随筆 上方落語 四天王の継承者たち

枝雀と仁鶴の共通点,ざこば・南光に流れる米朝落語,吉朝・松葉・春蝶の魅力など,興味深い随筆集.

随筆 上方落語 四天王の継承者たち
著者 戸田 学
ジャンル 書籍 > 単行本 > 芸術
刊行日 2013/06/26
ISBN 9784000259019
Cコード 0076
体裁 四六 ・ 上製 ・ カバー ・ 238頁
在庫 品切れ
枝雀と仁鶴の共通点とは? ざこば・南光に流れる米朝落語とは? 早世した吉朝・松葉・春蝶の魅力とは何か? 四天王(松鶴・米朝・春団治・文枝)の次世代の俊英たちについて「師の芸の継承」と「個性的な芸風」とを,鋭い批評眼が鮮やかに読み解いていく.ほかに,桂米朝・立川談志に関する随筆も収録.


■著者からのメッセージ
 私にとっては『随筆 上方落語の四天王―松鶴・米朝・文枝・春団治』に続いての二冊目の上方落語随筆集であります.上方落語四天王以降の落語家たちの人と芸――とくに芸風を中心に書いた随筆を集めました.ほとんどが個人的に親しく接した方々なので思い入れもあり,とても愛着のある文章ばかりです.“自分の読みたいもので,しかも他人が書いてくれないものを書く”という私の執筆の原点となった作品も多く収録でき,私自身,とても気に入った構成になりました.
 第一章の「上方爆笑王の系譜」は,初代桂春団治以降の大阪の爆笑落語の流れが(しゃべくり漫才への影響も含め),笑福亭仁鶴,桂枝雀の2人の落語家へ与えた影響について書き下ろしました.今日,評価の定まりつつある枝雀よりも仁鶴により重きを置いたのは,彼の成し遂げた仕事に対し,その評価があまりにも低過ぎるのではないか,という思いからです.
 ほかに,テレビの人気者でありながら,実は落語も名人級である春蝶,ざこば,南光,本格派の小米,松葉(七代目松鶴),千朝,吉朝,さらに私自身想い出深い喜丸についての文章を収めました.終章には,前著の古今亭志ん朝と対になる形で,大阪での立川談志の素顔を描いた随筆も収録しています.


■編集部からのメッセージ
 本書に登場するのは,枝雀・仁鶴・春蝶・ざこば・小米・南光・松葉・千朝・吉朝・喜丸の各師――いずれも四天王の弟子・孫弟子にあたります.彼らは師匠の芸を受け継ぎながら,それぞれの個性を活かした芸風を創り上げ,多くの落語ファンを魅了してきました.
 著者は,落語の速記(部分)を引用しながら,演者の声・口調・間・仕草や演出など細部にまでこだわり,その芸に息づく「四天王の芸脈」を辿っていきます.温かな視線と鋭い批評眼は,彼らの高座を長く聴き続ける著者ならではのものです.
 大阪での談志師を描いた随筆も収録されており,知られざる素顔が明らかにされます.
 残念なのは早逝された方が多いこと.枝雀師,吉朝師らの芸は,次の世代にどのように継承されていくのでしょうか――.
(編集部 中嶋裕子)
第一章 桂米朝
文化そのものである桂米朝さん―― 文化勲章受章に寄せて
「桂米朝独演会」と新年
桂米朝喜寿祝い 米朝さんの大いなる世界

第二章 爆笑王 枝雀と仁鶴
上方爆笑王の系譜――初代桂春団治~笑福亭仁鶴,桂枝雀
初代桂春団治の芸と履歴/笑福亭仁鶴と桂枝雀/仁鶴,枝雀に見る初代春団治の系譜/幻の「枝雀・仁鶴ふたり会」
まぼろしとなった「「枝雀六十番」と『枝雀落語全集』

第三章 四天王以後の俊英たち
一 桂春蝶
二代目桂春蝶
二 桂ざこば
二代目桂ざこば研究
三 桂小米
『代書』と“田舎者落語”
四 桂南光
南光落語の名場面
「桂べかこ独演会」 ~「桂南光独演会」――サンケイホールの二十年
五 笑福亭松葉――七代目松鶴
私の松葉ノート
上方五人男 ちょっとしばらく亭
六 桂千朝
ほのぼの落語――桂千朝の高座
七 桂吉朝
吉朝落語雑記
桂吉朝さんを悼む
マスコミと桂吉朝
八 桂喜丸
四世桂米団治と桂喜丸
人柄そのままの喜丸落語
忘れがたき落語家・桂喜丸

第四章 立川談志
立川談志――大阪における点景
東西若手落語家交流/スタンダップ・コメディの後継=上岡龍太郎
はじめて間近で見た談志/意外と似ていた談志と枝雀/大阪・談志高座のメモ/理解者・桂米朝

あとがき

書評情報

しんぶん赤旗 2013年8月25日
読売新聞(夕刊)〔大阪〕 2013年8月19日
産経新聞(夕刊)〔大阪〕 2013年8月8日
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