労働は神聖なり,結合は勢力なり

高野房太郎とその時代

労働組合,生協運動先駆者の波瀾万丈の生涯を描く初の本格的評伝.日本労働運動の通説をくつがえす.

労働は神聖なり,結合は勢力なり
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著者 二村 一夫
ジャンル 書籍 > 単行本 > 社会
刊行日 2008/09/25
ISBN 9784000025935
Cコード 0036
体裁 四六 ・ 上製 ・ 322頁
定価 本体2,800円+税
在庫 在庫あり
労働組合,生協運動の先駆者の生涯を,生い立ちから在米時代,運動家時代,運動離脱後まで描いた初の本格的評伝.実業家を志しながら運動家となった高野房太郎(1869-1904)を巡るさまざまな謎を解き,黎明期日本労働運動史の真実を明らかにする.オンライン版『二村一夫著作集』の連載をもとにした書き下ろし.図版多数.


■著者からのメッセージ
 一個人の伝記ですが,その人生をドラマティックに描くというより,この人物をめぐるさまざまな疑問の解明にこだわった「歴史探偵の捜査報告書」です.実業家をめざしていた男がなぜ労働運動に関心を抱いたのか,なぜ自ら労働組合や生協の組織者となったのか,彼が運動で果たした役割,運動が急速に発展しすぐ衰退した理由,彼の呼びかけに応えたのが金属機械労働者だけだったのは何故か,抜群の英語力を身につけていた秘密など,高野房太郎の生涯に関する数々の謎を解き明かしつつ,その生涯をたどります.
 名探偵ではないので,快刀乱麻を断つ爽やかさに欠け,「ああでもない,こうでもない」と答えを模索しながら進みます.おそらく読んでいてじれったく感じられるでしょう.しかし,限られた史料を手がかりに,一人の人間の実像に迫るには,それなりの手順をふまざるをえません.がまん強く謎解きのプロセスに付き合っていただければ,まことに幸いです.
  本書の原型は,インターネットの個人サイト『二村一夫著作集』で100回にわたって連載した『高野房太郎とその時代』です.その際,同時に収録した弟・岩三郎宛の手紙やゴンパーズとの往復書簡など,各種史料や回想記を一覧できる特設ページを設けました.ご参照いただければ幸いです.「フォト・アルバム」など,まだ作業途中ですが,岩三郎の回想記全文や写真集は必見です.
 はじめに
1 文明開化の子-長崎時代-
2 若き戸主-東京時代-
3 諭吉の孫弟子-横浜時代-
4 桑港で日本雑貨店開業-夢の実現と破綻-
5 職工義友会を創立-日本労働運動の源流-
6 アメリカからの通信-日本最初の労働組合論-
7 アメリカ海軍の水兵-「戦時特派員」を装う-
8 職工諸君に寄す-組合結成の呼びかけ-
9 労働組合期成会の人びと-労働運動の応援団-
10 鉄工組合の誕生-日本最初の労働組合-
11 横浜で「共働店」開業-生協運動の先駆-
12 鉄工組合の衰退-治安警察法前後-
13 高野房太郎と片山潜-指導者としての資質-
終章 「失敗の人」か?
 あとがき
 主要参考文献・史料一覧
 高野房太郎略年譜
 主要項目索引
二村 一夫(にむら かずお)
 1934年長野県生まれ.法政大学名誉教授,法政大学大原社会問題研究所名誉研究員.労働史専攻.
 大学卒業の1956年から法政大学大原社会問題研究所の所蔵史料の整理にあたり,1970年代に部分公開から全面公開を実現.また≪復刻シリーズ日本社会運動史料≫(207冊),『社会・労働運動大年表』の編集責任者としてこれを刊行.1985~1994年,同研究所所長.定年2年前から同研究所ウェブサイトを制作し,1999年の退職直前に「大原デジタルライブラリー」を開設.
 『足尾暴動の史的分析――鉱山労働者の社会史』(1985年)で労働関係図書優秀賞.1997年に『オンライン版 二村一夫著作集』の刊行を始め,現に市販されている図書をのぞき著作の大半をここで読むことが出来るようにした.高野房太郎研究は1977年に開始.日米各地に彼の足跡をたどって史料を集め,S.ゴンパーズとの往復書簡など,高野房太郎関係史料も上記サイトで公開中.

書評情報

大原社会問題研究所雑誌 No.607(2009年5月)
図書新聞 2009年1月1日号

受賞情報

第23回沖永賞
第15回社会政策学会学術賞(2008年)
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