金子勝の 食から立て直す旅

大地発の地域再生

少子高齢化なんかぶっとばせ! 日本は地域から生まれ変わる.弱点を武器にした中山間地の挑戦をルポ.

金子勝の 食から立て直す旅
著者 金子 勝 編著
ジャンル 書籍 > 単行本 > 社会
刊行日 2007/04/24
ISBN 9784000234375
Cコード 0036
体裁 四六 ・ 並製 ・ 194頁
在庫 品切れ
過疎化,高齢化,新たな産業の育成やコミュニティの建て直しの必要性…….現代日本が抱える問題点が凝縮してあらわれる中山間地.問題山積のその「最前線」において,起死回生にかけた人びとがいる.弱点を武器にかえて踏ん張る人びとと,彼らを支える地域の奮闘をルポルタージュ.日本の再生は,地域から,そしておいしい食材から!

■著者からのメッセージ

この『金子勝の食から立て直す旅 大地発の地域再生』に登場する人物たちは,みな人口数千からせいぜい2~3万人の町や村で,日々,古いものとの緊張関係を持ちながらドラマを作っている.しかし,みな異口同音に自分たちがやっている試みは,「20年後,30年後に達成されればいい」と言う.自然相手だから人間の力は限られており,いつも静かな時間の流れる農山村の地だからこそ,そう思うしかないのだろう.気が遠くなるような時間の流れの中で,彼らはずっと夢を抱き続けている.実は,この思考時間の長さこそ,今の日本社会が失ったものの中で,何より一番大事なものではなかったのか――そういう想いが幾度となく頭をよぎった.
 一番遅れていると思われてきた農山村において,将来,つぎの世代にどのような地域を残していくのかを真剣に考え,「夢」を追いかけている人たちが確実に存在している.そして,生きている間に,その「夢」を実現できないかもしれないと覚悟しつつ,一年一年の農作物の出来に「生きていく」願いを込めながら粘り強く努力を重ねている.日本社会の岩盤のような基層から何とか芽を吹こうとしている,このような動きを見て,私は限りなく勇気を奮い起こされている.
 多くの人々にはまだドンキホーテのように見えるかもしれない.だが,私は「先頭に立つ者」を「最後尾」に,そして「最後尾にいる者」を「先頭に立つ者」に入れ替える夢を,あきらめてはいない.

(本書より

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おいしい食材を求めて全国を旅した.食卓の向こうに広がる,崩壊する農山村,それでも力強く,大地から地域を再生しようとする人びとがいる.
金子 勝(かねこ まさる)
1952年生まれ.経済・財政学者.東京大学大学院経済学研究科博士課程修了.現在,慶應義塾大学経済学部教授.
著書は,単行本に『金子勝の仕事道!』(岩波書店),『戦後の終わり』(筑摩書房),『2050年のわたしから』(講談社),『メディア危機』(共著,日本放送出版協会),『反グローバリズム』,『市場』(ともに岩波書店),『市場と制度の政治経済学』(東京大学出版会)など,新書に『逆システム学』(共著,岩波新書),『粉飾国家』(講談社現代新書),『セーフティーネットの政治経済学』,『長期停滞』,『経済大転換』(いずれもちくま新書)など多数.

書評情報

ふぇみん 2007年9月5日号
清流 2007年9月号
農業共済新聞 2007年7月11日号
文化連情報 2007年7月号
日本農業新聞 2007年5月14日号
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