソードも織り込みながら,日本食の秘密を解き明かします.
まえがき
第一部 日本の食文化史
イントロダクション
一 稲作以前
1 旧石器時代
2 縄文時代~土器の出現
3 縄文時代の社会と食生活
二 稲作社会の成立
1 神聖視される作物
2 稲作の伝播と国家の成立
3 米の料理法
4 米の酒
5 塩辛,調味料とナレズシ
三 日本的食文化の形成期
1 時代の背景
2 肉食のタブー
3 乳利用の欠如
4 年中行事と通過儀礼
5 個人別配膳法
6 料理と宴会の型式
7 僧院の役割
8 麺類の普及
四 変動の時代
1 時代の背景
2 喫茶の普及
3 南蛮人の伝えたもの
4 あたらしいスタイルの成立
5 食事の回数の変化
五 伝統的食文化の完成期
1 時代の背景
2 都市と農村
3 醤油の普及
4 レストランの出現
5 スナック店の発達
6 料理と外食情報の出版
7 アイヌと琉球
六 近代における変化
1 時代の背景
2 肉食の再開
3 乳と乳製品
4 外来料理の受容
5 勃興と没落の時代
6 あたらしい食事の様式
7 外来料理受容のモデル
第二部 日本人の食の文化
イントロダクション
一 食卓で
1 飯・酒・茶~食事の構成
2 食卓~膳からテーブルへ
3 盛りつけの美学~食卓のうえの日本庭園
4 箸~食事作法の基本
二 台所で
1 台所~火と水の世俗化
2 飯炊き~薪から自動炊飯器へ
3 包丁とまな板~台所の日本刀
4 汁とだし~うま味の文化
三 外食,料理,飲みもの
1 外食店~高密度分布
2 刺身~料理をしない料理
3 スシ~保存食からファストフードへ
4 スキヤキ~食卓でのあたらしい伝統
5 豆腐と納豆~畑の肉
6 精進料理~仏教徒のヴェジェタリアン料理
7 テンプラとトンカツ~歴史があたらしい国民料理
8 麺類~味の地方差
9 保存食~漬物と魚の干物
10 茶の伴侶~餅と菓子
11 酩酊と覚醒~酒と茶
あとがきにかえて~~世界における日本食
第一部 日本の食文化史
イントロダクション
一 稲作以前
1 旧石器時代
2 縄文時代~土器の出現
3 縄文時代の社会と食生活
二 稲作社会の成立
1 神聖視される作物
2 稲作の伝播と国家の成立
3 米の料理法
4 米の酒
5 塩辛,調味料とナレズシ
三 日本的食文化の形成期
1 時代の背景
2 肉食のタブー
3 乳利用の欠如
4 年中行事と通過儀礼
5 個人別配膳法
6 料理と宴会の型式
7 僧院の役割
8 麺類の普及
四 変動の時代
1 時代の背景
2 喫茶の普及
3 南蛮人の伝えたもの
4 あたらしいスタイルの成立
5 食事の回数の変化
五 伝統的食文化の完成期
1 時代の背景
2 都市と農村
3 醤油の普及
4 レストランの出現
5 スナック店の発達
6 料理と外食情報の出版
7 アイヌと琉球
六 近代における変化
1 時代の背景
2 肉食の再開
3 乳と乳製品
4 外来料理の受容
5 勃興と没落の時代
6 あたらしい食事の様式
7 外来料理受容のモデル
第二部 日本人の食の文化
イントロダクション
一 食卓で
1 飯・酒・茶~食事の構成
2 食卓~膳からテーブルへ
3 盛りつけの美学~食卓のうえの日本庭園
4 箸~食事作法の基本
二 台所で
1 台所~火と水の世俗化
2 飯炊き~薪から自動炊飯器へ
3 包丁とまな板~台所の日本刀
4 汁とだし~うま味の文化
三 外食,料理,飲みもの
1 外食店~高密度分布
2 刺身~料理をしない料理
3 スシ~保存食からファストフードへ
4 スキヤキ~食卓でのあたらしい伝統
5 豆腐と納豆~畑の肉
6 精進料理~仏教徒のヴェジェタリアン料理
7 テンプラとトンカツ~歴史があたらしい国民料理
8 麺類~味の地方差
9 保存食~漬物と魚の干物
10 茶の伴侶~餅と菓子
11 酩酊と覚醒~酒と茶
あとがきにかえて~~世界における日本食
石毛直道(いしげ なおみち)
1937年千葉県生まれ.京都大学文学部卒業,農学博士.専門は文化人類学(食事文化,比較文化).国立民族学博物館教授,館長をへて,同館名誉教授.総合研究大学院大学名誉教授.第24回南方熊楠賞受賞.
著書『住居空間の人類学』(鹿島出版会),『食事の文明論』(中公新書),『魚醤とナレズシの研究――モンスーン・アジアの食事文化』(共著,岩波書店),『麺の文化史』(講談社学術文庫),『食卓の文化史』(岩波現代文庫),『食卓文明論――ちゃぶ台はどこへ消えた?』(中公叢書),『飲食文化論文集』(清水弘文堂書房),『石毛直道自選著作集』全12巻(ドメス出版)他多数.
1937年千葉県生まれ.京都大学文学部卒業,農学博士.専門は文化人類学(食事文化,比較文化).国立民族学博物館教授,館長をへて,同館名誉教授.総合研究大学院大学名誉教授.第24回南方熊楠賞受賞.
著書『住居空間の人類学』(鹿島出版会),『食事の文明論』(中公新書),『魚醤とナレズシの研究――モンスーン・アジアの食事文化』(共著,岩波書店),『麺の文化史』(講談社学術文庫),『食卓の文化史』(岩波現代文庫),『食卓文明論――ちゃぶ台はどこへ消えた?』(中公叢書),『飲食文化論文集』(清水弘文堂書房),『石毛直道自選著作集』全12巻(ドメス出版)他多数.
書評情報
東京新聞(朝刊) 2016年1月31日
朝日新聞(朝刊) 2016年1月24日
朝日新聞(朝刊) 2016年1月24日