グローバル・ヒストリーとは何か

従来の歴史研究と方法論的にどう異なるのか.いかなる理論とナラティヴを特徴とするのか.待望の入門書.

グローバル・ヒストリーとは何か
著者 パミラ・カイル・クロスリー , 佐藤 彰一
ジャンル 書籍 > 単行本 > 歴史
刊行日 2012/08/29
ISBN 9784000226349
Cコード 0022
体裁 四六 ・ 上製 ・ 212頁
定価 2,860円
在庫 在庫あり
急速なグローバル化が進展するなか,一国史的,地域史的な枠組みを脱して,人間の歴史を世界大,地球大で捉える歴史研究が注目を集めている.それは従来の歴史学と方法論的にどう異なるのか.いかなる理論とナラティヴを特徴とするのか.グランドスケールの歴史叙述を広く見渡しながら,新たな歴史ジャンルの特色を浮き彫りにする.


■編集部からのメッセージ
 ジャレッド・ダイアモンドの『銃・病原菌・鉄』やウィリアム・マクニールの『世界史』など,歴史の大きな流れを俯瞰した歴史書が,読書界の話題を呼んでいます.世界史,人類史の深く根本的な変動とは何だったのか? 人間の歴史を世界大,地球大のパースペクティヴで捉えるという歴史叙述の例は,過去にもウェルズの『世界文化史大系』やトインビーの大著『歴史の研究』などがありましたが,近年では「グローバル・ヒストリー」の名のもとに,新たな問題意識や手法,論点の上に立ってさまざまな歴史研究が登場しています.
 こうした歴史叙述の「大きな物語」は,ナラティヴ(語り)に着目すると,4つに大別できると本書の著者クロスリーは言います.その分類が,目次に掲げられている「発散」「収斂」「伝染」「システム」です.そしてそのそれぞれに属する歴史叙述について,具体的な例を示しながら,その特質を論じていきます.もちろん,ダイアモンドもマクニールも,そしてウォーラーステインも取り上げられます.
 独特の切り口から,グローバル・ヒストリーという知的領域を鳥瞰する見取り図を描きだしたユニークな入門書です.
謝辞
序論
第一章 大きな物語への衝動
第二章 発散
第三章 収斂
第四章 伝染
第五章 システム
第六章 グローバル・ヒストリーの現在

訳者あとがき
参考文献/人名索引
パミラ・カイル・クロスリー(Pamela Kyle Crossley)
1955年生.近代中国史(清朝史).現在,ダートマス・カレッジ教授.清朝史に関する著書に,Orphan Warriors: Three Manchu Generations and the End of the Qing World (Princeton Univ. Press); A Translucent Mirror: History and Identity in Qing Imperial Ideology (Univ of California Press) など.また,グローバル・ヒストリーの教科書として版を重ねているThe Earth and its Peoples (Wadsworth Pub Co.); Global Society: The World since 1900 (Houghton Mifflin) の共著者の一人.

佐藤彰一(さとう しょういち)
1945年生.早稲田大学大学院文学研究科博士課程単位取得.フランス初期中世史.現在,名古屋大学高等研究院特任教授.日本学士院会員.フランス学士院連携会員(AIBL).
著訳書に,『ポスト・ローマ期フランク史の研究』,『中世初期フランス地域史の研究』,『中世世界とは何か』(以上,岩波書店),『修道院と農民』(名古屋大学出版会),『歴史書を読む』(山川出版社),ベルナール・グネ『オルレアン大公暗殺』(共訳,岩波書店)ほか.
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