「アラブの心臓」に何が起きているのか

現代中東の実像

エジプト,シリア,イラク,レバノン,ヨルダン,パレスチナ――「アラブの心臓」諸国の実像を解明.

「アラブの心臓」に何が起きているのか
著者 青山 弘之
ジャンル 書籍 > 単行本 > 政治
刊行日 2014/12/18
ISBN 9784000220842
Cコード 0031
体裁 四六 ・ 並製 ・ カバー ・ 242頁
在庫 品切れ
「イスラーム国」の出現,ガザ戦争,シリア「内戦」…….相次ぐ混乱の原因は宗派対立なのか,それとも独裁者の存在なのか.今日の中東全体の政治的・社会的問題が先鋭的に現れているエジプト,シリア,イラク,レバノン,ヨルダン,パレスチナの「アラブの心臓」諸国の実像を解明し,中東政治を的確に読み解く視座を提示する.


■編集部からのメッセージ
 「アラブの心臓」とは,エジプトと東アラブ諸国,つまりシリア,イラク,レバノン,ヨルダン,パレスチナを指します.2003年のイラク戦争,2011年の「アラブの春」,そして2014年のガザ戦争,イスラーム国の急激な台頭に見られるように,これらの諸国は相次ぐ混乱に見舞われてきました.
 日本では,混乱について,イスラーム過激派の横行,長期独裁政権の弊害等から説明されることが多いのですが,果たしてこうしたステレオタイプなイメージで語り得るのでしょうか.「アラブの心臓」諸国は古代オリエント文明発祥以来の長い歴史を持ち,近現代に入ると欧米諸国が介入して紛争の種が持ち込まれました.さらに各国を詳しく見ていくと,微妙なバランスのうえに成り立つ国内政治の複雑な様相が浮かび上がってきます.
 本書は,第一線の研究者が結集し,「アラブの心臓」諸国の知られざる実像に迫ろうとするものです.中東のニュースを読み解く際,必携の一冊です.
凡例

序 章  「混沌のドミノ」に喘ぐ「アラブの心臓」  (青山弘之)
第一章  エジプト――二つの「革命」がもたらした虚像の再考 (横田貴之)
第二章  シリア――「真の戦争状態」が必要とする「独裁」政権 (髙岡 豊)
第三章  イラク――民主化の蹉跌と宗派対立という亡霊 (山尾 大)
第四章  レバノン――「決めない政治」が支える脆い自由と平和 (末近浩太)
第五章  ヨルダン――紛争の被害者か,受益者か (吉川卓郎)
第六章  パレスチナ――ハマース否定が導いた政治的混乱 (錦田愛子)
終 章  中東政治の実像に迫るために (青山弘之)

文献リスト
人名索引・事項索引
青山 弘之(あおやま ひろゆき)
1968年東京都生まれ.東京外国語大学総合国際学研究院教授.専攻は現代東アラブ政治,思想,歴史.一橋大学大学院社会学研究科博士後期課程単位取得退学.ダマスカス・フランス・アラブ研究所(現フランス中東研究所)共同研究員,JETROアジア経済研究所研究員などを経て現職.著書に『現代シリア・レバノンの政治構造(アジア経済研究所叢書5)』(末近浩太と共著,岩波書店,2009年),『混迷するシリア――歴史と政治構造から読み解く』(岩波書店,2012年)などがある.またウェブサイト「シリア・アラブの春 顛末記」(http://syriaarabspring.info/)を運営.[序章と終章を執筆.]

横田 貴之(よこた たかゆき)
1971年,京都府生まれ.日本大学国際関係学部准教授.専攻は中東地域研究,現代エジプト政治,イスラーム主義運動研究.著書:『現代エジプトにおけるイスラームと大衆運動』(ナカニシヤ出版,2006年)など.[第1章]

髙岡 豊(たかおか ゆたか)
1975年,新潟県生まれ.公益財団法人中東調査会上席研究員.専攻はシリアの政治・社会,イスラーム過激派の動向.著書:『現代シリアの部族と政治・社会――ユーフラテス河沿岸地域・ジャジーラ地域の部族の政治・社会的役割分析』(2011年,三元社)など.[第2章]

山尾 大(やまお だい)
1981年,滋賀県生まれ.九州大学大学院比較社会文化研究院講師.専攻はイラク政治,国際政治学,比較政治学.著書:『紛争と国家建設――戦後イラクの再建をめぐるポリティクス』(明石書店,2013年)など.[第3章]

末近 浩太(すえちか こうた)
1973年,愛知県生まれ.立命館大学国際関係学部教授.専攻はシリア・レバノン政治,中東地域研究,国際政治学,比較政治学.著書:『イスラーム主義と中東政治――レバノン・ヒズブッラーの抵抗と革命』(名古屋大学出版会,2013年)など.[第4章]

吉川 卓郎(きっかわ たくろう)
1974年,岡山県生まれ.立命館アジア太平洋大学アジア太平洋学部准教授.専攻は国際関係論,比較政治学,現代ヨルダン政治.著書:『イスラーム政治と国民国家――エジプト・ヨルダンにおけるムスリム同胞団の戦略』(ナカニシヤ出版,2007年)
など.[第5章]

錦田 愛子(にしきだ あいこ)
1977年,広島県生まれ.東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所准教授.専攻はパレスチナ研究,中東地域研究,政治学.著書:『ディアスポラのパレスチナ人――「故郷ワタン」とナショナル・アイデンティティ』(有信堂高文社,2010年)など.[第6章]

書評情報

SYNODOS 2015年8月3日号
中東研究 523号(2015年5月)
週刊エコノミスト 2015年3月17日号
Newsweekjapan.jp 2015年2月27日掲載
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