世界で二番目に美しい数式 (上)

多面体公式の発見

ギリシアの賢人も見逃した多面体公式.この公式から新しい幾何学が誕生した.多面体公式の歴史からわかる現代数学の神髄を語る.

世界で二番目に美しい数式 (上)
著者 デビッド・S.リッチェソン , 根上 生也
ジャンル 書籍 > 自然科学書 > 数学
刊行日 2014/11/21
ISBN 9784000062817
Cコード 0041
体裁 四六 ・ 並製 ・ 224頁
在庫 品切れ
V-E+F=2――この多面体公式,実は小学生にも簡単に理解できる内容であるにもかかわらず,古代ギリシアの賢人たちをはじめ,多くの人々が発見の一歩手前までいきながら見逃していた.そしてこの公式からまったく新しい幾何学が誕生する.多面体公式の歴史を詳述し,このたった一つの公式を使って現代数学の神髄を語る.(全2冊)


■訳者からのメッセージ
 本書は『Euler's Gem』を翻訳したものです.このタイトルをそのまま訳すと「オイラーの宝石」とか「オイラーの宝物」とか,どこかで聞いたような題名になってしまいます.そこで,どうしたものかと思案した結果,最終的に絞り出されたアイデアが『世界で二番目に美しい数式』でした.「一番じゃないの?」という声が聞こえてきそうですね.
 実は,アメリカの数学者を対象に行われたあるアンケートの結果,本書のテーマである「オイラーの多面体公式」が世界で二番目に美しい数式として選ばれたのだそうです.その第一位に選ばれたのは,1,0,円周率π,自然対数の底e,虚数単位iが一堂に会するいわゆる「オイラーの公式」です.こちらは小川洋子さんが書かれた小説『博士の愛した数式』(新潮社,2003年)のおかげで一躍一般の方にも有名になりました.
 確かにそれは一位の座に輝くに値する数式でしょう.しかし,二位とはいえ「オイラーの多面体公式」だってかなり素敵ですよ.そこに秘められている力を比較したら,一位の公式よりも優れていると私は思います.きっと本書を読めば,あなたも私の意見に同意してくれるでしょう.
――訳者前書きより抜粋,一部改変
■上巻
まえがき
訳者まえがき
序章
第1章 レオンハルト・オイラーと偉大な友人たち
第2章 多面体とは何なのか?
第3章 5つの完全体
第4章 ピタゴラス教団とプラトンの原子論
第5章 ユークリッドと原論
第6章 ケプラーの多面体宇宙
第7章 オイラーの逸品
第8章 プラトンの立体,ゴルフボール,フラーレン,そしてジオデシックドーム
第9章 スクープ,デカルトは知っていた!?
第10章 ルジャンドル,本質を理解する
第11章 ケーニヒスベルクの散策
第12章 コーシーの平らにされた多面体
第13章 平面的グラフ,ジオボード,そして芽キャベツ
第14章 イッツ・カラフル・ワールド
付録 多面体と曲面を作ろう

■下巻
第15章 新しい問題と新しい証明
第16章 ゴム膜,中空のドーナツ,そして妙な壺
第17章 同じものか,違うものか?
第18章 もつれた問題
第19章 ヤシの実の髪をとかす
第20章 トポロジーが幾何を制するとき
第21章 曲がった曲面のトポロジー
第22章 n次元への航海
第23章 アンリ・ポアンカレとトポロジーの優勢
エピローグ:100万ドルの懸賞問題

謝辞
推薦図書
参考文献
デビッド・S.リッチェソン David Richeson
1993年,ハミルトン・カレッジ(Hamilton College)数学科卒
現在,ディキンソン・カレッジ(Dickinson College)数学科准教授
専門:力学系,トポロジー

根上生也(ねがみ せいや)
1979年,東京工業大学理学部数学科卒
1983年,東京工業大学大学院理工学研究科情報科学専攻博士課程中退.
理学博士.
東京工業大学助手,横浜国立大学助教授を経て,現在,横浜国立大学大学院環境情報研究院教授.
専門:位相幾何学的グラフ理論
主著:『四次元が見えるようになる本』(日本評論社,2012年),『トポロジカル宇宙 完全版――ポアンカレ予想解決への道』(日本評論社,2007年),『計算しない数学――見えない“答え”が見えてくる』(青春出版社,2007年)他多数
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