現代日本の労働経済

分析・理論・政策

市場経済学に代わる新たな労働経済論の枠組みを現状分析―理論―政策論の三側面から提示する.

現代日本の労働経済
このエントリーをはてなブックマークに追加
著者 石水 喜夫
ジャンル 書籍 > 単行本 > 経済
刊行日 2012/09/27
ISBN 9784000227841
Cコード 0033
体裁 A5 ・ 並製 ・ カバー ・ 284頁
在庫 品切れ
失業や不安定雇用といった現代日本が抱える労働問題の現状を,豊富なデータから多角的に描き出し,経済運営の抜本的な転換に向けた経済理論と政策論を構想する.「労働経済白書」の執筆を担ってきた著者が,主流派の市場経済学に代わる新たな労働経済論の枠組みをトータルに提示.

■著者からのメッセージ


 社会認識のための学問は,社会の現実を生みだし,また,その社会のありさまが,その学問の権威を高めていく.今日の主流派経済学たる市場経済学は,固有の理論と分析を持ち,現代の経済政策に計り知れないほど巨大な影響力を行使している.
 ……こうして市場経済学は,とてつもない市場価値を生み出しながら激しい市場競争と個人主義を徹底して押し広げていくのである.市場経済学は,まさに現代におけるパラダイムを強固に築き上げるに至った.パラダイムシフトの実現とは,政治選択である以上に,この分析,理論,政策の強固な体系に代わる,もう一つの体系を生み出す知的闘争の成否にかかっている.
(「序論 労働経済の意味するもの」より


■編集部からのメッセージ


 この日本に危機的な状況をもたらしている格差や貧困という現実.それをどのように克服するのか――.
 本書はそれを試みる労働経済論であり,この現実に違和感を覚えるすべての人へと届けられた,渾身の学問です.
*      *
 第I部では,現代の切実な労働問題である失業と所得分配の問題を取り上げ,経済統計を用いて現代日本の労働経済のトータルな分析が行われます.
 第II部では,現代経済の支配的な認識を提供する新古典派の市場経済学と労働市場論を検討し,経済運営の抜本的な転換に向け,経済理論研究の課題が詳述されます.
 第III部では,ケインズ理論を人口減少社会の経済学として読み直すことによって,福祉国家と完全雇用政策のための新たな,分析,理論,政策の研究構想が提示されます.
序論 労働経済の意味するもの

第I部 労働経済の分析
第1章 景気循環と失業問題
第1節 日本経済と景気循環
第2節 景気循環と雇用指標
第3節 経済見通しと経済運営の課題
第2章 労働条件と所得分配
第1節 戦後社会と賃金,物価,労働時間
第2節 就業形態と所得格差
第3節 経済循環と所得分配
第3章 労使関係と雇用慣行
第1節 雇用慣行についての見方
第2節 賃金構造と賃金・処遇制度
第3節 日本的雇用慣行の展望

第II部 理論研究の課題
第1章 現代経済学の分析と提言
第1節 戦後社会と雇用流動化論
第2節 人口減少と構造改革論
第3節 格差社会幻想論とその社会哲学
第2章 市場経済学と構造改革
第1節 OECDの雇用戦略
第2節 日本の構造改革論
第3節 労働経済学の本質
第3章 現代雇用理論の構築
第1節 新古典派の労働市場論
第2節 ケインズ理論の意義
第3節 完全雇用と社会権の確立

第III部 雇用政策の構想
終章  転換期の社会と政策
第1節 転換期の日本社会
第2節 人口減少社会の理論と政策
第3節 労使関係と雇用政策
参考文献一覧
あとがき
石水 喜夫(いしみず よしお)
1965年生まれ.京都大学教授.
立教大学経済学部経済学科卒業後,1989年に労働省入省.大臣官房政策調査部,職業安定局,経済企画庁,日本労働研究機構などを経て,2005年より厚生労働省労働経済調査官として6冊の「労働経済白書」を執筆.
2011年に現職.経済学部で「労働経済論」,大学院で「雇用システム論」などを担当.
この間,一橋大学大学院社会学研究科非常勤講師,経済産業研究所コンサルティングフェロー,大東文化大学経済学部社会経済学科非常勤講師などを兼務.
主な著書に『現代雇用政策の論理』(依光正哲氏との共著,新評論,1999年),『市場中心主義への挑戦―人口減少の衝撃と日本経済―』(新評論,2002年),『ポスト構造改革の経済思想』(新評論,2009年)など .
2001年に『現代雇用政策の論理』で第15回冲永賞(労働問題リサーチセンター)を受賞.

書評情報

毎日新聞(朝刊) 2013年3月3日
ページトップへ戻る