ショパン全書簡

1816~1831年 ポーランド時代

ショパンの人間形成と文化的・音楽的背景を知る上で欠かせない青春期の手紙.待望のポーランド語原典訳.

ショパン全書簡
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著者 ゾフィア・ヘルマン , ズビグニェフ・スコヴロン , ハンナ・ヴルブレフスカ=ストラウス , 関口 時正 , 重川 真紀 , 平岩 理恵 , 西田 諭子
ジャンル 書籍 > 単行本 > 音楽
刊行日 2012/03/29
ISBN 9784000258395
Cコード 0073
体裁 菊判 ・ 上製 ・ 函入 ・ 780頁
定価 本体18,000円+税
在庫 在庫あり
ショパン(1810-49)は1830年にワルシャワを発った後,再び故国に戻ることはなかった.彼がポーランド時代に家族や親友たちに宛てて書いた青春期の手紙は,その人間形成や文化的・音楽的背景をうかがい知る上で欠かせない貴重な資料である.厳密な校訂と詳細な注が施された新校訂のポーランド語版全集からの待望の新訳.

■「日本語版への序文」より

 1816年から1831年にかけて書かれたフリデリク・ショパンの手紙は,彼の少年期,青年期を知るうえで欠かすことのできない,鍵そのものであると言えます.両親のミコワイとユスティナ,姉妹のルドヴィカ,イザベラ,エミリアという家族に始まり,ヤン・ビャウォブウォツキ,ヴィルヘルム・コルベルク,ヤン・マトゥシンスキ,そしてティトゥス・ヴォイチェホフスキといった親友たち,さらには,音楽理論と作曲法の分野でショパンの唯一の教師だったユゼフ・エルスネルを筆頭に,当時の文化や学問各界を代表する様々な人物までが登場するパノラマを背景に,ショパンの人間像をこれほどくっきりと浮かび上がらせてくれるものは,書簡をおいてほかにはありません.
 ポーランド史上最も傑出した作曲家ショパンは,1830年11月2日にワルシャワを発って二度と戻ることがありませんでした.その意味で,彼の生涯のワルシャワ時代を画する本書簡集第一巻は,それ自体で一つの完結した世界をなしていると言えます.この時代の手紙を読むことで,私たちは彼の青春について――人間として,芸術家としての成長について,そしてまた19世紀20年代ワルシャワの活気にあふれた音楽文化の中で彼が受けた音楽教育について,深く知ることができます.ショパンがどのように自らの人格を形成していったのか,世界に関する知識をどのように獲得していったのか,そしてまた《〈お手をどうぞ〉の主題による変奏曲 変ロ長調》や,《ピアノ協奏曲 ヘ短調》,《ピアノ協奏曲 ホ短調》に彩られた,演奏活動,作曲活動のいわば第一期がどのようなものであったか,手紙は教えてくれるのです.
 この時代のショパンの手紙はまた独特な文芸的価値を有しています.私たちはその文章に彼の鋭い観察力,横溢するユーモアとともに,ときとして微妙なアイロニー,周囲の世界に対する冷めた眼を感じさせられます.関口時正教授とそのチームにより翻訳がなしとげられたこの日本語版(外国語への最初の翻訳)は,そうした手紙のニュアンスをあますことなく伝え得て,古くからショパンの音楽が格別の関心と評価を獲得してきた国――日本の皆さんに,ショパンの人となりを親しく紹介してくれるものと期待しています.
ゾフィア・ヘルマン
ズビグニェフ・スコヴロン
ハンナ・ヴルブレフスカ=ストラウス

■編集部からのメッセージ

 ショパンは,日記や評論のたぐいを何も残さなかったので,その生涯,人となり,音楽観,思想などを知るには,現存する手紙が重要な第一資料になります.
 本書は,ショパンの故国ポーランドで新たに刊行が始まった新編集の書簡全集第1巻の日本語版です(第2巻以降は未刊).1816~1831年に書かれた書簡が収録されていますが,これは,ショパンがワルシャワで過ごした少年時代から,1830年に起こった対ロシアの「十一月蜂起」直前に国外旅行に出たまま,翌年,亡命状態となるまでの時期にあたります.
 ショパンがこの時代に書いた手紙は,主として家族宛,親友宛の親密な内容の手紙です.なかでも,夏休みに滞在した田舎での出来事を,新聞記事風の凝った文章で家族宛に面白おかしく報告する少年ショパンの姿は印象的です.また,男友達を相手に,日々の見聞や活動について冗談や皮肉を交えながら率直な本音を語る親友宛の書簡は,今回の新版書簡全集によって初めて厳密な本文校訂がほどこされたものです.ちなみに,ショパンが,農村で接するユダヤ音楽に強い関心を示し,ときにはユダヤ人はだしの腕前で演奏に及んだことを記した手紙の一節は,従来の書簡集では割愛されていました.
 今回の新校訂版書簡集は,ショパン研究に新たな展開をうながす重要なエディションであると同時に,ショパンを愛するすべての人々にとって興味尽きない一書となるに違いありません.

■本書の特色

ポーランド語原文から訳出された初めての本格的ショパン書簡集.
ポーランドで刊行が始まった新編集の画期的な書簡全集にもとづく.
ショパンがポーランド時代に書いた手紙や詩と,ショパン宛の手紙や詩など88篇を収録.
有名な「シュトゥットガルトの手記」を含む『アルバム』中のショパンの文章も収録.
文中にあらわれる人物や音楽作品,生活環境,政治的・社会的・文化的背景に関する詳細な原注付き.
付録として,同時代の新聞・雑誌に掲載された演奏会批評や関連記事を収録.
口絵(カラー4ページ)
日本語版への序文
凡例/ショパン関連地図

書簡
書簡1~88
失われた書簡のうち,要約の形で出版されたものS1~S2
付録
フリデリク・ショパンの『アルバム』(1829~31年)から
演奏会告知および批評集(1818年1月~31年8月)
小伝集
用語集

訳者後記
文献表
人名索引/作品名索引
著者
フリデリク・ショパン Fryderyk Chopin (1810~49)
 ポーランドの作曲家・ピアニスト.ワルシャワ近郊のジェラゾヴァ・ヴォラ生まれ.8歳で初めて公開演奏.ワルシャワの中央音楽学校で学ぶ(1826~29年).1830年11月に出国,翌年9月にパリに居を定め,その後,故国には戻らなかった.小説家のジョルジュ・サンドと1838年から47年まで生活を共にする.1849年,肺疾患で没.
編者
ゾフィア・ヘルマン(Zofia Helman) ワルシャワ大学史学部音楽学学科教授.
ズビグニェフ・スコヴロン(Zbigniew Skowron) ワルシャワ大学史学部音楽学学科教授.
ハンナ・ヴルブレフスカ=ストラウス(Hanna Wrblewska-Straus) 元フリデリク・ショパン博物館館長.
訳者
関口 時正 東京外国語大学大学院教授.
重川 真紀 ワルシャワ大学史学部音楽学学科留学.
平岩 理恵 ワルシャワ大学史学部音楽学学科留学.
西田 諭子 ポーランド・ショパン音楽院留学.

書評情報

日本経済新聞(朝刊) 2012年4月8日
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