「軍事大国」ロシアの虚実

進まぬ軍改革,国際競争に遅れをとる軍需産業など,深刻な課題を抱える「軍事大国」の実態.

「軍事大国」ロシアの虚実
著者 塩原 俊彦
ジャンル 書籍 > 単行本 > 政治
刊行日 2009/06/23
ISBN 9784000226257
Cコード 0031
体裁 四六 ・ 上製 ・ 254頁
在庫 品切れ
08年のグルジア侵攻,02年のチェチェン戦争など,プーチン以降のロシアは再び「軍事大国」への道を猛進しているかのように見える.しかし進まぬ軍改革,深刻な経済危機の中で国際競争に遅れをとる武器輸出など,その抱える課題は深刻だ.再国営化の動きも進むロシア軍事産業の実態を豊富なデータから読み解く.


■編集部からのメッセージ
 2008年のグルジア侵攻,99年から10年間続いたチェチェン戦争など,プーチン以降のロシアは再び「軍事大国」への道を猛進しているかのように見えます.
 けれども,「軍事大国 ロシア」という神話は,果たして本当なのでしょうか? 冷戦時代に脅威を与えたスホイ,ミグなどは,現在どうなっているのでしょうか?
 深刻な経済危機の中で,軍改革は難航,ハイテク化の進まぬ非効率な巨大企業を多数抱え,武器輸出でも中国やインドとの国際競争に遅れをとるなど,その抱える課題は深刻です.
 目下,急速に再統合化が図られ,国家管理の下に置かれつつあるロシア軍需産業の実態と問題点を,豊富なデータから読み解きます.
はじめに
序章 「強いロシア」の虚実
 1  米国の突出という「現実」――後塵を拝するロシア
 2  NATO拡大や資源外交に潜む米国の傲慢――ロシアなんか怖くない
第1章 難航する軍改革
 1  どう改革しようとし,どこまで改革できたのか――契約兵の増強の裏側
 2  セルジュコフ国防相のもとでの改革の行方――「家具屋」の親父の辣腕
 3  今後の課題――ハイテク化がカギ
第2章 「軍事大国」の軍事費と軍備増強の実態
 1  軍事費増強は本当か――インフレというマジック
 2  軍備増強の実態――欠陥品というジレンマ
第3章 積極的な武器輸出と武器外交の行方
 1  どこに武器を輸出してきたか――ソ連時代からの「お得意先」と「新規」の顧客
 2  武器輸出独占企業の存在――不透明資金の温床
 3  具体的な武器輸出にかかわる諸問題――熾烈な国際競争のなかで
第4章 急速に再統合化される軍産複合体
 1  軍産複合体とは何か――民営化の失敗と不透明性
 2  統合進む航空機関連企業――スホイやミグはどうなるのか
 3  統合進む造船関連企業――統一造船コーポレーション
 4  軍産複合体の課題――不合理な体質からの脱却とイノベーションは可能か
終章 新しい「軍事大国」めざすロシア
 1  課題と展望――「新冷戦時代」という「神話」


参考文献
塩原俊彦(しおばら としひこ)
1956年群馬県生れ.慶應義塾大学経済学部卒業,一橋大学大学院経済学研究科博士課程修了.朝日新聞モスクワ特派員(1995-98)を経て,2000年より高知大学人文学部准教授,学術博士
北海道大学スラブ研究センター共同研究員,
編集委員
専攻―ロシア経済論
著書―岩波新書『ロシアの軍需産業』,『ロシア経済の真実』(東洋経済新報社),『パイプラインの政治経済学』(法政大学出版局),『ロシアの「新興財閥」』(東洋書店),『現代ロシアの政治・経済分析』(丸善)ほか

書評情報

軍縮問題資料 2009年10月号
ロシアNIS調査月報 2009年9-10月号
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