ミライノコドモ

第一詩集『二十億光年の孤独』から六十余年,休むことなく詩を書き続けてきた詩人の最新詩集.

ミライノコドモ
著者 谷川 俊太郎
ジャンル 書籍 > 単行本 > 創作作品(小説・詩・戯曲)
刊行日 2013/06/05
ISBN 9784000248662
Cコード 0092
体裁 A5変 ・ 上製 ・ 函入 ・ 70頁
在庫 品切れ
「明日の予定は分かるが 未来は思い描けない 先立つ者が残す眼に見えぬものを 嬰児は継いでくれるのだろうか」(「冥土の竹藪」)――だが「言葉は今も未来に向かおうとする」(「ルネ」).第一詩集『二十億光年の孤独』から六十余年,休むことなく詩を書き続けてきた詩人の,未発表作品を中心に編んだ最新詩集.


■著者からのメッセージ
 岩波書店は,今年,創業百年を迎えるという.その記念の年に「創業百年記念文芸」作品の一冊として新詩集を,という依頼の電話が編集部からあり,5秒で引き受けてしまった.それは,ここ数年,気楽に詩が書けるようになっているのと関係があるかもしれない.気が向くと発表のあてもないのにマックに向かっているのである.この新詩集には未発表の作品がたくさん収録されているが,〈未発表〉とあるのはそうしてできた作で,締め切りがないから飽きるまで推敲を重ねられるのが楽しい.
 だが気楽に書けるということに疑問も湧く.詩の批評の基準とも言うべきものが見え難くなっていて,好き嫌いで判断するしかないのではないかと思うからだ.実は私自身は詩を美味しい不味いで判断していいと,かねてから考えているのだが.
 詩が好きな人は日本語のグルメだ.添加物の多い言葉は舌を鈍感にしてしまう.詩はとれたての新鮮な言葉をいのちとしているから,メディアに氾濫する言葉からのデトックスとして役立つかと思う.


ルネ
よそ者
海辺の町
挽歌
冥土の竹藪
〈終わり〉のある詩
二頁二行目から
時の名前
落下
夢と家屋
無関係について
その日
DIRGE
キャベツの疲労
記念撮影
駄々
森の言葉
無名の娘
旅の朝
極めて主観的な香港の朝
雲の懐かしさ
ガヤの村でゴータマに
河原の小石
突き当たりの部屋
ミライノコドモ

 あとがき
 初出一覧
谷川俊太郎(たにかわ しゅんたろう)
1931年生まれ.詩人.17歳頃から詩を書き始める.
1952年,処女詩集『二十億光年の孤独』を刊行.
1983年,『日々の地図』で読売文学賞,1985年,『よしなうた』で現代詩花椿賞,1993年,『世間知ラズ』で萩原朔太郎賞,2008年,『私』で詩歌文学館賞,2010年,『トロムソコラージュ』で鮎川信夫賞を受賞.2013年1月には,二千数百におよぶ全詩から作者自身が173篇を精選した『自選 谷川俊太郎詩集』を岩波文庫の一冊として刊行し,話題となった.

書評情報

朝日小学生新聞 2013年10月26日
BEGiNNER Vol.160(2013年8月)
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