火山と地震の国に暮らす

自然災害の多いこの国の,自然や科学とのよい関係,減災・防災を考える.正しく知って身を守ろう.

火山と地震の国に暮らす
著者 鎌田 浩毅
ジャンル 書籍 > 自然科学書 > 宇宙・地球
刊行日 2011/07/07
ISBN 9784000052108
Cコード 0044
体裁 四六 ・ 並製 ・ カバー ・ 198頁
在庫 品切れ
3.11東北地方太平洋沖地震は別の巨大地震や火山噴火を誘発する? 新燃岳の噴火はいつまで続く? 正しく知ることが災害から身を守る.いまこそ自然や科学とのよい関係,減災・防災を考えよう.巨大な地球をまるごととらえる「長尺の目」と,人間をはるかに超える力への「畏敬の念」をもつ地球科学者が,エッセイに熱い思いを込める.


■著者からのメッセージ
 日本は地震と火山噴火が非常に多い国です.両方の活動期に入った日本列島に住むことは,否応なしに大地の動きと関わることになります.人間は自然のごく小さな一部に過ぎず,自然を支配することなど到底できません.
 一方で,人類は科学という知恵をもっています.知恵をしぼれば災害を減らすことは可能で,荒ぶる自然と共存することもできます.科学を知らずして自然と上手に付き合うことはできないのです.
 私は自然災害に翻弄される人々を見ながら,ある時,このまま象牙の塔に閉じこもり研究を続けるだけでよいのだろうか,と疑問を持ちました.自然と共生する視点を考えなければという思いに突き動かされ,災害に果敢に立ち向かう人びとを題材に,岩波書店の雑誌『科学』などに10年ほどエッセイを綴ってきました.本書から,自然と人間の良い関係,科学のあるべき姿を考えるとともに,東日本大震災後の生き方への参考にしていただければ幸いです.
鎌田浩毅
まえがき

■1 科学を減災に活かす
1 東日本大震災――「大地の動き」に「人の知恵」を
2 霧島火山・新燃岳の噴火
3 危機の時代の学問
4 防災から減災への発想転換
5 進化する火山ハザードマップ
6 日本列島は活断層の巣
7 震災から学んだ科学者の役割
 コラム1 中村一明教授

■2 火山と地震の国に暮らす
1 巨大地震と富士山噴火
2 浅間山の噴火
3 桜島の噴火
4 キラウエア火山
5 アイスランドの火山灰災害
6 上高地の成り立ちと歴史
7 南アルプスと北アルプス

■3 科学の方法
1 富士山の地下に新しい火山体
2 地質図の世界
3 五官を使うおもしろさ
4 岩なだれを台所実験で再現
5 火山現象のモデリング
6 日高敏隆の自然の見方
7 花折断層と鯖街道

■4 「伝える」から「伝わる」へ
1 新燃岳噴火に対する減災対策
 コラム2 テレビにおける専門家の役割
2 科学のフロンティアとしてのアウトリーチ
3 フレームワークの橋わたし
4 「伝える」から「伝わる」へ
5 エデュテインメントとしての理系教養科目
6 小学生に「火山はすごい!」
7 自分の身は自分で守る

■5 市民のための科学
1 火砕流に埋もれたテレビカメラ
2 博物館の可能性
3 海外の研究者に学ぶ
4 人間関係の科学的方法論
5 科学の演奏家はいずこに
6 科学文学の可能性
 コラム3 加藤周一という生き方

初出一覧
あとがき
索引
鎌田浩毅(かまた ひろき)
1955年,東京都生まれ.東京大学理学部地学科卒業.通産省地質調査所などを経て,現在,京都大学大学院人間・環境学研究科教授,理学博士.
専攻:火山学,地球科学,科学コミュニケーション.
著書:『火山噴火』(岩波新書),『地球は火山がつくった』(岩波ジュニア新書),『マグマの地球科学』(中公新書),『富士山噴火』(講談社ブルーバックス),『世界がわかる理系の名著』(文春新書),『火山はすごい』(PHP新書),『座右の古典』『一生モノの人脈術』『知的生産な生き方』『一生モノの勉強法』(以上,東洋経済新報社),『成功術 時間の戦略』(文春新書),『使える!作家の名文方程式』(PHP文庫),『マグマという名の煩悩』(春秋社)ほか多数.
ホームページ: http://www.gaia.h.kyoto-u.ac.jp/~kamata/

書評情報

朝日新聞(朝刊) 2015年5月31日
地理 2012年2月号
測量 2012年1月号
JGL〔日本地球惑星科学連合〕 Vol.7 No.4(2011年11月)
しんぶん赤旗 2011年10月9日
火山 第56巻第4-5合併号(2011年)
毎日新聞(朝刊) 2011年9月21日
朝日新聞(朝刊) 2011年8月7日
公明新聞 2011年8月1日
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