知の現在と未来

岩波書店創業百年記念シンポジウム

ポスト成長時代に必要な知とは? 「戦争の時代」に描きうる未来とは? 好評を博したシンポジウムを書籍化.

知の現在と未来
著者 広井 良典 , 柄谷 行人 , 管 啓次郎 , 高橋 源一郎 , 長谷川 一 , 金子 勝 , 國分 功一郎 , 堤 未果 , 丸川 哲史
ジャンル 書籍 > 単行本 > 社会
刊行日 2014/08/28
ISBN 9784000238854
Cコード 0036
体裁 四六 ・ 並製 ・ 180頁
在庫 品切れ
二日間にわたって行なわれた「岩波書店創業百年記念シンポジウム・東京」の記録.ポスト成長時代に入った人類は,どのような知を必要としているのか.もはや「戦争の時代」となった現代において,どのような未来を描きうるのか.根源的な問いに切り込んだ,広井・柄谷両氏の講演と二つのパネル討論を収録.

■編集部からのメッセージ

現代日本の〈知〉が結集し根源的な問いに切り込み話題を呼んだ,昨年の「岩波書店創業百年記念シンポジウム・東京」.その内容を書籍化します.

一日目は広井氏の講演と,管啓次郎・高橋源一郎・長谷川一の三氏に広井氏を加えたパネル討論.人口減少を前提としたポスト成長時代において必要とされる科学や学問,メディアを人類史的な視点から論じています.

二日目は柄谷氏の講演と,金子勝,國分功一郎,堤未果,丸川哲史という四氏のパネル討論.「もはや戦争の時代である」という認識のもと,資本主義や国家,そして私たちの想像力の未来を議論しています.

ジャンルの枠を越え,あらゆる固定概念を打ち砕き,縦横無尽に語り尽くした濃密な記録になっています.ここにこそ,最高水準の「知の現在」が存在し,「未来」への可能性が含まれています.
はじめに


第1部 大学,出版,知の未来

ポスト成長または人口減少時代における科学と知◎広井良典

1 人類史における拡大・成長と定常化

2 経済成長あるいは資本主義と科学

3 ポスト成長時代の科学と知

パネル討論◎管 啓次郎・高橋源一郎・長谷川 一・広井良典

セノポイエーシス――大学で何ができるか/ポスト高度情報・消費社会に外部はあるのか/若者たちの「野生の知」の可能性/大学・出版と社会/ローカルから生まれるもの/知なんて余分なもの/別の道を探る可能性


第2部 資本主義と国家の未来

資本主義に安楽死はない◎柄谷行人

1 交換様式

2 帝国・国民国家・帝国主義

3 資本蓄積の三形式

4 ヘゲモニー国家の経済政策

5 ヘゲモニー国家の交替

6 自由主義と新自由主義

7 将来の展望

パネル討論◎金子 勝・國分功一郎・堤 未果・丸川哲史

民主主義を哲学する/資本主義と「市場化」の論理/新自由主義のさらに先――戦争は既に起こっている/アジアを考える――自主と模倣/「ルール」を決められる者が強い/ビジネスの論理,主権の論理/東アジア共同体/多極化する世界でのルール作り/国連の価値/世界をつなぐ――国民一人一人が哲学者に/ルールを変えるツールを/分散ネットワーク型社会の中で/知の未来のために

広井良典(ひろい・よしのり)
千葉大学教授.1961年生まれ.公共政策および科学哲学.「定常型社会=持続可能な福祉社会」を提唱.著書に『日本の社会保障』(岩波新書,エコノミスト賞受賞)『定常型社会』(岩波新書)『ケアを問いなおす』『コミュニティを問いなおす』(大佛次郎論壇賞受賞)『人口減少社会という希望』ほか多数.


管 啓次郎(すが・けいじろう)
明治大学理工学部教授.1958年生まれ.詩人,比較文学者.ワシントン大学(シアトル)博士論文提出資格取得.主な著書に『コロンブスの犬』『狼が連れだって走る月』『斜線の旅』(読売文学賞)『ストレンジオグラフィ』『時制論』など.仏,西,英語からの翻訳多数.


高橋源一郎(たかはし・げんいちろう)
作家・明治学院大学教授.1951年生まれ.81年,『さようなら,ギャングたち』でデビュー.88年,『優雅で感傷的な日本野球』で三島由紀夫賞,2002年『日本文学盛衰史』で伊藤整文学賞を受賞.近刊に,『101年目の孤独』(岩波書店)『恋する原発』『さよならクリストファー・ロビン』など.


長谷川 一(はせがわ・はじめ)
明治学院大学教授.1966年生まれ.専門は,メディア論・メディア思想・文化社会学.晶文社,東京大学出版会に勤務した後,東京大学大学院博士課程満期退学.同大学院助手を経て現職.博士(学際情報学).著書に『ディズニーランド化する社会で希望はいかに語りうるか』『アトラクションの日常』『出版と知のメディア論』など.


柄谷行人(からたに・こうじん)
評論家.1941年生まれ.著作は,『定本 柄谷行人集』(全五巻,岩波書店)Transcritique: On Kant and Marx (The MIT Press)『世界共和国へ――資本=ネーション=国家を超えて』(岩波新書)『世界史の構造』(岩波書店)など多数.


金子 勝(かねこ・まさる)
慶應義塾大学経済学部教授.1952年生まれ.東京大学大学院修了.専門は,制度経済学,財政学,地方財政論.著書に『「脱原発」成長論――新しい産業革命へ』『新興衰退国ニッポン』(共著)『新・反グローバリズム――金融資本主義を超えて』(岩波現代文庫)『閉塞経済』ほか多数.


國分功一郎(こくぶん・こういちろう)
高崎経済大学経済学部准教授.1974年生まれ.東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了.博士(学術).専門は哲学,フランス現代思想,社会運動家としても積極的に活動.著書に『ドゥルーズの哲学原理』(岩波現代全書)『暇と退屈の倫理学』『スピノザの方法』など.


堤 未果(つつみ・みか)
ジャーナリスト.NY市立大学大学院国際関係学科修士課程修了.国連,証券会社を経て現職.専門は米国政治経済・社会保障・教育分野.『ルポ 貧困大国アメリカ』(岩波新書,新書大賞,日本エッセイストクラブ賞受賞)シリーズは海外でも翻訳出版.『報道が教えてくれないアメリカ弱者革命』(日本ジャーナリスト会議黒田清新人賞)『(株)貧困大国アメリカ』(岩波新書)など著書多数.J-Wave Jam the Worldパーソナリティ.


丸川哲史(まるかわ・てつし)
明治大学政治経済学部教授.1963年生まれ.一橋大学大学院博士課程修了,日本語教育専門家として台湾,ミクロネシア連邦等に赴任.学習院大学東洋文化研究所助手等を経て,現職.著書に『冷戦文化論』『台湾ナショナリズム』『魯迅と毛沢東』など.
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