ガーダ 女たちのパレスチナ

鮮烈に生きる1人の女性を通して見えてくるパレスチナ.長く親密な交流から生み出されたドキュメント.

ガーダ 女たちのパレスチナ
著者 古居 みずえ
ジャンル 書籍 > 単行本 > 社会
刊行日 2006/04/26
ISBN 9784000224598
Cコード 0036
体裁 四六 ・ 並製 ・ 214頁
定価 2,200円
在庫 在庫あり
ガザ地区の難民キャンプに生まれ育ったガーダは,イスラムの古い慣習を拒否しながら,新しいパレスチナ女性の生き方を貫こうとする.イスラエル人との交流,自ら決めた結婚,出産,そして抵抗運動の弾圧で多くの知人の死を経験するなか,歴史への関心を深め,祖母世代への聞き取りを始める…….著者でなければ叶わなかった,長く親密な交流から生み出されたドキュメント.


■著者からのメッセージ
 1993年に知り合ったパレスチナ女性ガーダとの付き合いは13年に及ぶ.年齢も性格も違うが,私はガーダの生き方にひかれてカメラをまわし続けてきた.
 私はパレスチナの女性たちの姿を自然のまま,ありのまま伝えたいと思っている.それはやさしいようで難しい.何回か取材を重ねると,女性たちも構えず,ありのままの姿を私にさらけ出してくれるようになる.そのときは,私が彼らを心から好きであり,彼らも私という人間をまるごと受け入れてくれているときだ.
 私はガーダをはじめ,パレスチナの女性たちのどんな状況下でも負けないたくましい姿に圧倒される.毎日毎日これでもか,これでもかと悲惨な出来事は起こっている.しかしどんなに厳しい中でもジョークで笑い飛ばすのだ.いつかはきっといい日がくると.そういう人たちに囲まれていたからこそ,私は長く続けることができたのだろう.
(古居みずえ)
はじめに――ガーダとの出会い

Ⅰ ガーダの人生(1993~1998年)
婚約する
家族たち
第一次インティファーダ
ヘブライ語を学ぶ
見合いに悩むサルワ
ナヘドの再婚
父権社会に反抗したマナール
ガーダの結婚観
婚約者の母と対決
リベラルなナセル
嫁ぐ日
ただ今妊娠中
赤ん坊が生まれた
子育て,そしてその後

Ⅱ 故郷の記憶――ガーダの旅(2000~2001年)
第二次インティファーダとカラムの死
ガーダの新しい旅
祖母ハディージェ(七十五歳)
祖母ファートマ(八十歳)
百歳のハリーマ
政治犯の母,ウンム・ジャビル(七十二歳)
レバノンから帰ってきたサミーラ(四十二歳)
歌い踊るウンム・バシーム (六十七歳)

Ⅲ ガーダの日々(2001~2004年)
ガーダの日記(2001年6月~2002年1月)
イラク戦争
砕かれた若者の人生
ビラールの闘い
ガーダと子どもたち
破壊されていくキャンプで――ガーダの闘い

おわりに
あとがき
古居みずえ(ふるい みずえ)
1948年島根県生まれ.フォトジャーナリスト.アジアプレス・インターナショナル所属.JVJA(ビジュアル・ジャーナリスト協会)会員.1988年にパレスチナのイスラエル占領地に入る.以降同地と並行して,写真とビデオ映像を駆使し,ボスニア・ヘルツェゴビナ,ウガンダ,インドネシアのアチェ自治州,アフガニスタンなどの各地の現状,なかでも女性や子どもたちの日常を細やかかつ精力的に取材.新聞,雑誌,テレビで発表する.著書に『インティファーダの女たち』(彩流社),『パレスチナ 瓦礫のなかの女たち』(岩波書店,岩波フォト・ドキュメンタリーシリーズ),共著に『匿されしアジア――ビデオジャーナリストの現場から』(風媒社)など.本書刊行とほぼ同時に公開された初監督作『ガーダ―パレスチナの詩』(2006年釜山映画祭招待作品)は,17年越しのパレスチナ取材の結晶である.

書評情報

パステル(東京都大田区) 2008年秋号
ふぇみん 2006年6月25日号
日本経済新聞(朝刊) 2006年5月21日
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