民主化のパラドックス

インドネシアにみるアジア政治の深層

民主化改革を実行してきたインドネシアで,非民主的な権力構造を強化するというパラドックスが起こっている.

民主化のパラドックス
著者 本名 純
ジャンル 書籍 > 単行本 > 政治
刊行日 2013/10/23
ISBN 9784000248679
Cコード 0031
体裁 四六 ・ 上製 ・ カバー ・ 222頁
在庫 品切れ
インドネシアは,国際的な支援の下で,民主化改革を実行してきた.だが市民の自由と権利と平和を保障するはずの「民主化」が,非民主的な権力構造を強化するというパラドックスを起こしている.アジア政治の深層に内在する非民主的勢力が民主主義そのものを蝕む政治力学を,政治の現場での豊富な取材と調査で明らかにしてゆく.

■著者からのメッセージ

民主化のパラドックスとは何を指すのかを定めた上で,その力学が他国でも存在しうることを論じる.また今の国際環境が,それを助長している実態を明らかにする.今,アジアを含めた世界各地で進行しつつある「民主化ドミノ」と,その促進を意図した国際的な民主化支援に関する課題も浮き彫りになろう.パラドックスのジレンマを乗り越えることはできるのか.それについても本章で考えていきたい.
(本文より)


■編集部からのメッセージ

冷戦後,東欧,アフリカ,南米,アジアなどの発展途上国で「民主化支援」がグローバルに展開していった.だが民主化は,それらの国に何をもたらしたのか.市民の自由と権利と平和が保障されるバラ色の未来というより,実は民主化によって持ち込まれた「新しい政治」が,むしろ非民主的な権力構造を強化するパラドックスが起こったのではないか.それが本書の投げかける大きなテーマである.
プロローグ
第1章 デモクラシーのグローバル化とスハルト体制の崩壊
第2章 ポスト・スハルト時代の政治改革
第3章 民主化移行期の混迷する権力闘争
第4章 民主化定着期の劇場政治――ユドヨノ政権の権力闘争
第5章 分離独立運動・テロ・住民紛争――治安維持の政治
第6章 民主化とアンダーグラウンドの力学
終 章 民主化のパラドックス――アジア政治の深層をみる目
参考文献
あとがき
本名 純
1967年生まれ.立命館大学国際関係学部教授.インドネシア政治・東南アジア地域研究・比較政治学.テンプル大学卒業後,国際基督教大学大学院行政学研究科修士課程を経て,オーストラリア国立大学で博士号取得.インドネシア戦略国際問題研究所客員研究員・在インドネシアJICA専門家・インドネシア大学社会政治学部客員教授などを兼任.主な著書にMilitary Politics and Democratization in Indonesia(Routledge),共著にE. Aspinall & G. Fealy eds. Soeharto’s New Order and its Legacy(Australian National University),本名純・川村晃一編『2009年インドネシアの選挙―ユドヨノ再選の背景と第2期政権の展望』(アジア経済研究所),松井和久・川村晃一編『インドネシア総選挙と新政権の始動―メガワティからユドヨノへ』(明石書店),をはじめ多数.

書評情報

東南アジア研究 52巻2号(2015年1月)
日本経済新聞(朝刊) 2013年12月22日
書評空間 2013年12月17日掲載
毎日新聞(朝刊) 2013年11月24日
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