〈犯罪被害者〉が報道を変える

被害者の想いや報道への提案,取材者の試行錯誤等を熱く綴った画期的な1冊.

〈犯罪被害者〉が報道を変える
著者 高橋 シズヱ , 河原 理子
ジャンル 書籍 > 単行本 > 社会
刊行日 2005/01/26
ISBN 9784000244299
Cコード 0036
体裁 四六 ・ 並製 ・ 214頁
定価 1,980円
在庫 在庫あり
事件などが起きると,被害者の声はしばしば報道される.しかし,〈犯罪被害者〉は本当は何を体験したのか.取材や報道をどう思っているのか――被害者と取材者が初めて,何度も率直に語り合った.被害者の想いや報道への提案,取材者の試行錯誤等を熱く綴った画期的な1冊.


■編者からのメッセージ
「ひどいことをするねぇ」「かわいそうに」「早く犯人がつかまればいいのに」

 誰でも一度はこうつぶやいたことがあるはず.
 私は,地下鉄サリン事件で営団地下鉄の職員だった主人を殺された.相談相手だった主人が突然いなくなって,何をどうしていいか途方に暮れた.支えてくれた人たちのなかには,意外かもしれないが,記者がいた.刑事裁判の予定を教えてもらったり,取材を断りたいときのアドバイスをしてもらったり,少なからぬ力をもらった.そうは言っても話したくない記者もいた.私の話を理解してもらえるのか心配で、記者に聞いたことがある. 「あなた,結婚しています? お子さんは?」と.
 報道被害になるような不信,不満,不快があるとすれば,なにが原因なのか.
 それがわかれば、報道被害を減らせるのではないかと,勉強会を始めた.
 記者と被害者が,それぞれの胸の内を語り、お互いの話に耳をかたむけた.
 本来,被害者と記者は敵対関係ではなく,社会悪や圧倒する権力に対する同じ土俵にいるはずだ.この本は,命の大切さを知っているあなたに読んでほしい.
高橋シズヱ

※この本の印税の一部を,犯罪被害者への法的支援をしている日本司法支援センター(法テラス)に寄付します.


■編集部からのメッセージ
 事件などが起きると,被害者の声はしばしば報道される.しかし,〈犯罪被害者〉は本当は何を体験したのか.取材や報道をどう思っているのか――4年間にわたり,取材者は自社の枠を越えて「犯罪被害者の話を聴く勉強会」に参加し,被害者と,何度も率直に語り合った.被害者の多様な想いや報道への提案,取材者の試行錯誤などを熱く綴った画期的な1冊.
はじめに 河原理子

第1章 もっとお互いを理解しあえたら 高橋シズヱ
  勉強会の始まり 星野哲
 
第2章 突然の事件,突然の取材
1 酒井肇さんの話 (大阪教育大学附属池田小学校事件)
2 宮澤泰子さんのお姉さんの話 (世田谷一家殺人事件)
3 本村洋さんの話 (山口県光市の母子殺人事件)
4 永井祥子さんの話 (中華航空機墜落事故)
  メディアスクラム 藤森研
 
第3章 聴いて考える
1 病を得て 瀬口晴義
2 私たちができること 玄昶日
3 「お前,プロだろ」 丸山謙一
4 求められる記事と伝えたい記事 増永修平
  神戸のフォーラム「遺族たちがメディアに望むこと」
  震災と記者 新開真理
 
第4章 記者は石のハートでなければならないか 河原理子
 
第5章 これから 高橋シズヱ
 
あとがき 河原理子
 
プライバシーとメディア
集団的過熱取材に関する日本協会編集委員会の見解
主要参考文献
高橋シズヱ たかはし・しずえ
1947年生まれ.95年3月に起きた地下鉄サリン事件で,営団地下鉄霞ヶ関駅助役だった夫一正(当時50歳)を亡くす.「地下鉄サリン事件被害者の会」代表世話人.98年に被害者の手記集『それでも生きていく』(サンマーク出版)を上梓,被害者救済のため活動する.また,日本各地の犯罪被害者と交流し,講演などで支援や対策の必要性を訴える.とくに,犯罪被害者にとって報道は不可欠と考え,記者との信頼関係構築をめざしている.

河原理子 かわはら・みちこ
1961年生まれ.83年から朝日新聞記者.社会部,日曜版編集部などを経て,編集委員.90年から10年間,社会部で,教育,戦後50年などを担当.性暴力被害の取材をきっかけに,さまざまな事件事故の被害者の話を聞くようになる.連載を続け,99年『犯罪被害者――いま人権を考える』(平凡社新書)にまとめる.2000年から,高橋シズヱ,星野哲とともに「犯罪被害者の話を聴く勉強会」を主宰.

書評情報

読売新聞(朝刊) 2005年5月22日
朝日新聞(朝刊) 2005年4月3日
北海道新聞(朝刊) 2005年4月3日
週刊文春 2005年3月24日号
東京新聞(朝刊) 2005年3月20日
電気新聞 2005年3月11日
西日本新聞(朝刊) 2005年2月27日
毎日新聞(朝刊) 2005年1月23日
ページトップへ戻る