賃金差別を許さない!

巨大企業に挑んだ私の闘い

性別による賃金差別に泣き寝入りせず,巨大企業に一人で闘いを挑んだ女性の波乱に満ちた自伝.

賃金差別を許さない!
著者 リリー・レッドベター , ラニアー・S.アイソム , 中窪 裕也
ジャンル 書籍 > 単行本 > 社会
刊行日 2014/01/23
ISBN 9784000238830
Cコード 0036
体裁 四六 ・ 上製 ・ カバー ・ 302頁
在庫 品切れ
「わが社は女性を必要としていないのに,なぜ働きに来たのか」――やっと就職した憧れの会社には性差別が蔓延していた.しかし,自らの誇りと家族の生活を守るために,彼女は働き続けた.賃金差別に泣き寝入りせず,巨大企業に一人で立ち向かい,オバマ政権下でアメリカにおける「平等賃金の祖母」となった女性の波乱に満ちた自伝.


■訳者からのメッセージ
 本書は,2012年2月に刊行された,リリー・レッドベターの自伝,Grace and Grit: My Fight for Equal Pay and Fairness at Goodyear and Beyondを翻訳したものです.
 リリーは,米国アラバマ州の片田舎に住む,ごく普通の主婦でした.家計を助けるために働きに出るようになり,グッドイヤーのタイヤ工場で,マネジャーとして採用されました.以後,20年近く勤務したのですが,ある日,会社で手にした1枚の匿名メモが,彼女の運命を変えることになります.そのメモには,賃金で性差別を受けていたことが,はっきりと記されていたのです.
 リリーは,この巨大企業を相手に1人で裁判を起こし,闘いを挑みました.苦難の末に1審で勝訴したものの,不合理な法解釈によって2審で覆され,連邦最高裁でも負けてしまいました.しかし,その是正を求めて連邦議会で闘い続け,最後には,オバマ大統領がホワイトハウスで,彼女の名前を冠した法律に署名をする場面へと至ります.
 本書は,本物だけが持つ緊迫感あふれる裁判手続きの描写に,リリーの少女時代や,母親との葛藤,夫婦の絆などのエピソードが巧みに織り込まれ,内容の濃い迫真の人間ドラマとなっています.そして,自分の仕事に誇りを持ち,正しいと信じることのために全力を尽くすリリーの姿は,私たちを大いに勇気づけてくれるでしょう.
中窪裕也


〔追記〕
 リリー・レッドベターの訴訟とその後の経緯については,英語になりますが,下記のビデオをご覧ください.彼女も出演しており,タイヤ工場の様子などもわかって,とても参考になります.
 プロローグ

第1章 ポッサムトロット
第2章 チャールズとの結婚
第3章 働きに出る
第4章 ゴム産業の労働者となる
第5章 心明るく,足取りも軽く
第6章 ワニに膝まで食われて
第7章 虎のしっぽをんで
第8章 名誉を守るために
第9章 レッドベター氏,都へ行く
第10章 平等賃金の祖母となる

 謝辞
 付録 オバマ大統領のスピーチ
    リリー・レッドベター公正賃金復元法の署名にあたって
 訳者解説
リリー・レッドベター(Lilly Ledbetter)
アラバマ州ジャクソンビル生まれ.若くして結婚,二児を育てる.1979年にタイヤ製造のグッドイヤーにマネジャーとして就職し,19年間勤務.退職後,男性との賃金差別で同社を訴える.2007年に連邦最高裁で敗訴が確定したが,彼女の訴えにもとづき,オバマ政権下でレッドベター公正賃金復元法が成立.

ラニアー・S.アイソム(Lanier Scott Isom)
アラバマ州バーミングハム在住のライター,ジャーナリスト.チューレーン大学およびアラバマ大学で英文学を学んだ後,教員を経て出版や雑誌編集に携わり,レッドベター公正賃金復元法の成立後,彼女にインタビューしたことをきっかけに,本書に協力.

中窪裕也(なかくぼ ひろや)
一橋大学大学院国際企業戦略研究科教授.東京大学法学部卒業,ハーバード・ロースクール法学修士(LL. M.)課程修了.専攻は労働法.著書に『アメリカ労働法 第2版』(弘文堂,2010年),『労働法の世界 第10版』(共著,有斐閣,2013年)など.

書評情報

月刊労委労協 2018年6月号
日本労働研究雑誌 No.659(2015年6月)
月刊社会教育 2015年1月号
季刊・労働者の権利 Vol.307(2014年10月)
読売新聞(朝刊) 2014年9月28日
朝日新聞(朝刊) 2014年9月26日
読売新聞(朝刊) 2014年9月8日
女性の安全と健康のための支援教育センター通信 42号(2014年8月)
労働判例 2014年7月15日号
法学セミナー 2014年7月号
ワーキング・ウイメンズ・ネットワーク 2014年4月30日掲載
月刊社労士 2014年3月号
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