ピタゴラスの定理

4000年の歴史

古代バビロニアから今日まで4000年に及ぶ数学の歴史を,ピタゴラスの定理を窓にして鮮やかに描く.

ピタゴラスの定理
著者 E.マオール , 伊理 由美
ジャンル 書籍 > 自然科学書 > 数学
刊行日 2008/02/27
ISBN 9784000058780
Cコード 0041
体裁 B6 ・ 上製 ・ カバー ・ 370頁
在庫 品切れ
ピタゴラスの定理ほど誰にもよく知られた数学の定理はない.その定理に焦点を当てながら,古代バビロニアから今日まで4000年に及ぶ数学の発展を鮮やかに描く.400種を超える証明法,代数の登場,微積分の発明,非ユークリッド幾何,相対性理論,フェルマーの定理,音楽と数学の類似性など,豊かな話題満載の数学歴史物語.


■編集部からのメッセージ
 ピタゴラスの定理ほど,誰にもよく知られ,あらゆる科学の分野でよく使われている数学の定理はないと思います.「ピタゴラスの定理」と呼ばれていますが,この定理はピタゴラスが発見したものではありません.ピタゴラスよりも少なくとも1000年以上前にすでにバビロニアの人々はこの定理を知っていました.この定理は4000年にも及ぶ歴史をもっているのです.
 本書は,このピタゴラスの定理に焦点を当てながら,古代バビロニアから現代に至るまで,数学の発展とそれが文化に与えた影響を跡づけようとする数学歴史物語です.
 話題は実に豊富.ワイルズはフェルマーの最終定理をどのような道筋で証明したのか.バビロニア人はピタゴラスの定理を知っていただけでなく,平方根の計算方法も知っていた.ピタゴラスはどのような学校を創設し,彼の学派はいかなる業績をあげたのか.ヴィエートによる代数の体系化,デカルトによる座標の導入,ニュートンとライプニッツによる微積分学の創始.オイラー,ガウス,リーマンらによって作られた微分幾何,非ユークリッド幾何学.その基礎の上に展開したアインシュタインの相対性理論.モーツァルトの音楽と数学の類似性,…….
 大きな話題のひとつに,ピタゴラスの定理のさまざまな証明方法があります.今までに何と400以上の証明方法が知られており,証明法を収集することに一生をかけた人さえいます.その証明方法の中には,ユークリッド,プトレマイオス,ダ・ヴィンチ,ホイヘンス,ライプニッツ,12歳のアインシュタイン,若き日のアメリカ大統領,16歳の女子高生のものも含まれています.それらのうち興味深いものや,それをめぐるエピソードも紹介しています.
 著者も訳者も『不思議な数eの物語』と同じです.素晴らしい語り口を素晴らしい訳文で味わってください.数学とその歴史に関心のある人には,たまらなく楽しい読み物です.
まえがき
序 章 イギリス,ケンブリッジ,1993
第1章 メソポタミア,1800BC
追補1 エジプト人は知っていたか?
第2章 ピタゴラス
第3章 ユークリッドの『原論』
  追補2 芸術,詩,散文の中のピタゴラスの定理
第4章 アルキメデス
第5章 翻訳者と解説者,500-1500
第6章 フランソワ・ヴィエトが歴史を作る
第7章 無限大から無限小まで
  追補3 オイラーの注目すべき公式
第8章 371個の証明,そしてさらにいくつか
  追補4 折り畳み鞄
追補5 アインシュタインのピタゴラスとの出会い
追補6 大変珍しい証明
第9章 主題と変奏曲
  追補7 ピタゴラスに関する奇抜な話
追補8 乱用の場合
第10章 珍しい座標
第11章 記号,記号,記号
第12章 平らな空間から曲がった時空へ
  追補9 誤用の事例
第13章 相対性理論への前奏曲
第14章 ベルンからベルリンへ,1905-1915
  追補10 四つのピタゴラスの難問
第15章 しかし宇宙のどこででも成り立つものか?
第16章 再 考
  終章 サモス島,2005


付 録
A いかにしてバビロニア人は を近似したか?
B ピタゴラスの3数
C 二つの平方数の和
D √2が無理数であることの一つの証明
E 外接多角形についてのアルキメデスの公式
F 第7章のいくつかの公式の証明
G 式x~(2/3)+y~(2/3)=1の導出
H 難問の解


年  表
参考文献
訳者あとがき
E.マオール Eli Maor
イリノイ在住の数学者,数学史家.シカゴのロヨラ大学(Loyora University Chicago)で数学史を教えている.イスラエルのテクニオン(Technion - Israel Institute of Technology)で博士号を取得.熱心なアマチュア天文家であり,天文雑誌の常連寄稿家でもある.科学や教育の問題についての発言も多い.
著書――To Infinity and Beyond , Princeton Univ. Press(邦訳:無限の彼方へ,現代数学社);Trigonometric Delights , Princeton Univ. Press(邦訳:素晴らしい三角法の世界,青土社);e : The Story of a Number , Princeton Univ. Press(邦訳:不思議な数eの物語,岩波書店)ほか.

訳者:伊理由美(いり ゆみ)
1933年生まれ.東京大学工学部応用物理学科卒業.工学修士.
訳書――マオール『不思議な数eの物語』,クラーク&クラーク『専制君主ニュートン』,ジェニングス『幾何再入門』(共訳)(以上,岩波書店),シャトラン『行列の固有値』(共訳,シュプリンガー・フェアラーク東京),リウ『組合せ数学入門 I ,II』(共訳,共立出版),ファーロウ『偏微分方程式』(共訳,朝倉書店)ほか.

書評情報

産経新聞 2008年8月3日
東京新聞(夕刊) 2008年4月24日
読売新聞(朝刊) 2008年4月13日
朝日新聞(朝刊) 2008年4月6日
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