音と文明

音の環境学ことはじめ

文明の行方を左右する都市の危うい音の環境から,いかに脱出するか.音響工学者かつ作曲家の,渾身の労作.

音と文明
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著者 大橋 力
ジャンル 書籍 > 単行本 > 自然科学総記
書籍 > 自然科学書
刊行日 2003/10/28
ISBN 9784000223676
Cコード 0040
体裁 四六 ・ 上製 ・ カバー ・ 600頁
定価 本体5,000円+税
在庫 在庫あり
現代人が生きる都市の音環境は,現世人類が発祥した熱帯雨林と大きく異なる.自分には聞こえない音にこそ,脳への重要な働きがあるのだ.最先端科学が教えるところと,アフリカ,バリ島などで得た驚くべき音響工学的データにより,現在の音環境からの脱出が,文明を左右する重要課題であることを論証する.生涯をかけた渾身の労作.


■編集部からのメッセージ
 この本のはじまりは,「アナログとデジタル」という論文でした.
 著者の大橋先生とお話しをするうちに,何かおおきなものの存在を,感じるようになりました.それは,デジタル万能時代に,忘れ去られそうになっている,もしくは,忘れ去られたもの(アナログ的なもの)こそ,病んでいるわれわれ近代人にとって,大切なのではないかいうことでした.そして,3年後,この予想以上の画期的著作が完成しました.
 現代都市の音環境は,現世人類発祥の地たる熱帯雨林からはかけ離れたものです.本書は,現在の音環境からの脱出が,ヒトの文明を左右する重要課題であることを提起します.それは,最先端科学が教えるところと,アフリカ,バリ島などで得た,驚くべき音響工学的データが裏付けるものです.
 本書は,現代文明を根底から考え直すきっかけともなることでしょう.


第1部 脳にやさしい音を探る

第1章 音の学の組換え 
1 環境からの究極の使者 
2 文明史の中で音を捉える 
3 環境学の枠組みを吟味する 
4 〈音の環境学〉のパラダイム 
5 音環境を解く暗号

第2章 約束された音環境 
1 街の音,里の音,森の音 
2 遺伝子に約束された棲み場所と生き方 
3 熱帯雨林という楽園 
4 人類本来の音環境のレファランス 
5 音の切り口

第3章 連続と不連続 
1 「青天の霹靂」はなぜ青天の霹靂なのか 
2 アナログとデジタル 
3 量数同一視という深淵 
4 甦ったピュタゴラスとゼノン 
5 量学としての「音の学」の奨め


第2部 言語・音楽と脳との乖離

第4章 言葉の脳 
1 言葉――デジタル脳への離陸
2 類人猿のデジタル脳
3 脳の加速器「言語脳モジュール」
4 意識という名の「臓器感覚」
5 始祖鳥のつばさ

第5章 符号化された音楽の陥穽
1 五線譜という名の早熟な符号化
2 視覚が創る「音楽」と人間本来との乖離
3 暗い陥穽〈絶対音感〉
4 定義を拒む「音楽」,崩壊する「楽音」

第6章 「音楽」への再接近 
1 音の環境学から音楽を見直す 
2 音楽情報と音楽する脳 
3 音楽の実像


第3部 遺伝子に約束された音を創る

第7章 非言語脳からのメッセージ 
1 尺八のひびきはいかにして彫塑されるか 
2 言語性通信性を超越した知識構造  
3 約束された音を脳は甦らせうるか

第8章 「約束の音」を目醒めさせた私的体験 
1 「音の料理人たち」との出会い 
2 〈情報環境〉の発見 
3 「輪廻交響楽」を創り驚く

第9章 知覚圏外の音 
1 聴こえない音を狩る道具 
2 初めての必須情報〈ハイパーソニック・エフェクト〉の発見 
3 仮説を理論へと飛翔させる〈二次元知覚モデル〉

第10章 遺伝子に約束された環境のデザイン 
1 音楽は音環境をどこまで改善できるか 
2 脳にやさしい音環境デザイン 
3 遺伝子の求める環境のグランド・デザイン


結びの論考――「音と文明」の背景にある活性の構造について
文献・資料
大橋 力(おおはし・つとむ)
1933年生まれ.東北大学卒.財団法人国際科学振興財団理事・主席研究員.文明科学研究所所長.情報環境学を提唱.山城祥二の名で芸能山城組を主宰.主著書・作品「情報環境学」,映画「AKIRA」の音楽.

書評情報

中央公論 2003年12月号
東京新聞(朝刊) 2003年11月30日

受賞情報

第1回木村重信民族藝術学会賞
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