共用品という思想

デザインの標準化をめざして

シャンプー容器のギザギザや牛乳パックのへこみが共用品.「より多くの人に,より使いやすく」の合言葉.

共用品という思想
著者 後藤 芳一 , 星川 安之
ジャンル 書籍 > 単行本 > 社会
刊行日 2011/01/28
ISBN 9784000225786
Cコード 0036
体裁 四六 ・ 上製 ・ 214頁
定価 2,750円
在庫 在庫あり
「共用品」って何? シャンプー容器側面のギザギザ,牛乳パックのてっぺんのへこみ.え,それが共用品? そう,それが共用品.より多くの人に,より使いやすく進化し続けている日本発のバリアフリーのアイデアの数々.そして,それを支えているのが日本の企業の企画開発力.デザインの力が住みよい町をつくる.ものづくりニッポンの底力!


■著者からのメッセージ
 「共用品」をご存じでしょうか.「より多くの人に,より使いやすくする」工夫や,そう工夫されたものを共用品・共用サービスと呼んでいます.
 たとえば,牛乳パックの上部には,他のジュース類と混同しないように「へこみ」がついています.シャンプー容器には,リンスと間違えないように側面にギザギザがついています.スイッチ部には,凸表示があります.多くのバスが現在,ノンステップバスになっています…….これらが共用品です.
 これらの工夫は,日本発のものであり,日本のデザイン力,ものづくりの底力を見ることができます.日本では,高齢社会の到達とともに共用品のニーズが増え,市場規模は3兆円を超えました.とくに,最近5年間の年平均伸び率は7%にもなります.そして,日本から韓国と中国に呼びかけて進めた国際標準化は,他の国の支持も得て,国際標準化機構(ISO)による国際規格となりました.
 この共用品の歩みについて記したのが本書です.「より使いやすく」はすべての人がより暮らしやすい社会を創造することにつながります.ぜひ,ご一読いただければ幸いです.
(後藤芳一・星川安之)
はじめに
一  共用品とは
二  共用サービスとは
三  共用品の定義と原則
四  まとめ

第一部 共用品の「これまで」と「これから」
一  共用品を創る
(1) 気づく
(2) 動く
(3) 形にする
(4) 共有する
(5) 続ける
二  いろいろな共用品
三  共用品推進の歴史
四  共用品市場とは

第二部 共用品という思想
一  共用品は日本で生まれ育った
(1) 日本が実践してきた経験を,アジアや世界に伝える意義
(2) 日本で共用品を開発したことの強みと弱み
(3) なぜ不便さは着目されてこなかったのか?
(4) なぜ,障害者の不便さに,耳を傾けるようになったのか?
(5) 本当に,障害者の不便さに,耳を傾けるようになったのか?
二  共用品という思想
(1) 日本で共用品が生まれた必然(偶然)
(2) 原則・定義を作り,変える意義
(3) 共用品を作る意義
(4) 思想,次世代にどう伝えるか
(5) そして未来に向けての課題

参考文献
あとがき
後藤芳一(ごとう よしかず)
1955年生まれ.大阪大学大学院工学研究科教授.博士(工学).1980年,東京工業大学大学院修了,通商産業省(現在の経済産業省)入省.99年度より日本福祉大学客員教授.2010年度より現職.
著書に『離陸する福祉機器ビジネス』 (日本経済新聞社)など,共著に『共用品白書』(ぎょうせい)など.

星川安之(ほしかわ やすゆき)
1957年生まれ,財団法人共用品推進機構専務理事.1980年,自由学園卒業,トミー工業株式会社(現・株式会社タカラトミー) 入社.99年共用品推進機構設立.2002年度より日本点字図書館評議員.99年度より現職.
共著に『「バリアフリー」の商品開発』(日本経済新聞社),『より多くの人が使いやすいアクセシブルデザイン入門』(日本規格協会)など.

書評情報

読売新聞(夕刊) 2011年2月8日
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