ルポ がんの時代,心のケア

がんにかかったとき,メンタルサポートがあれば患者は,家族はどんなに救われるか──.各地での取り組みをルポ.

ルポ がんの時代,心のケア
著者 上野 玲
ジャンル 書籍 > 単行本 > 社会
刊行日 2010/02/09
ISBN 9784000257831
Cコード 0036
体裁 四六 ・ 並製 ・ 186頁
定価 1,870円
在庫 在庫あり
がんの時代と言われて久しい.がん基本法も制定され,早期発見が効を奏しつつあるが,メンタル面でのサポートは,まだまだ緒についたばかり.本書は,がん現場でのメンタルサポートの重要性と現状をルポした一冊.いま,各地でどんな試みがなされているのか.当事者の思い,家族の願い,現場の悩みをストレートに伝える.


■著者からのメッセージ
 がんは体を蝕むだけでなく,心まで病む.この事実を多くの人が知り,がん治療にも心のケアが大切なことを理解してもらいたい――.
 それが,本書の執筆理由です.
 がん患者の約半分がうつなどのメンタル不全を起こしていると言われています.しかし,これまでは「がんになったのだから,心がふさいでも当たり前」と看過されてきました.しかし,うつの辛さはがんのそれとはまた違った意味で,患者や家族に襲いかかります.
 また,心のケアをしないでいると,がん治療に弊害が出ることも医療現場では認識されています.
 がん専門の精神科医,精神腫瘍医やがん患者と接する時間の長い看護師,そしてソーシャルワーカーなど,様々な人々がいかにがんにともなう心のケアをしているかをルポしました.そして,当事者である患者にも取材を行い,いかに心のケアが大切だと感じたかを語ってもらっています.
 がん患者や家族,医療従事者だけでなく,社会福祉的な視野でがんを考えたい人に,ぜひ,読んでいただきたいと願っています.
上野 玲
はじめに

第1章 精神腫瘍医の仕事 
精神腫瘍医とは
がん患者の心のケアはなぜ大切か
がん患者のうつ治療の現状
新しい方向性

第2章 こころと身体は一体――患者は訴える 
グループ療法の効果
がんに負けないという信念
治療と心のケアは並行して
セルフケアの必要性

第3章 がん専門看護師という生き方 
専門看護師と認定看護師
同じ人間として
「心の司令塔」としての看護
看護師自身の心のケア

第4章 終末期とうつ 
緩和ケアにおける心のケア
懸け橋としての看護師
さまざまなホスピス
在宅ホスピスという選択
「私も死ぬならがんがいい」

第5章 家族のケア 
家族は第2の患者
「家族にも自分の人生があるんです」
医師も,一人の人間として
遺族外来の試み
医療ソーシャルワーカーの充実を

第6章 地方での取り組み 
地方ならではの強み
笑顔の病院
地域ネットワークの重要性
医療過疎地の挑戦

 がん治療と心のケアが歩んできた道,そして将来
 内富康介(精神腫瘍医/国立がんセンター東病院・臨床開発センター精神腫瘍学開発部部長)

 本書を書き終えて
 全国の緩和ケア施設一覧
上野 玲(うえの れい)
1962年東京生まれ.早稲田大学第一文学部(現,文学部)卒.ジャーナリスト.
主な著書に「誤解だらけのうつ治療」(精神科医蟻塚亮二氏との共著・集英社),「行動するうつへ」(日本評論社),「僕のうつうつ生活,それから」(並木書房)など多数.

書評情報

臨牀看護 第36巻第7号(2010年6月)
東京新聞(朝刊) 2010年4月2日
クレヨンハウス通信 Vol.351(2010年4月)

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