和食はなぜ美味しい

日本列島の贈りもの

おでん,寿司,蕎麦,松茸の土瓶蒸し….背景にある列島の歴史とは? マグマ博士が姪相手に蘊蓄を傾ける.

和食はなぜ美味しい
このエントリーをはてなブックマークに追加
著者 巽 好幸
ジャンル 書籍 > 単行本 > 宇宙・地球科学
書籍 > 自然科学書
刊行日 2014/11/21
ISBN 9784000062268
Cコード 0044
体裁 四六 ・ 並製 ・ カバー ・ 190頁
定価 本体2,000円+税
在庫 在庫あり
おでん,ブリしゃぶ,松茸の土瓶蒸し….出汁(だし)文化はどうして生まれた? ボタンエビに桜鯛,筍,鱧(はも),鮪,鰻….四季折々の味覚を楽しめるわけは? どんな日本酒,焼酎,ワインが合うのでしょう.背景には日本列島の地勢や自然の地球科学的な営みあり.くわしくは,マグマ学者が姪との12カ月のグルメ散歩でやさしく語ります.


■編集部からのメッセージ

 1月は,透き通った出汁の光るおでん,2月は寒鰤を刺身やしゃぶしゃぶで.3月はボタンエビ,4月は筍と桜鯛,5月は鮪,6月は穴子と鰻,7月には鱧を,どう調理しましょう.大阪生まれのマグマ学者(著者)と東京出身の姪と一緒に,一風変わったグルメ散歩はいかがですか.8月のぐじと鯖,9月の蕎麦と鮑,10月の松茸と栗を,どう食べるかはお楽しみ.11月には芋焼酎とワインを飲み比べ,締めくくりの12月は河豚.12カ月かけて,主に関西で和食を食べ歩きます.
 よくあるグルメ旅と一線を画すのが蘊蓄の深さ.マグマやそれが冷え固まった石のつぶやきに耳を傾け,地球がどのようにして今の姿になったのか,日本列島はなぜ火山や地震が多いのかなどを調べるマグマ学者ならでは.和食を美味しくいただける秘密が,文系女子の姪にもわかるように披瀝されます.
 わたしたち日本人は,地震や火山噴火などの試練を日本列島から与えられてきました.これからも与えられ続ける運命にあります.しかし同時に数えきれないほどの恩恵も授かっており,その一つが「和食」であることを,地球史を背景に語ります.四季折々の日本の料理や酒を嗜むときに,それらを育む日本列島の地勢や自然の成り立ちを知っておくことは,味わいを豊かにします.
 「食べものって,その背景にある自然の営みを知ると,ずっと深く味わえるのね!」
姪御さんも得心したようです.彼女の素朴な疑問に刺激を受けながら,ときにユーモ ラスなたとえ話も飛び出し軽快なテンポで話が展開します.また,随所に施された飯箸薫さんのイラストが,イマジネーションを広げるのを大いに助けます.
 2013年,和食がユネスコ(国連教育科学文化機関)の無形文化遺産に登録されました.そんな今こそ,旬の食材と日本列島を食べつくすようなグルメ散歩をご一緒にどうぞ!
プロローグ

一月 おでん――出汁は山紫水明の恵み
透き通った出汁の秘密/うま味は「umami」/出汁と軟水――和食の基本となるもの/山はなぜ高くなる?――変動帯日本列島

二月 寒鰤――日本海誕生のヒミツ
氷見の鰤――日本海の至宝/海と陸を分かつもの――海洋地殻と大陸地殻/アジア大陸が裂けて生まれた日本海/日本海拡大の原因

三月 ボタンエビ――大きくなる日本列島
ほんまもんのボタンエビ?/ボタンエビと富山エビ/伊豆半島の衝突と南海トラフのわん曲/海で生まれる大陸/日本列島は大きくなる

四月 筍と桜鯛――瀬戸内海のなりたち
筍――香りとえぐ味/バイガラ――京都湾に堆積した海成粘土層/明石鯛――ブルーのアイシャドウに琥珀色の身質/瀬戸内海の潮流――瀬戸の形成と潮の満ち引き

五月 こしび――盛り上がる紀伊半島
熟寿司と早寿司/福井で那智勝浦のマグロを食す/一四〇〇万年前の超巨大火山活動と紀伊半島の隆起/超巨大火山活動の原因

六月 穴子と鰻――海底火山でのランデヴー
関東の煮穴子・関西の焼き穴子/アナゴとウナギの競演/ウナギとアナゴの逢瀬/四国海盆の拡大と伊豆・小笠原・マリアナ弧の大移動

七月 鱧と昆布――地球大変動と生き物たち
祇園祭と天神祭のキーワード/ハモ――三五〇〇本の骨をもつ魚/ハモと地質/コンブのアメリカ進出

八月 ぐじと鯖――沈み続ける若狭湾
御食国から運ばれるぐじとサバ/ぐじづくし/若狭湾‐伊勢湾沈降帯/鯖寿司と魚の熟成

九月 蕎麦と鮑――火山の恵み
新蕎麦の季節?/蕎麦談義/鮑談義/二種類の沈み込み帯火山――島弧火山と背弧域火山

一〇月 松茸と栗――列島の背骨,花崗岩
美作から秋の味覚到来/松茸三昧/花崗岩のでき方/プレートはなぜ動く?

一一月 芋焼酎とワイン――巨大カルデラとサンゴ礁
戻りガツオで芋焼酎をいただく――酒づくりの原理と酒の種類/サツマイモとシラス台地/巨大噴火は必ず起こる/ワインと地質/日本が石灰岩自給率一〇〇%の理由

一二月 河豚――九州島が分裂する!?
昨年は食べ損ねたフグを!/フグ食わぬ非常識/トラフグの生態/有明海のでき方――雲仙火山と別府‐島原地溝帯

エピローグ
あとがき


巽 好幸(たつみ よしゆき)
1954年大阪生まれ.京都大学理学部卒業,東京大学大学院理学系研究科博士後期課程修了.マンチェスター大学研究員,京都大学大学院理学研究科教授,東京大学海洋研究所教授,(独)海洋研究開発機構プログラムプログラムディレクター等を経て,現在,神戸大学大学院理学研究科教授,海洋研究開発機構招聘上席研究員.2003年度日本地質学会賞,2011年度日本火山学会賞,2012年度米国地球物理学連合ボーエン賞受賞.
著書に『なぜ地球だけに陸と海があるのか』(岩波書店),『地震と噴火は必ず起こる』(新潮選書),『いちばんやさしい地球変動の話』(河出書房新社),『地球の中心で何が起こっているのか』(幻冬舎新書),『安山岩と大陸の起源』『沈み込み帯のマグマ学』(以上,東京大学出版会)などがある.

書評情報

図書新聞 2015年5月23日号
サンデー毎日 2015年3月15日号
週刊文春 2015年2月12日号
しんぶん赤旗 2015年1月4日
日本農業新聞 2014年12月21日
ページトップへ戻る