聞き書 武村正義回顧録

「政治改革」「政権交代」とは何だったのか.いまの民主党政治の原点を知る上で必読の「証言記録」.

聞き書 武村正義回顧録
著者 御厨 貴 , 牧原 出
ジャンル 書籍 > 単行本 > 政治
刊行日 2011/02/25
ISBN 9784000237918
Cコード 0031
体裁 四六 ・ 上製 ・ カバー ・ 354頁
在庫 品切れ
滋賀県知事から衆議院議員に転身し,巨額の現金が飛び交う永田町の政治風土に違和感を覚えた著者はリクルート事件を契機に「政治改革」に取り組んでいく.新党さきがけの旗揚げ,細川内閣の誕生,小沢一郎氏との確執を経て,「自社さ」連立政権へ…….激しく動いた90年代日本政治の舞台裏で何が起きていたのか.すべて明らかにする.


■著者からのメッセージ
 テレビでご一緒している御厨貴先生から“聞き書き(オーラル・ヒストリー)”のお話があり,私はその内容がよく理解できないままにお受けした.聞き役は牧原出先生を中心とするスタッフであった.場所は私の東京の事務所であり,回数は十七回に及んだ.
 結局,私の政治人生を,時を追っていろいろな角度から尋ねていただいて,それにお答えしていくという作業であった.質問は,静かな雰囲気で淡々と進められた.私も自分の馴れ親しんでいる事務所でもあったし,終始緊張することもなく,知っていることはみんな話してしまった感がある.(中略)
 数年前に私は,自らの政治人生を筆にとったことがある.そのときも,ありのままに書こうとしたが,それでも本能的に過去の出来事を取捨選択していたし,表現にもあちこちへの気配りが避けられなかった.そのときと比べると今回の回顧録は,かざり気がなく,かえって迫力があるように思える.(後略)
――「あとがき」より


■編集部からのメッセージ
 2009年,多くの国民が望んだ「政権交代」が実現したものの,民主党政権のふがいなさを見るにつけ,「政治改革」や「政権交代」を追い求めてきたこれまでの政治は何だったのだろうと思わずにはいられません.
 ご承知の通り,武村正義氏は政治改革を叫んで,自民党を脱党,新党さきがけを結成,1993年の政権交代(細川連立内閣)を実現した立役者の一人です.その武村さんに,衆議員議員に当選し,政界から引退するまでを存分に語っていただきました.
 55年体制を崩壊させた細川政権の誕生から,小沢一郎氏らとの確執を経て,誰もが驚いた「自社さ」連立による村山政権の誕生までの舞台裏で何が起きていたのか.また村山内閣の大蔵大臣として,阪神淡路大震災,オウム事件,住専の破綻処理などの難題解決に奮闘した日々,新党さきがけというユニークな小政党の内情,細川護熙や橋本龍太郎,梶山静六はじめ,90年代を彩った政治家たちの素顔など,興味尽きない内容です.
 現在の菅政権の中枢には,さきがけを体験した人たちが多く存在します.いわば武村氏の弟子たちとも言えます.本書には,菅直人,小沢一郎,鳩山由紀夫氏らの18年前の様子が生き生きと描き出されています.そして,日本政治がいまだに「小沢」対「反小沢」を軸に展開されている現状を見るにつけ,現在の政治の原点を知る上で,武村氏の発言には重みがあります.いまの政治の原点を知る上で必読の書です.
はしがき 御厨 貴

第一章 滋賀県知事から衆議院議員へ
第二章 リクルート事件とユートピア政治研究会
第三章 政治改革のうねり
第四章 新党さきがけ結成
第五章 細川政権の誕生
第六章 官房長官として――政権内の確執
第七章 細川内閣の崩壊と「自社さ」の始動
第八章 村山政権の舞台裏
第九章 大蔵大臣時代
第十章 新進党の結成・阪神淡路大震災・円高
第十一章 村山内閣から橋本内閣へ
第十二章 さきがけの終焉と政界引退

あとがき 武村正義
オーラル・ヒストリーを終えて 牧原 出
武村正義略年譜
武村正義(たけむら まさよし)
一九三四年生まれ.自治省を経て八日市市長,滋賀県知事.八六年に国政に転じ,九三年に自民党を離党して新党さきがけを結成,代表をつとめる.細川内閣で官房長官,村山内閣で大蔵大臣を歴任.現在,龍谷大学客員教授,麻布大学客員教授.著書に,『水と人間』(1980年,第一法規出版),『小さくともキラリと光る国・日本』(1994年,光文社),『私はニッポンを洗濯したかった』(2006年,毎日新聞社)など.

書評情報

週刊東洋経済 2011年5月28日号
毎日新聞(朝刊) 2011年5月22日
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